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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

蒸発と結露と凝固と熱エネルギー。

高断熱住宅は、熱エネルギーを取得したり(太陽熱)創出したり(冷暖房設備)維持したり(保温・保冷)排出したり(換気)と上手に運用する住宅です。

 今回は、換気によって排出されてしまう熱エネルギーを回収する『熱交換』に関する熱の話をします。
熱交換には、顕熱だけを回収する方式と、顕熱と潜熱の両方を回収する『全熱交換』があります。
この顕熱と潜熱の話です。


空気に含まれるふたつの熱は、一つが物質の温度を上げる熱で顕熱【けんねつ】。
もう一つが、物質の状態を変化させる熱で潜熱【せんねつ】。

住宅で使われる熱交換気は、全熱交換気と言いまして、屋内の空気に含まれるこの顕熱と潜熱を、外気に受け渡して屋内に戻す方式です。
簡単に言えば、顕熱は温度で、潜熱は湿度です。


とても分からない説明ですよね。


顕熱と言うのは、顕著の”顕”の字が使われている通り、目に見える熱です。
例えば、水を温めると水温が上がりますが、この時の水の温度上昇に関係した熱エネルギーが顕熱です。

一方、潜熱と言うのは”潜”の字が使われている通り、目には見えない熱です。
水を温め続けると、やがて100℃になり沸騰しますが、それ以上、水の温度は上がりません。
しかし、水は水蒸気へと変化しています。
この時、100℃の水と、100℃の水蒸気が存在するのですが、100℃の水を100℃の水蒸気に、温度は変わらず、液体から気体へと状態を変える熱エネルギーが潜熱です。



一方、水蒸気を冷やすと、水に状態変化(凝結【ぎょうけつ】)しますが、この時に潜熱を放出しています。



JRのsuicaと考えると良いかもしれないかも。

こういう風に考えてください。

水 蒸 気 =suica
  水   =財 布
熱エネルギー=お 金(価値)
顕    熱=残 高・・分かりやすくしてみました。
潜    熱=デポジットの500円


 例えば1,000円分をsuicaにチャージすると残高は1,000円分増えます。
また、1,000円分使うと1,000円分減ります。
お金を出し入れすると、それ見合うだけ残高が変化します。
この出し入れ出来るお金(熱エネルギー)は、残高(温度)が変化するので、顕熱という事になります。
分かりやすいように、残高=顕熱と考えてください。


 一方で潜熱はどこにあるかと言うと、スイカを作る時にデボジットとしてかかる500円が、これにあたります。
500円のデボジットを支払うことで、お金の入れ物が財布からスイカに変化します。
この500円は、残高には反映されず使う事は出来ませんが、スイカを維持する為にずっと潜んでそこにあるお金です。
このお金が潜熱となります。

電子マネーを止めて現金利用に戻す時に、デボジットの500円は戻ってきます。
この時、お財布の中に現金として残高になります。


まとめますと、
 お金(熱エネルギー)の入れ物(状態)を、お財布(水)から、スイカ(水蒸気)にする(蒸発)為に500円(潜熱)をデポジットとして支払います。
この500円(潜熱)は、残高(顕熱)に反映されないお金(熱エネルギー)。
 スイカ(水蒸気)になったら、お金(熱エネルギー)を出し入れ(加熱・冷却)する事で残高(温度)が変化する(顕熱)。
解約(結露または凝結)時には、500円(潜熱)のお金(熱エネルギー)が戻ってきて財布(水)の中の残高(温度)となります。

 という事で、使えるお金が顕熱で、使えないが状態を維持するお金が潜熱となります。



 第3種換気では、残高やデポジットを回収しないままsuicaを捨てているようなものなのです。
全熱交換を採用すると、suicaを捨てずに使い続ける事が出来ます。

 水と水蒸気に焦点をあてて説明しましたが、顕熱については水蒸気だけでなく空気に含まれます。
全熱交換では、屋内外の空気を直接触れ合わせることなく、顕熱を移動させます。
一方で、潜熱は絞り出すのではなく、特殊なフィルターを使い屋内の水蒸気を屋外の新鮮な空気に移動させています。


 なぜ、潜熱を絞り出さずにそのまま移動するかと言うと、潜熱を絞り出すと水蒸気は当然水に変わります。
まず、発生した水の処理をするためにエアコンの様に、ドレイン配管が必要になります。
ドレインの配管作業の手間と資材費が増えます。

また、水に替える為には何かしらの機械を使う事になりますが、それを動かすエネルギーが必要になってしまいます。
熱交換気本体に部品が追加されることで、本体のコストも上がります。
エネルギーの収支も下がります。

ですので、そのまま水蒸気だけを移動するのです。
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プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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