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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

お勉強会で感じる事。

参加している一般社団法人 新木造住宅技術研究協議会(通称:新住協)関東支部が主催する現場見学会に参加してきました。
いつもは断熱施工中の現場の見学会が多いのですが、今回は完成見学会となりました。

 今回の現場は、外壁の断熱材厚さがHGW16k315mmというもの。
外壁が厚いので外観上普通の窓が、室内に入るとすべて出窓になっています。
完成見学会と言ってもまだ計画換気も稼働していない状況でしたし、人の出入りも多く300mm断熱を肌で感じることはできませんでしたが、こういったものもいずれは手掛けたいと思います。

 今回配られた資料の中で、Q値1.1前後(壁の断熱材は220mm)の物件の年間の光熱費(オール電化の為電気代)に関するものがありました。
40坪弱、3人家族で年間115,000円程度で、ひと月1万円を切るのです。
仮に、次世代省エネ基準の住宅をQ値1.1近くまで上げる費用と相殺させると10~15年位で回収になるかと思います。
丁度その時期には、外装のリフォームなどが必要な時期ですから、次世代省エネ基準の住宅と比べるとランニングコストが安く収まる事が想像できると思います。

 また、お金のことも当然大切ですが、その間もその後も夏は涼しく、冬は暖かい暮らしが出来、温度差で亡くなる可能性が低く出来るだろう事を考えると充分に価値のある投資だと思うのです。
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耐震の事。

昨年は、耐震診断を2棟程行いました。
行った耐震診断は一般診断の方法1というものです。
これは、一般的な木造住宅を対象とした診断法で、主に筋交等の耐力壁で地震に抵抗する建物を対象としています。

 大きな声では言えないのですが、耐震診断の準備をしてから久しぶりのご依頼でしたので思い出すように色々と調べました。
この一般診断というのは原則として、診断の際、建物の部分的な解体は行わないという診断方法です。
インターネットで調べてみますと、それを逆手にとって室内を一通り眺め、外部を眺め時間的には2時間程度、持ち帰ってそれ用のソフトにデータを入力して出来上がり!なんて事をしている設計士がいると知りました。
 また、今回診断を行ったお客さんの手元にも建築確認に添付された図面をもとにして、他の業者が、『無料』で行った一般診断の資料もありました。
結果から言えば、無料の診断の点数は0.5位で『倒壊する可能性が高い』と、私が行った0.39と総合評価としては同じでした。
現況と図面とが一致しなかったことは、この点数差から容易に判断できると思います。

 耐震診断は、診断して終わるものではありません。
診断の先には耐震補強があるので、耐震診断は現況に則したものでなければ、耐震設計すら出来ないのです。

 私、大工としてこの業界に入りましたから、20年前位から現在までの現場の現状ってのはいろいろと見聞きしています。
現在は、平成12年の建築基準法の改正で耐力壁のつり合い良い配置について具体的な決まりが出来ましたから、それ以降のものは恐らく図面があればそれ通りに施工されているはずなので、問題は少ないですが、それ以前は金融公庫を利用した住宅でも結構いい加減というか・・。
平成12年以前の耐力壁の考え方は、法律では『つり合い良く配置する』と規定されているものの具体的な方法は規定されてなかったので、設計士が設定した耐力壁が納まりや、プラン変更によって移動しなければならなくなると、x方向ならx方向で別の場所に簡単に移動して施工していた事実があります。
もともとの設計が、規定がない為『つり合い良く配置』している訳ではないので、金融公庫住宅でも、移動してあれば問題なかったのです。
 そういう訳で、残っている図面に筋交位置が記されていても、本当にそこに施工されているかというと分からないのです。
 このことは、先日市役所職員と別件で話をしていた時に、職員の方から言っていましたから、行政も周知の事実なのです。

 といことはどういうことか分かりますよね?

 実際に施工状況を確認しない事には、金融公庫を利用した住宅でさえ正確な診断など出来るはずがないのです。
それなのに、床下にも天井裏にも潜らずに室内を眺めて行った診断など、信用できません。
 診断を行った設計士は、『提示された当時の設計図を元に診断を行ったので、現況と違っていたとしても、私の責任ではない』と言うでしょう。

その通りです。
図面とは本来、信用するに値する資料ですから。

 しかしながら、時代背景として大工が絶対的な地位にいて完了検査もほとんど受けなかったですから、建築確認に添付されている図面とは全く違う建物が建てられていたなんて事もざらにあり、図面通りの施工などまず信用出来ない時代がある事は事実なのです。
それを無視して、図面と現況を照らし合わせる努力もせずに診断したところで意味などありません。
お客様は、現実にその住宅に住んでいてその住宅の耐震性能を知りたいと思っていますし、危険であれば耐震補強もしたいと思っていますから、出来る限り正確な診断をすることが当たり前なのです。

 そういう考え方で耐震診断を行うとどういう流れになるかと言いますと。
まず、予備調査を行います。
お客さんの記憶を参考にしながら当時の施工状況や、リフォームの履歴を調査します。
図面があればそれを参照しながら、現況と図面の違いや、仕上げを確認していきます。
図面が無ければ、図面に起こしながら各部の仕上げも確認していきます。
 別の日に改めて、現場調査を行います。
 外部の基礎の施工状況(各部の寸法)、クラック、外装材の状況等を、地面を掘り返したり、屋根に登ったりしながら確認していきます。
 内部は床下や天井裏に潜り、基礎の配置や金物の施工状況、耐力壁の位置、構造体の劣化状況などを確認していきます。
 40坪位の建物だと、現場調査は軽く丸々一日かかります。
そこで得た情報を元に専用のソフトにデータを入力して診断を行い、現場写真も整理して考察も書きますと3~4日程度の手間がかかります。
その診断の費用として、10万円前後の費用をいただいています。

 因みに、鴻巣市では市内の業者が行った一般診断法での耐震診断について、助成金が最大で5万円(費用の1/2以内)出ます。
また、耐震補強の補助金(20万、65歳以上30万)を利用する場合は、耐震診断で助成を受けていないといけませんので、ご注意ください。
 同時に行うリフォーム助成金も利用することが出来ます。

 色々と書きましたが、現在建てられる住宅は、10年の保証が義務化されている関係で、瑕疵保険に入ります。
そうすると、耐力壁の施工状況の現場調査が行われますから、図面通りに入っている・・筈です。

自動車の走行コスト。

スーパーGTプラスという番組を見る機会が多くあります。
GT300、GT500がシーズンオフの現在は新車の試乗リポートや、車にまつわるイベント(カスタマイズ等)のリポート等放送されます。

 先日は、純粋なガソリン車以外の車の燃費(コスト)は果たして良いのか、悪いのかという内容でした。
登場する車は、

 ①燃料電池  トヨタ ミライ
 ②ディーゼル メルセデス・ベンツ E220アバンギャルドスポーツ
 ③PHV   アウディ A3スポーツバック e-tron
 ④電気    BMW i3

 なかなか興味深い企画でした。
車格など様々なのでエネルギー効率を単純比較はできませんし、省エネを意識した番組ではなく、あくまでも車好き向けの番組なので各車両の操縦性や、トランクにゴルフバックがいくつ入るのかといった事も話題になっています。

 燃費の比較方法ですが、箱根から都内まで走行し、それぞれの100km当たりの燃料代で比較しました。
結果は、電気自動車(¥250)がダントツに安く、それにディーゼル(¥707)が続き、燃料電池(¥1,492)、PHV(¥1,489)となりました。

 電気はコストは安いですが、走行距離が短いのがネックです。普段の足として近場を移動するには良いですね。

ディーゼルは、まぁ、今までのコストの安い方式という事で入れたようですし、以前のイメージがどれだけ払拭され乗用車として実用的か?という事も確認したかったようです。
しかし、確立されている方式はやっぱり安いですね。

 PHVについては、今回の対象車両がハイオク仕様であったのと、山道での検証で最初EV走行した為にバッテリー残量があっという間に底をついてしまった結果。
つい先日トヨタが満を持して発売を開始したプリウスPHVだともう少し良い結果になったのかもしれません。

 で、燃料電池のミライですが、水素の販売する単位はkgなんですね、ミライは約5kg充填できるそうです。
単価は、¥1,080/kg。206km走行して2.85kg充填(消費)しましたから、満タンで360km程度走れそうです。
まだまだ、市販されている燃料電池車はミライだけですから、コストの高さは否めません。
水素ステーション自体も数が少ないですし。

 今後、水素によって自動車のみならず、住宅や社会がどうなっていくか注目したいところです。

年代物の引掛けシーリング。


 昨年、戸建ての市営住宅の片づけをした時に見つけたものです。
台所に裸電球がぶら下がっていましたが、その根元を見て驚きました。
引掛けシーリングがあったのですが、それが陶器製。

 ガイシを見ることはあったのですが、引掛けシーリングは初めてでしたし、そもそも引掛けシーリングが当時あった事も知らなかったのです。

 余りに珍しかったのでぱちりと写真を撮りました。

断熱材の性能を発揮する為には。

7~8年前でしょうか。
近所に大手の比較的お求めやすい価格帯のハウスメーカーの注文住宅が建ちました。
そこで行われていた断熱工事は、間違ったものでした。

 その現場では一般的に使われている袋詰めのGWを使っていました。
袋詰めの断熱材は両端の耳を間柱や柱の見付面(正面、室内側の面)に留め付けるのが本来ですが、そこの職人は見込み面(側面)に留め付けていました。
よくある間違った施工方法です。
 私が見付面に取り付ける通常の施工方法を知ったのは20年以上前ですから、断熱メーカーの施工方法の啓蒙活動の不足を思いますが、ハウスメーカーの現場監督も知らないというのは問題だなという事を感じました。
流石に、省エネにうるさくなってきている現在もこんな施工をしている現場はないと思いますが、『いまだにそんなことを?』と思う事が断熱の施工方法に限らずに様々なところで聞こえてくので、もしかしたら変わっていない現場もあるのかもしれません。
いずれにしても、現場の職人よりもメーカー側の意識の問題であって、そういった知識のある現場監督が指揮をとらなければ現場は変わりません。

 さて、そんな間違った方法で施工された断熱材は、その性能を発揮できるのかどうかを考えてみましょう。

 耳を見込み面に留める事により、断熱材を包む袋と内壁材の間に隙間が出来てしまいます。
そうすると、床下と天井裏がこの隙間によって繋がり、空気の移動が起こります。
移動する空気は壁の裏側から室内の熱を奪い、壁の中を上昇し奪われた熱は小屋裏を抜けて外部へと逃げていきます。
断熱材が性能を発揮する方向とは違う方向へと熱の移動が起こるのです。

 裾や袖口、襟元が大きく開いたダウンジャケットを着ているようなイメージでしょうか。
体温で温められた空気は軽くなり、襟元から逃げていきます。
そうすると、ジャケット内は圧力が下がりますから袖口や裾、襟元から冷たい空気を内部に引き込みます。
その空気が内部で温まり、襟元から逃げていき、袖口や裾から冷たい空気が・・・
順番に書きましたが、これらが連続して起こる事で、ダウンジャケットの内側では風が吹いているようなものなのです。
当然のように、ダウンジャケットが持っている性能は発揮されずに、ダウンジャケットなのになんか寒いジャケットになってしまいます。

 このダウンジャケットを暖かなジャケットにするにはどうしましょう?

 ①ダウンの厚さを増やす。
 ②ダウンをもっと保温力の高い高級品に換える。
 ③裾や袖口、襟を塞ぐ。

 どれも暖かくなりそうですが①と②の方法は多少効果を期待できますが、ジャケット内の風は止みませんから十分に暖かくはなりません。
 ③を行い、風を止めることで外部に熱を逃がすことがなくなり、暖かなジャケットになるのです。
①や②を行う場合は、③も同時に行うことで更に暖かなジャケットになります。

 住宅の断熱改修もこれと同じです。
壁の中に風が発生しないようにする事は、非常に重要な事なのです。
 ダウンジャケットで言えば裾や袖口にゴムを入れて隙間を減らし、襟元はマフラーを巻くことで対応できます。
住宅ではゴムやマフラーの代わりに『気流止め』という部材を施していきます。
気流止めを外壁、間仕切壁の上下に施工し、壁の中に空気が出入りしないように塞いでいきます。
これで、風が止まり熱の逃げる量が格段に減り暖かな家になります。
この『気流止め』工事が前提にあって、天井・屋根、床又は基礎の断熱強化を施しますと、壁の半分以上は断熱材の強化は出来なくとも最新の省エネ住宅には劣りますが、壁の中の断熱材が持っている性能を十分に発揮して、現在よりも格段に快適な住宅になります。

 住宅内の温度差が関係して亡くなられる方が後を絶ちません。
年間では交通事故で亡くなる方を大きく上回るそうです。
仕上げや設備のリフォームだけでなく、断熱リフォームも検討してみてはいかがでしょうか。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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