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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

付加断熱と外断熱。

H28省エネ基準は最低基準で、世界的にみても、全館冷暖房しようとしても、断熱性能は低レベルで、省エネ住宅とは言えないのです。
ですから、壁の中に断熱材を詰める『充填断熱』だけでも、壁の外側に断熱材を張りつける『外断熱』だけでも、H28省エネ基準を上回る、大きく上回る性能を出すことは難しくなります。
考え方としては、この二つを合わせれば断熱性能が良くなることは想像できると思います。

  充填断熱 + 外断熱。

 充填断熱の外側に更に断熱材を取り付ける事で、より高性能な断熱性能が実現できます。
 柱や間柱の断熱材よりも断熱性能が低い部分(熱橋【ねっきょう】ヒートブリッジ)を、少なくする事ができます。

 『外断熱』は、柱の外側に合板を張り、それに外断熱専用のビスで、スタイロやネオマと言ったボード状の断熱材を張っていきます。
すっぽりと外側を断熱材で覆う工法です。
断熱材よりも断熱性に劣る木材(ヒートブリッジ)が見えないので、全体的に一定の断熱性能が発揮できます。
その一方で、外断熱材に使われる材料は不燃ではない為、火災の時に壁の中が燃えてしまう危険性がありますし、断熱材の外側にある外壁材を専用のビスだけで支える事となり、長い間には外壁材の垂れ下がり、震災時の変形が心配になりますので、モルタルなどの思い外壁は採用しない方が無難で、軽い外壁材を選びます。
また、断熱材の厚さは専用ビスに依存して限界があります。

 外断熱に似た工法で、『付加断熱』という工法があります。
 『付加断熱』は、柱の外側に合板を張り、それに断熱材の受材を横又は縦に一定の間隔で打ち付けて、その間に断熱材を入れていく方法です。
柱の間に断熱材を入れる充填断熱を、外側にもう一度付け足す感じになります。
ここで使う断熱材は、充填断熱で使われる断熱材の殆どを使えますが、一般的には繊維系の断熱材、とりわけグラスウールが採用されます。
 断熱材よりも断熱性に劣る木材(ヒートブリッジ)が見えますので、同じ厚さの断熱材を使った外断熱よりも全体的な断熱性能は落ちます。
しかし、グラスウールは不燃材ですから、火災の時にそれ自体は燃える事がありませんし、外壁材も木材で支える事が出来るので、ビスで支える外断熱よりも垂れ下がる心配が僅かです。
また、断熱材の厚さは受材に依存します。

 『充填断熱 + 外断熱」と『充填断熱 + 付加断熱』を、図にしてみました。

 それぞれの左側が、壁を横に切った時の断面で、右側が、壁を縦に切った時の断面になります。
 断熱材①と③が充填断熱です。
 この図ではどちらも大差ないように見えますが、断熱材②の所にある断熱材受の存在がその違いになります。
断熱材④の所には木材は入らず、外壁を受ける通気胴縁を専用のビスが貫通します。
断熱材は空洞と同じと考えますから、外壁はこのビスで支えます。

 *『付加断熱は、充填断熱に追加して行う断熱だから、今までの外断熱でも桟木を使った繊維系の断熱でも同じ付加断熱だ』という考え方もありますが、ヒートブリッジの存在や納まりの違いを考えると分けておいた方が良いと思いますので、『付加断熱』は受材を用いたものとします。
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32nd演奏会。

長年、吹奏楽をやっています(それ以外の音楽活動もしていますが)。

 あ、桜が今年は早くに咲きましたね。
4月を待たずして満開の所がちらほら。
今日も暖かかったですから、散り始めたところもあるようです。

 杉花粉が落ち着いてきて、桧花粉が盛り上がるこの時期は、5月の吹奏楽団の定期演奏会に向けての練習に、日曜日の午後から夜間までを費やしてしまいます。
 のんびりと過ごしたいところですが、この期間は仕方ありません。
更には、この時期、他の音楽活動も活発ですけど。

 演奏会のポスター、チケット、プログラムのデザインをやらせていただいていて、昨日原稿チェックが終了しましたので、ここで公開します。

 10年間はデザインを変えないので、シンプルな感じで作ってあります。
『32nd』という白抜きがちょっと雰囲気が違いますが、アイキャッチの為にわざとこうなっています。
個人的にはプログラムの表紙のデザインがお薦めです。

 演奏と、もしもプログラムの表紙にもご興味のある方はぜひ、ご来場いただけると嬉しいです。

説明をするという事。

熱貫流率や熱伝導率のお話を書いてきましたが、結局のところ室内で大切なのは床・壁・天井の表面温度をいかに高く保つかという事だと、なんとなくわかっていただけましたでしょうか。

 専門的な理屈を伝えようとした時に、難しい専門用語等を使うと難しくなってしまい、結局伝わらないという事はよくある事です。
どうにかして上手く伝えられないかと、簡単な言葉を探すのですが、私の理解もまだまだ浅く、こんな内容の記事を書こうとした時に、運転中など、どんなふうに説明すればよいかと考えますが、なかなか簡単で適当な言葉が見つかりません。
また、これを説明するにはこれを説明しなければと、ついつい細かな部分まで話をしてしまったりするのが良くないとは思うのですが、より正確な情報提供をと思うとそういった事態にハマってしまいます。

 分からない人に分かる人が(特に専門的分野の)物事を説明すると、上手く理解してもらえない事が多いと聞きますし、実感しています。
というのは、分かる人はその分野の基本的な事は当たり前のことと思っていて、なおかつ相手も分かっているという前提で説明をしてしまいがちですから。
その結果、相手は基本的な部分も分かっていないのにその上の話など分かるはずもなく、結局なにも分からないとなります。

 そういった、人に何かを説明する機会が公私共に増えてきて、最近なるほどなと思うのは、その分野の基本的な部分が分かっていない人に説明する人は、専門的な知識のない人の方が良いというのです。
つまりは、基本的な部分を分からない事を分かる人が説明した方が、分かってもらえるという事です。
経験者は語る、といった感じでしょうか。

 人に物事を説明するには説明する側も、その物事に対して深い理解が必要であると同時に、説明を受ける側をも理解しないといけないなと思います。


自立循環型住宅。

3月20日(火)、都内の建築会館ホールにて行われた一般財団法人 建築環境:省エネルギー機構(IBEC)主催の『自立循環型住宅設計講習会 改修版』へ参加してきました。

 この自立循環型住宅設計の講習会で配布されるテキスト、『自立循環型型住宅への設計ガイドライン エネルギー消費50%削減を目指す住宅設計』はこの講習会に参加しないと入手できないものです。
これまでに入門編、蒸暑地版、準寒冷地版、温暖地版がありまして、新築対象のテキストでした。
今回は改修版、つまり既存住宅の改修を対象としたガイドラインが出来たのでその初めての講習会でした。
既存住宅用のガイドラインは以前にもあったのですが、断熱・気密の改修方法をまとめてあるだけで省エネルギーの効果については言及されておらず、今回は新築版にある風や光、設備なども含め改修前後と、計画時点での効果の推計方法も含めて盛り込んであります。

 高断熱の勉強を始めた頃に、このテキストがどうしても欲しくて秋田まで受講しに行ったことがあります。
まずは、入門編の基本講義を受講しないと、温暖地版やその他の地域の講義が受けられないようになっていましたので、近々の日程で行ける範囲となると秋田の横手まで、有名な横手焼きそば、それも発祥と言われるお店の焼きそばを食すついでに、行ってきたのでした。
 その時と、温暖地版と、今回で3回目の自立循環型住宅講習会でした。

 改修版の今回は、実際にある建物を現在よりも快適で、省エネなものに改修する為の工法や材料の性能だけではなく、現状調査の方法から改修後の確認調査までをフォローしてありまして、これまでの新築対象のテキスト内容とデータは一緒ですが、内容が異なり、断熱一辺倒な私の頭には、改めてなるほどなと思う所も多々ありまして、良い講習会でした。

 家に戻って早速インデックスをペタペタと張りまして、活用していきたいと思います。

熱貫流率。

熱貫流率【ねつかんりゅうりつ】。
とある壁の暖かいこっち(室内)と寒いあっち(屋外)でどのくらいの熱が通り抜けたかって事をで、良いと思います。

 省エネ性能を表す指標として使われるUA値(外皮平均熱貫流率)は、その建物から逃げていく熱量を、外皮(屋根、天井、壁、床、開口部)の合計面積で割った数値ですから、外皮の熱貫流率の平均値になります。

 平均値ですから、同じUA値の建物でも、外皮それぞれの熱貫流率は違います。
外皮それぞれの熱貫流率がバランスよく設定してあれば値相当に快適です。
 しかし、例えば壁を300mmの高性能グラスウールで断熱して、窓はアルミサッシのペアガラスと偏った物でもUA値で見れば高性能な建物になるでしょうが、快適に過ごせるかというと窓のそばは熱が大量に逃げていきますから寒いと感じますし、足元も窓のそばで冷やされた空気が床に降りてきますからすーすーするので、期待していたほどに暖かくないと思うでしょう。
結露も相当な量で発生しますから、建物の寿命もどうなのかと心配になります。

 外皮の熱貫流率を小さくする(熱が逃げにくくする。断熱性能を上げる)と、外皮の表面温度は上がります。
そうすると、前回お話しした体感温度も改善する事になります。
それぞれの外皮の熱貫流率のバランスをとる事で、屋内の温度差を小さくする事が出来、体感温度も良好になります。

 さて、もう少し細かいところを考えてみます。

 それぞれの外皮の熱貫流率も平均値になります。
壁の熱貫流率、屋根の熱貫流率、サッシの熱貫流率など。
 例えば壁で言うと、断熱材が充填されている部分と、柱がある部分があり熱貫流率は異なります。
これは、断熱材と木材の柱では熱の通り易さが違う為で、材料毎のこの熱の通り易さを表すのが熱伝導率【ねつでんどうりつ】と言う数字になります。
アルミは236、鉄は83.5、木は0.20、高性能グラスウールは0.038、ネオマフォームは0.020、乾燥空気は0.024という感じです。単位は、W/(M・K)。
数値が小さい程に、熱が通りにくく断熱性能が高いと言えます。
木材と比べると高性能グラスウールは、約1/5、ネオマフォームに至っては1/10と熱の通り易さが違います。
 壁の熱貫流率は、石膏ボード、柱等の木材、構造用合板等の壁を構成する材料の総合評価と思ってください。
 柱と断熱材の部分の熱貫流率が違うという事は、表面温度も違います。
この壁の中で断熱性の低い部分は熱的に弱点となるのですが、これを熱橋【ねっきょう/ヒートブリッジ】と言います。
 熱橋を改善することで、それぞれの外皮の熱貫流率は低く(断熱性能は高く)することが出来ますので、対応策を考えます。

 柱を木材以外の熱伝導率の低いものに換えるといっても、木材は構造部材の中では断熱性の良い材料ですので、木材のままです。
あとは、この木材の表面積を減らすかこの部分の壁の熱貫流率を小さくします。
表面積を減らす事は、柱を細くするという事で、強度的な問題が発生するので難しい。
残るは、熱貫流率を小さくするというのが残り、これが正解です。
 その方法は、柱の外側に断熱材を追加する事になります。
実際は付加断熱というのですが、ここでは外断熱を追加するという風に考えてください。
外側に断熱材を追加するので、柱だけでなく断熱材の部分も厚みがまして全体的に断熱性能が上がります。

 例えば、ネオマフォームを100mm、柱の間に施工した壁と、高性能グラスウールを柱の間に100mm、柱の外側に100mmの合計200mm施工した壁では、断熱材の部分の熱貫流率はほぼ同じになります。
しかし、柱の部分はネオマフォームの方は、柱100mm分の熱貫流率しかないのに比べ、高性能グラスウールの方は、柱100mmに高性能グラスウール100mmの熱貫流率になりますので、こちらの方が壁全体の熱貫流率は小さく(断熱性能が良く)なります。
 建物全体の時と同様に、一部だけに断熱性能のよい材料を使うよりも全体のバランスを考えた方が良いという事です。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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