H28省エネ基準は最低基準で、世界的にみても、全館冷暖房しようとしても、断熱性能は低レベルで、省エネ住宅とは言えないのです。
ですから、壁の中に断熱材を詰める『充填断熱』だけでも、壁の外側に断熱材を張りつける『外断熱』だけでも、H28省エネ基準を上回る、大きく上回る性能を出すことは難しくなります。
考え方としては、この二つを合わせれば断熱性能が良くなることは想像できると思います。
充填断熱 + 外断熱。
充填断熱の外側に更に断熱材を取り付ける事で、より高性能な断熱性能が実現できます。
柱や間柱の断熱材よりも断熱性能が低い部分(熱橋【ねっきょう】ヒートブリッジ)を、少なくする事ができます。
『外断熱』は、柱の外側に合板を張り、それに外断熱専用のビスで、スタイロやネオマと言ったボード状の断熱材を張っていきます。
すっぽりと外側を断熱材で覆う工法です。
断熱材よりも断熱性に劣る木材(ヒートブリッジ)が見えないので、全体的に一定の断熱性能が発揮できます。
その一方で、外断熱材に使われる材料は不燃ではない為、火災の時に壁の中が燃えてしまう危険性がありますし、断熱材の外側にある外壁材を専用のビスだけで支える事となり、長い間には外壁材の垂れ下がり、震災時の変形が心配になりますので、モルタルなどの思い外壁は採用しない方が無難で、軽い外壁材を選びます。
また、断熱材の厚さは専用ビスに依存して限界があります。
外断熱に似た工法で、『付加断熱』という工法があります。
『付加断熱』は、柱の外側に合板を張り、それに断熱材の受材を横又は縦に一定の間隔で打ち付けて、その間に断熱材を入れていく方法です。
柱の間に断熱材を入れる充填断熱を、外側にもう一度付け足す感じになります。
ここで使う断熱材は、充填断熱で使われる断熱材の殆どを使えますが、一般的には繊維系の断熱材、とりわけグラスウールが採用されます。
断熱材よりも断熱性に劣る木材(ヒートブリッジ)が見えますので、同じ厚さの断熱材を使った外断熱よりも全体的な断熱性能は落ちます。
しかし、グラスウールは不燃材ですから、火災の時にそれ自体は燃える事がありませんし、外壁材も木材で支える事が出来るので、ビスで支える外断熱よりも垂れ下がる心配が僅かです。
また、断熱材の厚さは受材に依存します。
『充填断熱 + 外断熱」と『充填断熱 + 付加断熱』を、図にしてみました。
それぞれの左側が、壁を横に切った時の断面で、右側が、壁を縦に切った時の断面になります。
断熱材①と③が充填断熱です。
この図ではどちらも大差ないように見えますが、断熱材②の所にある断熱材受の存在がその違いになります。
断熱材④の所には木材は入らず、外壁を受ける通気胴縁を専用のビスが貫通します。
断熱材は空洞と同じと考えますから、外壁はこのビスで支えます。
*『付加断熱は、充填断熱に追加して行う断熱だから、今までの外断熱でも桟木を使った繊維系の断熱でも同じ付加断熱だ』という考え方もありますが、ヒートブリッジの存在や納まりの違いを考えると分けておいた方が良いと思いますので、『付加断熱』は受材を用いたものとします。