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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

大工の造る家具。

今回も造りました。
大工がランバーコアで造る家具です。

 以前は、シナランバーコアで造り塗装工事で塗装してもらっていましたが、最近は表面がポリ合板等の化粧合板で出来たランバーコアがありますので、これを使う事も多くなりました。
収納の中の家具はシナで、露出する家具は化粧合板のランバーコアです。



 当初の計画では、画面奥の内倒し窓の前に奥様の机を造り付けるだけでしたが、吊戸棚が増え机も延長されてこのようになりました。
吊戸棚の内部は、ステンレスの棚柱を側板に埋込み、可動棚板が3枚づつ入っています。
刻み1日、組立設置1.5日で、そのほかに設計に時間がかかります。

 化粧合板のランバーコアは表面に厚めの保護フィルムが貼ってある状態で納品されますから、表面の傷にそれ程気を使わなくても済みます。
また、小口テープはシナやラワンの様な突板ではないので、綺麗に切り落とせて仕上がりが良いのがいいところで、今回は最近の既製品に多いピン角(角の面をとらない)で仕上げました。
 扉もランバーコアを使用しています。
時間がなかったために建具屋さんに加工取付を任せました。
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袋入りGWの施工。

袋入りのグラスウールの施工方法を、ご説明してみます。

 新築では裸の高性能グラスウールと後張り気密シートで施工していますが、今回は断熱リフォームをしないお宅でのリフォームでの施工状況ですので、あしがらず。


 旭ファイバーグラスの10k相当の袋入りグラスウール。
100mm厚は4方閉じられていて施工が楽と言いますが、実際の所短辺の閉じてある部分は施工前に開いてしまいます。
裏のフィルムは切り落とさなくても良いですが、壁に入れる時には表に出てこないように奥にいれてしまいます。

というのは、短辺部分は土台や梁に接しますが、袋に入っていると奥側の角が丸まってしまい断熱性能が落ちてしまうだろうと考えているからです。
長辺方向も同じ理由で性能が落ちるでしょうが、そこは袋入りなので考えない事にします。
 もう片方は、表のフィルムを剥がします。

 中身のグラスウールと裏のフィルムを3cm以上切り取ります。

 3cmはフィルムを留め付けて気密を確保するのに必要な寸法ですので必ず守ります。
と思って写真をよく見るとこのフィルムは『防湿層』とありますね。
この辺の違いはまた別の機会にご説明できればと思います。
両端の短辺にフィルムの耳が出来たので壁に押し込みます。

この時、躯体と隙間が出来ないようにします。
もし長さが足らなかった場合は、切り落としたグラスウール等を詰めて隙間を無くします。

 
入隅部分はフィルムを剥がし、柱~間柱間になり幅も狭いのでグラスウールの巾を詰め、受材の際でグラスウールに切り込みを入れてグラスウールを柱面まで持ち上げてフィルムを受け材や間柱、柱に正面から留め付けます。

 窓下の断熱材施工が完成です。
フィルムがピンと張れてきれいだと思うのですが如何でしょうか。
この後フィルムを抑える工程がはいります。
今回も石膏ボードを張りました。
袋の印字が上下逆さまでも、グラスウールの性能には支障ありません。

 施工後に自重でグラスウールが下がり梁下に隙間が出来る事がありますので、壁を塞ぐ前に一度確認します。

 と、こういった手順を踏みます。
また、筋違が手前にある場合はフィルムを剥がして筋交に沿って切り込みを入れてグラスウールを持ち上げてフィルムを張り直します。
グラスウールの施工が大変だ、難しいと言われるのは、袋入りグラスウールを前提としておりそのフィルムの取り扱いにあるのです。
 別張りのフィルムにすると気密も上がるし、断熱欠損も減らせて性能も本来の性能が発揮されます。
いいことばかりですが、ただ、グラスウールの繊維がより多く飛び散りますのでマスクは必須です。

外付ロールスクリーン。

新築現場で建具を吊り込んでいた日。
良く晴れた日で暑かったのです。
2階の部屋で作業しており、日射を防ぐ為にシャッターを半分下して作業していましたが、明らかに窓の方から熱気が感じられます。
そこで取り付けてあった外付けのロールスクリーンを下げてみると、なんという事でしょう。
今までの熱気が嘘のようになくなり、更に室内は明るくなり、更にさわやかに風が入ってきました。
スチール製のシャッターが直射日光で熱せられて、室内に輻射熱を放射していたという事です。

 つまりは、金属製のシャッターや雨戸は夏場の日除けには効果がなく、むしろ暑いという事なのです。

 ゴーヤやホップなどのグリーンカーテンや、ヨシズで積極的に日除けするのは、やっぱり効果的なのですね。
でも毎年手間がかかるな~とお悩みの場合は、外付けのロールスクリーンや、ブラインドを試して見てください。
 それ程高くなく、取付も簡単でヨシズよりも全然長持ちしますし、収納も簡単。
一年中そこにありますから、春秋の中間期で急に日差しが強い日でもすぐに対応できて便利です。

過去の住宅。

現在、築23年の住宅のリフォーム工事を行っています。
あちらこちらを解体していくと当時の断熱工事の状況が見えてきます。
その状況に愕然としながら工事を進めています。

 高断熱住宅を手掛けるようになって得た知識を動員してこの時代の建物を見ると、ずさんさが良くわかります。
確かに、当時の現場では袋入りグラスウールの耳は柱の見付(正面)ではなく見込み(側面)に留め付けていましたし、壁の断熱工事は床の後でしたから土台や梁の上端から床の上端までの間は無断熱の状況です。
また、床と天井では間仕切りの中にまで施工する事は無ありません。
まさに、新住協にお世話になって初めて断熱材が効かない(効かせる)理由を知った時の状況が目の前にあります。
そしてそれは、紙面の断面図で見るよりもはるかに衝撃的な事です。

 『効く断熱施工をしたい』

 そうんな衝動に駆られながら、今回は断熱リフォームを断念した経緯がありますので手を出せませんが、もっともっとアピールしていかねばなと感じています。

 現存する住宅の断熱リフォームをする場合、基本的に構造体の内部で空気を動かさないような施工が必要になります。
床や天井がある状態でこれを行うのは簡単ではなく、あちこちを解体しながらの作業になりますので、見た目の問題やコストの問題が出てきます。
断熱材がついた外壁材をはって省エネ!なんてのはまず効果が期待できません。
躯体内の空気が動いていますから。
遮熱塗料を塗ったら、夏の室温が変わった!
確かにあるでしょうが、年間の光熱費は左程変わらないのじゃないでしょうか。
冷房よりも暖房の方がコストがかさみます。
夏場の室温が下がったなら、冬場の室温も下がるでしょう。
断熱効果はありませんから、室内で冷暖房しても今まで通り外部に熱は逃げて行ってしまいます。

 新築の時点できちんと断熱施工を施しておけば、一番コストを掛けずに高性能な断熱性能が手に入るのに。
長期的なコストで考えれば、それが一番ローコストになるのに。
そんな事を考えています。

通気工法。

構造と外壁の間に胴縁を打ち付けて通気層として空気が流れるようにする通気工法は、性能表示の劣化対策の等級2以上で選択肢の一つになってきます。

 通気工法は、躯体内の水蒸気を外部に排出するのに重要な役割を果たします。
気密層の欠陥部分から躯体内に侵入した水蒸気は、結露を起こす危険がありますので、これを排出する為に必要なのです。

 さて、通気工法の上下端はどうなっているかご存知でしょうか。
一階の下端は土台水切り周辺が入口となっています。
土台水切りの取り付け方によって2種類あって、一つは土台に取り付けて透湿防水シートを張って通気胴縁を施工する方法。
もう一つが、透湿防水シートをはって通気胴縁を打ってこれに取り付ける方法。
前者が恐らく一般的に行われている方法です。
透湿シートから連続して水切に繋がり、外壁材の裏側に侵入した雨水などを土台にダメージを与えることなく排出出来る方法ですが、透湿防水シート、通気胴縁、土台水切のそれぞれを誰が施工するのかによって施工順序が変り、施工の仕方も工夫が必要となります。
また、通気層と外気の間にネズミ等の侵入を防ぐ必要がある場合には、フィルターを別施工します。
 後者は土台パッキンの防鼠材の役割を土台水切に持たせる際に使われます。
床下の換気口と壁の通気層の入り口を一つにした方法です。
水切施工するだけで、床下と通気層へのネズミの侵入を防ぐ事が出来ることがメリットです。
透湿防水シートの施工の仕方によっては、土台が外壁材の裏側に侵入した雨水などに濡れる恐れがあります。
また、床下、通気層内への空気量が不足する恐れがあるとどこかで読んだ気がしますが確かではありません。

 さて、上端はどこでしょうか。
上端も2種類ありまして、一つは軒天との取り合いに専用の見切をつけて、ここを出口にする方法です。
通気層は、躯体内の水蒸気を取り除く役割がありますから、その空気には水蒸気が外気より含まれている場合がありますので、これを小屋裏に入れると小屋裏で結露を起こすリスクが増すことを避けたい時に採用します。
 もう一つは、軒天の施工前に通気胴縁を桁まで打ち付けて小屋裏まで連続させる方法です。
小屋裏内の水蒸気量が増えるかもしれませんが、小屋裏換気の給気口として通気層の土台廻りを活用できるとしたら小屋裏が乾燥した状態に出来るのではないかと思っています。
通気層と連続したことを勘案して小屋裏換気口を増やしてあげれば良いです。

 外壁が太陽熱で温められれば通気層内の空気は上昇し小屋裏へ入り、小屋裏の換気口から外部に排出されるのでははいかと。
また、北側面は逆に空気が下降して土台水切付近より外部に排出・・されるんじゃないでしょうか、その効果はそれほど期待できないと思っていますが。
 こういった理屈で夏場、断熱層の間に通気層を設け室内の熱気を外部に排出させたり、外部からの熱を室内に入る前に排出する工法がありますが、通気層で排出される熱気は必ずしも暖かいとは限りません。
室内でクーラーを使って冷やした冷気も排出してしまっているのです。
何故なら、厚く施工した断熱材のその間に通気層を設けることによって、夏季は半分の厚さに減らしてしまっていますので、外側に通気層を設けている断熱工法と比較しても冷気の排出量は多いことが想像できます。
 特に近年の夏は非常に暑く、エアコンの使用が必須となっています。
わざわざ断熱材を薄くして断熱性能を落とす何てことは省エネではありません。
 夏場の室内の気温上昇は、開口部からの日射を防ぐことで抑える事ができます。
高断熱住宅は、室内の熱を外へ逃がしづらい為、外部からの熱を遮断してあげる必要があります。
 その代わり、日射量を減らす工夫を行えば、小さなエアコンでも全館冷房できますし、日射を防いで窓を開けて通風を得ることで、春秋の中間期はエアコンに頼らなくても快適に過ごせる期間が長くなります。

 話がそれました。
 
通気工法が出始めの頃は、小屋裏の有効開口が不足する等の理由で軒天下で外部に繋げていましたが、現在は小屋裏内へ連続させる方法が一般的のようです。

 弊社で行っている断熱施工は、裸のGWを充填してから室内側に防湿フィルムを別に施工して壁内への水蒸気の侵入を防ぐことに気をつけています。
通気層が過度の水蒸気量になる事はまずありません。
完璧な施工がいつでもできれば、通気層はそういう意味では必要なくなりますが、現場作業ですからエラーもありますので、通気層を設けておくことは大切なことなのです。

 原則ではそうなのですが、下屋やベランダの笠木ではどう扱うのかが問題となってきます。
ベランダの笠木がある壁では、下端は土台水切で入口が確保されていますが、上端は施工中に通気層内へ雨水が侵入する事を嫌って、また施工後も雨が吹込みことを嫌って余った窯業系サイディングや、防水紙で通気層の上端を塞いでしまう事があります。
こうなると、通気層内の空気は効率的に水蒸気を外部に排出出来ない為に、通気層内で結露を起こすことになり、躯体や外壁材に大きなダメージを与える事があります。
 弊社ではこの部分、通気ライナーという部材を施工して上端の出口を確保するとともに、雨水の侵入を防いでいます。
 また、ベランダの床も立上りも通気層を設けているので立ち上がりの上端に通気ライナーを設け、水切を付けて透湿防水シート、通気胴縁、外壁の順番で施工し通気の確保と雨水の侵入を防いでいます。


 見えない部分ですが、住まいを長持ちさせる大切な部分なので、特に丁寧に施工しています。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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