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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

シロアリの事。

2階蟻害状況


 これは、先日工事を行ったお家です。
2階の梁が白蟻によって食い散らかされ、柱と繋がっていないのが分かります。

 これだけ木材を食い荒らされているのを見ると、食い散らかした木材の中に住んでいるように思われがちですが、鴻巣近辺の白蟻は、ヤマトシロアリという種類で、その巣は土の中にあります。
 ですから、この食い散らかした木材は単に『エサ場』なのです。

 これだけの被害を与える白蟻は怖い存在ですね。
どうやって防げば良いのでしょうか?


 駆除会社に依頼して薬剤の散布が正解でしょうか?
確かにそれも有効な手段の一つなのでしょうが、その前に白蟻の事をもっと知っても良いのではないのでしょうか。
相手を知っていれば、もっと効率的な対策が思い浮かぶかもしれませんから。


 まず、木造のお家の全てが白蟻に食いつくされていないと言う事に気付いてください。
全てのお家が白蟻に食べ尽くされ、壊れてしまうのであれば木造のお家は建てない方が良いという事になり、木造のお家が今も作られるというのは考えられません。
でも、古くは日本のお家は木と土と紙で作られ、今でもその時代のものが多く残っています。
これは、必ずしも全てのお家が白蟻に食べられていると言う訳ではないと言う事です。
白蟻の被害に遭うお家と遭わないお家には、何か秘密があるに違いありません。


 と言う事で、白蟻が生きていく為に必要なものはというと、

1、栄養
2、温度
3、酸素
4、水

 の4つです。
このうちの一つでも欠けると白蟻はその場所で生きていけませんから、白蟻の被害から大切なお家を守るには、どれかを取り除いてあげればよいのです。
取り除くと言うと難しそうですが、完全に”0(ゼロ)”にすると言う訳ではなく、白蟻が棲みづらくする程度に取り除くと言う意味です。


 では、どれを取り除く事ができるのか考えていきましょう。

 まず、『栄養』ですが、これを取り除くとお家自体が無くなってしまいますね。
 鉄骨造や鉄筋コンクリート造なら無縁の様な感じもしますが、構造部分では使われなくても、下地材や造作材(仕上材)に木材は多く使われていますので、被害にあう事がありますから、無関係ではありません。

次は2つまとめて、『温度』と『酸素』ですが、この二つを取り除くと人間も生活するには不便ですね。

 さて、最後に『水』。
これを取り除くことが、白蟻対策の基本なのです。
 私たちでも、食事をする時は水分を一緒にとりますよね?
お味噌汁、スープ、お茶やコーヒー等。
白蟻も同じで、食事をする時は水分が必要なのです。

 ですから、床下に、湿気を侵入させない(防湿)、侵入した湿気を吸い取る(吸湿)、吸い出す(排出)、湿気を木材に触れさせない(遮断)と、こんな対策の考え方があると思います。
また、白蟻が嫌う樹種(檜、檜葉等)を利用するというのも良い手です。
一つまたは、組み合わせて対策を考えると良いでしょう。

 ちなみに新築の場合は、基礎をべた基礎にしたり、防蟻処理をしたり、床下全周換気と効果的な対策を施せますし、施しますので安心できます。

 白蟻の被害には、浴室、洗面所、台所、トイレの水廻りに集中しています。
また玄関も被害が多い場所ですが、これは他の場所よりも土の近くにまで木が接近していたり、土と木がくっついてしまっている場合もある上、空気の流れが少ない場所になり易いからです。
多くのお家の場合、これらの場所以外で白蟻が発生する事は少ないのです。

 また、これまでは基礎の内側からの白蟻の侵入を考えてきましたが、外部から侵入するケースもあります。
基礎に木材を建てかけていたり、植木等の植栽がっくっついていたら要注意です。
基礎との間の隙間を使って、白蟻が蟻道を作っているかもしれません。
お家の廻りはきれいに片づけて空気の通りを良くしておくことが、白蟻対策になります。

 さて、最初の写真を思い出してください。
これは、2階の梁が白蟻の被害に遭った写真です。
そして、白蟻の巣は土の中にあると言う話もしました。
また、浴室等の水廻りでもありません。


 では、何故ここにこんなにも大きな白蟻の被害が発生したのでしょう。


通常であれば、巣のある土からも離れていて水廻り設備(給排水管も含みます)のない部分で白蟻の被害に遭う事はまずありません。
これは、白蟻が生きる為の『水』が無いからです。
しかし、現実には2階の床に白蟻の被害が発生するケースが、この写真の様にあるのです。

『水』ないはずの場所に、一体どこから『水』が来たのでしょうか?

 答えは、雨漏りです。
このお家のベランダの柱は、化粧柱(柱が見えている状態)で外部に露出しています。
この柱に、ベランダの床を受ける為の部材を取り付けてありますが、その取付部分から柱の内部まで染み込み更には、羽子板ボルトを伝わり梁へと広がりました。
 木材はある程度湿っていると菌が増えて腐ってしまいます。
また、腐り始めると白蟻の大好きな臭いを発生し白蟻を誘惑します。。
そしてこのお家は、2階の梁まで白蟻の被害に遭ってしまったのでした。


 この事例は、白蟻対策からいえば想定外なのですが、雨漏りを放置する事は非常に危険だと言う事が分かるでしょうか。
屋根材の割れやずれ、外壁のひび割れからも雨水は侵入しますので、気付いたら早めに修理をしましょう。


 写真の現場は、次の様に梁の一部を新しい物(檜)に替え、既存の柱ともう一方の梁とは羽子板ボルトで接続、この後2階の柱も根継ぎしましたが、そちらも金物補強を施しました。
 復旧時には、雨漏りの対策を念入りに施しておきましたから、ここでのシロアリ被害は起こらないでしょう。
2階胴差交換
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プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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