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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

床下の湿気。

和室の畳を、フローリングに変える工事を行っています。

 やや、湿気の多い現場で現調時に畳の一部が沈み込むような状況でした。
合板の床材でよく柔らかくなる事がありますが、その場合は大抵、床材の劣化である事が殆んどです。
合板は薄い板を繊維が直交する様に接着剤で張り合わせて1枚の板にしています。
その接着剤が経年変化で切れてしまい、接着前の薄い板を重ねただけの板になる事で柔らかくなります。

 床に乗って大凡300mm間隔で硬い線状の部分が見つかれば、床板を支えている根太は健全であり、床材だけの問題と言えます。
この300mm間隔の根太が見つからない、若しくは、全体的に沈んでしまう場合は、根太自体や、根太より下の大引や根太掛に問題がある事になります。
そうなると根太は撤去する可能性が大きくなるので、交換を考えます。

 今回は畳の場合ですが、畳本来の厚さはおよそ60mmです。
現在作られる畳の殆どは、床【とこ】にスタイロフォームが採用されていますが、それ以前は藁床が用いられていました。
今回のお宅も藁床の畳で、かなり湿気を含んだ状態でした。
畳に載ると広い範囲で沈み込む感じです。

 藁床畳(和室)の場合、時期的に根太間隔が455mmで施工されている事が多いです。
それを念頭に入れて調査をします。
また、畳自体がヘタっている場合や、畳と根太の間にある荒床【あらゆか】が現在は14mmの杉板もしくは12mmの構造用合板、24mmの厚合板などが使われますが、古いものだと9mm程度の板が使われている事も多いのですが、この荒床も合わせてヘタっている場合もあったりします。
この辺の判断は結構難しいので、可能であれば畳をめくってしまうと間違いが少なくて済みます。
今回は家具や荷物が多く畳を剥がせませんでした。
根太も何かしらの問題があるような感触でした。
大引までは分かりませんが、根太のトラブルの種類によっては何かしらの問題が発生しているかもしれませんが、現状では完全にへたっている感じではありません。

 畳から床に変えるとなると、60mmの間に根太30mmと捨て張り合板12mm、床材12mm、根太下に高さ調整用の飼い物を納める方法を採用するケースが多いですが、今回は根太に問題がありそうなので、荒床を剥がして根太を補強する方法を想定しました。
その場合の根太は45mm角となります。

 そうして開けてみると、畳の下には細かな虫の糞の様なものが沢山ありましたが、シロアリ被害は無さそうです。
荒床も剥がしていくと、根太は杉の芯持ちの45mm角で、杉皮もついているようなものでした。
大引も杉の90mm角で調査の時に沈み込んだ付近では、腐朽菌に取付かれ痩せている状態でした。

1部屋目はそれでも大引の一部分だけでしたので、少し隙間を空けて、痩せている範囲に大引を設置します。
根太も腐っている訳ではないですが吸湿して柔らかくなっているので、根太の間に1本ずつ追加しておきます。
そうして、断熱材を根太間に入れ捨て張りの構造用合板を張って、床材を設置して完成です。

 床束は鋼製の物に交換しました。
床束もかなり湿っぽい状態で、ぽろぽろになっているものもあり、全て鋼製床束に交換しました。
 
 床下の湿気対策として、お客様支給の床下湿度調整材(ゼオライト?)を敷き詰めました。
 ゼオライトのような調湿材は、半永久的にその効果を持続すると言われ交換する手間はありませんが、効果を確認するのは難しいのかもしれません。
高湿である期間を短くする(若しくは無くす)事を期待できますが、吸湿量を超える期間が長すぎるとその間は無いのと同じになってしまいますので、本当なら湿度計を設置して通年の記録を取るのがベストですね。
 
 畳(藁床)の場合、吸湿効果があります。
昔は天気の良い日に庭に出して干したという話を聞いています。
そうすると、干す前と干した後の重量の違いに驚いたなんて感想を聞きました。
つまり、床下の湿度を床材の畳が吸湿するので、部屋の換気を行わないと部屋の中が湿ってカビが発生するという事が起こります。
束建ての古民家であればそういった事も少ないのかもしれませんが、外周を布基礎で作るようになってからはそういった事も増えたのでしょう。

 今回はその吸湿材の畳を取り除き、GWと合板、床材という構成に変えました。
以前より、室内への湿気の侵入は抑えられる筈です。
GWがある事により合板裏面での結露も抑制できるでしょう。
あとはゼオライトが十分に機能すれば、床組みが今後ダメージを受ける事も無くなると考えています。

 2部屋目は、大引2本とも全体的に腐朽菌に侵されて、やせていましたので大引まで交換となりました。
ウッドショックの時期、急な事でしたが材木店に桧の大引の在庫があったので急ぎ入れてもらって工事を止めることなく施工できました。

 この現場、床下換気口は四方に設置されていますが、数が少ないという点と、建物の周囲に緑が多く、西面には建物と境界との塀を使って物置の様に屋根が掛けられていて、風通しが悪いことが言えます。
ゼオライトが十分に効果を発揮してくれると良いなと思っています。
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現場発泡ウレタン。

サッシの隙間とか、あちこちの隙間で断熱材の欠損部分に現場発泡ウレタンは重宝します。
この度、ウルトというドイツのメーカーが販売しているものを使ってみました。
このウレタンは、従来の物に比べてとても柔らかく、3倍の追従性があるというのがウリです。
また、膨張率も従来の物よりも低いので、枠を押し広げて曲げてしまう心配も少ないそうです。

 専用のガンを使って充填していきますが、このガンも出る量の調整が簡単に出来、剛性もあって使い易いものです。

 充填後、数分で触っても手に付かなくなり、20分で切り取る事も出来るようになります。
柔らかいのでやや切りづらく、充填幅が細い場合はへらなどでこそいだ方が簡単に取れるようです。

 ちょっと、いい感じです。

増築工事で思う、当時の事。

現在、増築工事を行っています。

 5畳の増築なので、建築確認は必要のない工事です。

 築20年位。

 壁を剥がし、天井を剥がし、床を剥がしていくと色々と当時の事や、施工した職人の意識もうかがえしれます。

 当時の壁の断熱材は、袋入りのGW10K相当、厚さ50mmが標準。
防湿層はフィルムです(以前はアスファルトを含ませた紙)。
天井の断熱材も同じものが1枚載せてありました。

 壁の断熱材はやはり、天井までの所が多く、天井から梁・桁下までの間は無断熱になっています。
和室の雨戸付掃き出しサッシの戸袋の上には断熱材があるものの、戸袋の裏には断熱材が無かったり、玄関に縦長のFIX窓が2つあったのですが、このサッシは後から急きょ付ける事になったのか、窓下に断熱材が折りたたんで・・詰め込んでありました。
恐らく窓がつく前に入れたあった断熱材を詰め込んだのでしょう。
ベランダの出入、跨ぎの壁には当然の様に断熱材は無く。
ビルトインガレージですが、ガレージ側に防湿フィルムが向いていました。

 筋交は45x90の米栂で、端部はZ金物が使われていました。
釘とボルトを併用しているやつですね。

 張り出しの造作ベランダは芯々で910mm跳ねだしていますが、105角が910mm~1820mmピッチ。
105角。

 プレカットで刻まれています。
出隅に通し柱(120mm角)が、外面平らで納められています。
レーザーで2方向確認してもほぼ鉛直に建っています。
ここから2間(3,640mm)、桁行方向にある管柱を見てみると通し柱とは反対方向に15mm程倒れています。
土台の芯々間隔は3,640mmであっているのですが、上が寝ています。
105mmの通し柱でデータ入力して、後から120mmの通し柱に変更した際に梁の長さの変更をしなかったのでしょうか。
そうなると、もう一方も同じでしょうか。
もっというと、反対にある通し柱でも同じことが起こっていると、そちらでは都合30mm寝ている事になります。
そちらの方は手を付けないので確認はしていませんが。

 床材は12mm厚の複合フロアが採用されていて、捨て張りもしてあります。
床材の留め付けは、接着剤にフィニッシュネイルで行われています。

 床材の施工説明書に『フィニッシュネイルは使わないでください』という文句を見かけます。
そんなもので固定が出来る訳ないと思っていて、そんな事をやる人がいるのかとずっと思っていましたが、実際にいました。
そのせいでしょうか、全体的に床鳴りが気になります。
また、解体していくと分かりますが、捨て張り合板との間に隙間が見られます。
部屋の周辺、壁際では顕著になっていました。

 和室(真壁)の化粧柱は貼物の集成柱で、貫穴を掘らなかった(掘れなかった?)為に、胴縁材が大壁側に取付けてありそれをガイドに貫が留めてあります。
様々なところに下地材の受材として30x40断面の木材が留めてありますが、50mm程度のくぎ打ち機のワイヤー連結釘でトトトトト留め付けた感じ。

 ビルトインガレージの壁、天井と軒天はフレキ板で、10mmのステープルで留めてありました。
剥がれてはいなかったですが、フレキ板は硬いので、ステープルは表面で座屈しているものが多く見られます。

 このステープルは、室内の天井の石膏ボードにも使われていました。
間仕切壁の受けを取り付ける為に天井裏に潜ると、野縁を外したステープルが散見し、留めたかった野縁付近をおすと留め付けられていない事が分かります。
同じエアツールでも釘やビスなら、野縁から外れると頭が潜らないので気づくのですが、ステープルでは気づかないのでしょう。

 野縁は梯子に組んだものを並べていく方法でしたが、その梯子通しの接続は釘打ち機の50mm程度の釘。
30mmの材を止めるには少し短いですね。

 弊社の当時のやり方と比べてもずいぶん違うものだなと、ある意味勉強になる現場です。

保守的。

建築業界は超保守的と言う人がいました。

 あ、なるほど。
保守的。

 実績の無い物は簡単にお客様にお薦め出来ません。
つまりはアフターフォローを考えてしまうと、ついつい新しい製品や技術の導入に二の足を踏むのは確かにあります。

 人生で最大の買い物と言われるように、35年ローンで借り入れをして手に入れるお住いに発生した不具合が、建築当時に真新しい優れた技術や製品だったとしても、10年経過した時点でメーカーが存在しているかと言う事も考えなければなりません、お薦めする側としては。

 例えば、屋内の建具。
今やユニット建具全盛と思います。
ユニット建具の魅力は、お客様にとってはオーダーメイドで作ると高額となる建具が、気に入ったデザインがあればお手頃価格で手に入る事。
施工者から見れば、大工が取り付ける事で完了するので、工期短縮や工種削減、コストの削減も期待できます。

 その一方で、部品の問題が発生します。
ユニット建具の場合、その丁番は取付条件に対応できるように、様々な方向に調整できるものが採用されています。
調整できるという事は、勝手に動いて調整が狂うという事も言えますし、従来の丁番に比べ動く部分も多いので壊れやすいという点があります。
そこにはユニット建具の重量がかなり大きいというのも関係しています。
壊れた時点で、メーカーが交換用の部品を用意してあれば良いですが、モデルチェンジと共に全く異なった部品になってしまっているケースもあります。
丁番メーカーが建具メーカーに部品を供給している場合は、同じものを見つける事も出来る可能性は大きいですが、それも丁番メーカーが製造を続けていればの話。
また、オリジナルの丁番となると交換が困難になり、枠毎全部替える、建具を建具職人に作らせるという事も考えられなくもありません。
従来の簡単な構造の丁番であれば、同じようなものは簡単に手に入るので、丁番が入手困難なんてことはまずありません。
同じ建具をずっと、使い続ける事が出来るのです。

 10年先、20年先、30年先・・という事を考えると、なかなか新しい技術や製品を採用に踏み切るの事は難しいのです、心情的に。

 製造メーカー、開発メーカーが長く存続していてくれれば、良いのですがそうでもないケースが結構あります。
壊れたりしたら修理不能で即交換。

 仕方のない事と言えば、そうなのかもしれません。
物は壊れるのが当たり前。
しかし、出来るならば信頼性の高い物を採用したいと考えてしまします。

 そういう観点から考えると、建具は建具職人に作らせるのがベストだと考えています。
そうなると枠は無垢材か集成材で、MDFの採用は見送ります。
MDFの場合、ビスの保持力に疑問がある上、一度ビスが抜けてしまうと直す事は出来ませんが、無垢だったリ集成材の場合は、穴を細い木材で埋める事で直す事が出来てしまいます。
思い建具も安心して吊る事が出来るのです。
コストを考えれば、戸はフラッシュ戸。
フラッシュ戸とは、木材の骨組みに合板などの薄い板を圧着して作った中空の軽量の建具の事です。
圧着する板はシナ合板を現場で塗装したり、MDFの板に木目を印刷した化粧シートを貼った板を使ったりします。
薄くても無垢のシナ合板をお薦めしています。
他にも様々な薄い木を貼ったものもありますが、コストが跳ね上がります。

 また、建具職人に建具を作らせると枠の納まりが変わってきます。
文章で説明するのは難しいのですが、簡単に言うと線を減らしてスッキリと納める事が出来るのです。
3尺廊下にドアを付ける場合、ユニット建具では建枠のどちらかに少し壁が出来ますが、建具を作らせる場合は、柱にケーシングなしで縦枠を直接取り付けても納められますし、石膏ボードを張ってから取り付ける事も出来ます。
どちらの場合も建枠はケーシング無、上枠はケーシング有で納めています。
ケーシングは豪華に見えますが線が増える為、くどくなり易いので場所によっては無い方が綺麗に納まったりします。

ウッドショックと雨。

5月も半ば頃からスッキリしない天気が続いています。
3月から行っていた内装工事もようやく目途がつき、次の現場に入りました。
増築+内装リフォーム工事。
木工事が絡まない戸建ての解体や、土地の造成工事も進んでいるのでそちらにも顔を出しながら、工事依頼の現場調査も行いつつ・・・。

 少し前から海外のどこかの海峡で積み荷を降ろせない貨物船が大量に停留していて、世界的にコンテナも貨物船も不足しているというニュース映像を見かけました。

『大変だな』

 と、そんな他人事の感想を抱いて眺めていましたが、にわかに『ウッドショック』というキーワードが業界から聞こえ始め、構造材の不足から新築工事が止まり、少し前までは忙しくてこちらの工事を捻じ込むのが大変だった基礎工事担当業者が、それらの工事が延期になったと聞きました。
おかげで予定よりも早く(早すぎ?)に増築工事の基礎工事を無事に行う事が出来ましたが、構造材の心配も同時に起こり材木店に問い合わせると、『三五梁なら大丈夫かな。他のお客さんが新築するというので探した四寸梁は揃わなかったんですよ。』と。

 内装工事に取り組んでいた間に、大変な事態になっていた物だと感じましたが、とりあえずの材料は確保できたので今しばらくは大丈夫かなと思います。

 材料は手に入りましたが、次に問題は天気。
既存の屋根と繋ぐのであまり雨が続くようでは、着工に二の足を踏みます。
内部の工事もあるので、様子を見ながらとなりますね。

 構造材の墨付け・刻みを行いますので、その作業もありますし。
出来るところから攻めていこうと思います。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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