建築業界は超保守的と言う人がいました。
あ、なるほど。
保守的。
実績の無い物は簡単にお客様にお薦め出来ません。
つまりはアフターフォローを考えてしまうと、ついつい新しい製品や技術の導入に二の足を踏むのは確かにあります。
人生で最大の買い物と言われるように、35年ローンで借り入れをして手に入れるお住いに発生した不具合が、建築当時に真新しい優れた技術や製品だったとしても、10年経過した時点でメーカーが存在しているかと言う事も考えなければなりません、お薦めする側としては。
例えば、屋内の建具。
今やユニット建具全盛と思います。
ユニット建具の魅力は、お客様にとってはオーダーメイドで作ると高額となる建具が、気に入ったデザインがあればお手頃価格で手に入る事。
施工者から見れば、大工が取り付ける事で完了するので、工期短縮や工種削減、コストの削減も期待できます。
その一方で、部品の問題が発生します。
ユニット建具の場合、その丁番は取付条件に対応できるように、様々な方向に調整できるものが採用されています。
調整できるという事は、勝手に動いて調整が狂うという事も言えますし、従来の丁番に比べ動く部分も多いので壊れやすいという点があります。
そこにはユニット建具の重量がかなり大きいというのも関係しています。
壊れた時点で、メーカーが交換用の部品を用意してあれば良いですが、モデルチェンジと共に全く異なった部品になってしまっているケースもあります。
丁番メーカーが建具メーカーに部品を供給している場合は、同じものを見つける事も出来る可能性は大きいですが、それも丁番メーカーが製造を続けていればの話。
また、オリジナルの丁番となると交換が困難になり、枠毎全部替える、建具を建具職人に作らせるという事も考えられなくもありません。
従来の簡単な構造の丁番であれば、同じようなものは簡単に手に入るので、丁番が入手困難なんてことはまずありません。
同じ建具をずっと、使い続ける事が出来るのです。
10年先、20年先、30年先・・という事を考えると、なかなか新しい技術や製品を採用に踏み切るの事は難しいのです、心情的に。
製造メーカー、開発メーカーが長く存続していてくれれば、良いのですがそうでもないケースが結構あります。
壊れたりしたら修理不能で即交換。
仕方のない事と言えば、そうなのかもしれません。
物は壊れるのが当たり前。
しかし、出来るならば信頼性の高い物を採用したいと考えてしまします。
そういう観点から考えると、建具は建具職人に作らせるのがベストだと考えています。
そうなると枠は無垢材か集成材で、MDFの採用は見送ります。
MDFの場合、ビスの保持力に疑問がある上、一度ビスが抜けてしまうと直す事は出来ませんが、無垢だったリ集成材の場合は、穴を細い木材で埋める事で直す事が出来てしまいます。
思い建具も安心して吊る事が出来るのです。
コストを考えれば、戸はフラッシュ戸。
フラッシュ戸とは、木材の骨組みに合板などの薄い板を圧着して作った中空の軽量の建具の事です。
圧着する板はシナ合板を現場で塗装したり、MDFの板に木目を印刷した化粧シートを貼った板を使ったりします。
薄くても無垢のシナ合板をお薦めしています。
他にも様々な薄い木を貼ったものもありますが、コストが跳ね上がります。
また、建具職人に建具を作らせると枠の納まりが変わってきます。
文章で説明するのは難しいのですが、簡単に言うと線を減らしてスッキリと納める事が出来るのです。
3尺廊下にドアを付ける場合、ユニット建具では建枠のどちらかに少し壁が出来ますが、建具を作らせる場合は、柱にケーシングなしで縦枠を直接取り付けても納められますし、石膏ボードを張ってから取り付ける事も出来ます。
どちらの場合も建枠はケーシング無、上枠はケーシング有で納めています。
ケーシングは豪華に見えますが線が増える為、くどくなり易いので場所によっては無い方が綺麗に納まったりします。