忍者ブログ

Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

断熱改修。

昨年末、LDKのリフォームを行った現場。
天井に高性能グラスウール、200mmの断熱改修を全体に行いました。

 この現場は、弊社で25年前に新築させていただいたお住いです。
断熱は、壁にグラスウール10k相当50mm、天井・床については無断熱という状況でした。
天井裏の断熱改修は通気止めを行い、袋詰めグラスウールを施工しその上に裸のグラスウールを重ねていきました。
袋詰めを施工するのは、防湿層の形成を狙ってのことです。
室内側の仕上げは、ビニルクロスでしたからこれを気密層として考えます。

 天井断熱を追加しただけでも、室内は変化を感じる事が出来ます。
施工した翌朝、奥様がやや興奮した様子で『明け方、お布団の中で肩の周りで感じる冷たさが違う』と、おっしゃっいました。

 年を明けて、床の断熱改修も行う事となりました。
床下は通気止めを行うには隙間が多く、部材も入り組んでいる為、現場発泡の吹付ウレタンで改修していきます。

 壁については、役不足感は否めないですが、一応、断熱材は入っており、窓に関しては数年前に真空ガラスに交換してありました。
もともと単板ガラスのアルミサッシですから、隙間風とアルミ部分の断熱性能は期待できませんが、ガラス部分の断熱性能が飛躍的に上がっている事は評価出来ます。

 この状態で床断熱を施工すれば、一応断熱材で建物を覆う事が出来ますので、以前とは比べ物にならないくらい改善します。

 この後、行うとすればサッシに内窓を設置する事と、玄関の引戸サッシを高断熱のサッシに交換する事で、更に改善します。
PR

2020年省エネ義務化の件。

国の施策として進められてきていた『小規模住宅の2020年省エネ基準義務化』ですが、昨年、どうやら見送りする事が、ほぼ決まったようです。

 とても残念に思います。

 日本の省エネ基準は、世界的にみたら可愛らしい基準です。
とても『省エネ』なんていえないレベルなのですが、見送りとなりました。

 そんな嫌な予感は発表当時から感じていたのですが、世界的に省エネ化が進んでいる状況を考えると、今回こそは実現するだろうと思っていましたが、残念なことに見送りになりそうです。
日本はまた、世界から『ダメな国』と思われるのです。

 そもそも、『義務化』と言っている時点で、省エネ基準にすら達していない、正しい断熱施工がされていない住宅を建てている業者が沢山いるという事です。
そうしてそれは、建て主が希望して建てているとは到底思えませんし、省エネ基準を守らなくても、問題がない事も知らないでしょう(融資条件は別です)。


 省エネ施策は一体だれの為なのか。


 世界的な省エネの流れに逆行するような決定を、心の底から残念に思います。
とても胸を張れるような省エネ基準でもないレベルですが、義務化されることにより施工者の意識の改善につながり、全体のレベルが底上げされ、より一層の省エネに進むと思っていました。

 そしてそれは時間はかかりますが、なにより、そこに住む人たちに経済面でも、健康面でも利益をもたらすことになり、更には国全体のエネルギー消費量を抑える事に繋がりますし、医療費の削減にも期待できるかもしれません。

 業界側から建て主の意識改革を促す方向が望ましいのですが、それも難しくなりました。
消費者側からの働きかけで、業界が変わるという事に期待します。

 次世代の子供たちに、少しでもきれいな地球を渡せたらと思います。

結露の季節。

11月も終盤で、2018年も終盤ですね。
過酷な暑さだった夏の余韻に浸っていたものの、気づいてみたら11月7日に立冬が過ぎ、本日22日は小雪です。
北の方では初雪も観測されたとか。

 日中晴れると、まだまだ暑く感じますが、今日は寒く、いよいよ『冬』なのだなと感じます。

 冬になると気になるのが、窓ガラスにびっしりと発生する『結露』です。
『結露』はご存知の通り、空気の中にある水蒸気が、冷たいガラスに触れて水になる現象です。
カビの発生を招いたりするので、結露は少なくしたいものです。

 ガラスで起こる結露は、ガラスと水蒸気をくっつかないようにするか、ガラスの表面の温度を高く(といっても結露しない温度に)してあげればよいのです。
内側にもう一つ窓をつけたり、ガラスをペアガラスにしたり、ガラスの表面にエアパッキンやプラダンのようなものを貼りつける事も効果があります。
と、こういった話はこの季節あちこちで聞く事でしょう。
内窓が安い!とか。

 さて、ここからが今回の本題です。

 家の中で他に結露を起こすところというと、お風呂場のような水蒸気の多いところはそうですが、押入とか、納戸なんてところも結露して、カビが生えていませんか?

 先日もお客様に相談されました。
『クローゼットの壁がカビだらけになるので、外壁の外側に断熱材のような物を張り付けたいんだけど、簡単に出来ないかな』といった風に。

 そこのお宅は、壁の内側にアルミが蒸着されたエアパッキンが貼り付けてありました。
それでも壁との間に隙間があって、壁にカビが生えてしまうのだそうです。

 結露するのは、壁が冷たいせいだから、断熱材を貼り付けてあげれば温かくなる。
内側に貼りつけるのは難しい。
しかも寒いのは外なので、外壁の外側に断熱材を付ければ、効果抜群!
そうすれば、結露も無くなるはず。
よしよし。
という考えでしょう。

 しかし、もっと簡単に解決する方法がありますよと伝えました。
それは、クローゼットの戸を開けておくという方法です。
戸を閉めておくと、暖房した部屋は暖かくなりますが、クローゼットの中は暖まらずに寒いままです。
当然、壁も冷えていますから壁に触れた水蒸気が結露してしまいます。
結露すると空気が乾きますから、他から水蒸気が寄って来て更に結露します。
戸を開けて室内と同じ温度にしてあげると、壁の表面も暖かくなってクローゼットの中も結露しません。

 この時、クローゼットの壁と衣服や家具をくっつけないで、少し離しておくことが大切です。
 この方法は、暖房する部屋の広さが広がるので、暖房費が増えてしまいます。

 実は、高気密高断熱住宅でもこれと同じことが起こることがあります。
使っていなくて暖房をしていない、戸を閉めっぱなしにしている部屋で。
いくら高断熱住宅でも、暖房されなければ徐々に外の空気と同じ温度になっていきます。
そうすると、壁や天井が結露を発生するほど冷えて、結露を起こしてしまう事があります。
ですから、高断熱住宅に住む場合、戸を開け放して生活をする事になります。

 私が子供の頃は『開けたら閉める!』と教えられましたが、高断熱住宅にすむ子供は、『戸を閉めない!』と教える必要があるかもしれません。
他の家では『開けたら閉める!』とも。

 q-1.0住宅をプランニングする際は、空気の流れを考えます。
どこかで空気が淀まないように。
結露だけでなく、家中温度差の少ない家にする為です。

キッチンの清掃性と収納力。②

前回に続きます。

 現在のキッチンの収納力の話を。

 前回の流し台は、開き戸のタイプでした。
このタイプは、構造的に簡単なので安価に製造できるという面では優れていますが、収納という点で言うとなかなか難しいです。
 高さの違うものを収納する事の多い流し台ですが、シンク下等は棚板を付ける事が、排水パイプや、シンクが邪魔で出来ません。
どうしても床の広さが収納量の限界になってしまいます。
出し入れは手前からなので、奥の物を取り出すのも難しく、空気も淀みがちです。

 現在のシステムキッチンは、引出しのタイプが主流です。
開き戸タイプの欠点だった、奥の物を取り出しづらいという点を一気に解決!
引出しにすることで、床が増えて収納力も大幅にアップ!
本体の床に物を直接置かないので、空気の循環が期待できる!(押入に『すのこ』を入れるのと同じ)
また、本体の壁にも収納物がくっつかないので、側面の空気の循環もできる!

 収納力が増えると、流し台の外にあった収納棚を減らす事が出来ますので、台所を広く使う事が出来るようになります。
つまり、片付いてスッキリするのです。

 キッチンの引出し化を実現したのは、強度のある引出しレールにあります。
引出しタイプを商品化したのはクリナップですが、使用しているレールは、確かドイツ製で、当然特許が絡んでいて、当初はこのレールをクリナップ以外が採用する事が出来ず、クリナップの独走状態になりました。
その後他のメーカーでも採用できるようになったようで、現在では余程安価な流し台でない限り、同じレールが採用されています。
 最初、引出しに500mlのビール24本入れてもスムーズに操作できるのを見た時には、衝撃的で一気に『クリナップ命』になりました(笑)

 もう一つ、このレールを使っていても、そのレールを支える箱の強度が高くないと重い物を収納できなくなります。
この辺りにシステムキッチンの値段の差が出てきます。

 さて、最後に施工後の流し台を。

 今回は、クリナップのラクエラのI型2550を採用し、正面・側面・出窓周りはマーブル柄のアイカセラールを貼りました。
 向かって左手に袖壁があり、間口が2550よりも広かったので、流し台部分は壁を付加してあります。
吊戸部分は出窓の天井と吊戸の底を合わせ、上下もセラールを貼り込みました。
天井フィラーという扉と同じ柄の板を使う事も多いですが、そこはあえてセラールにしました。

 間口が規格よりも少し広い場合、オーダーメイドで天板を間口に合わせて伸ばすことが出来ますが、弊社では将来の交換等の事も考えて、規格で対応する事をお薦めしています。

 流し台の規格は15cm刻みが一般的です。
たまに、これから外れた寸法のものもあるのですが、2250、2400、2550、2700のサイズで対応しています。

キッチンの清掃性と収納力。①


 かなり傷んでしまった流し台。
様々な理由はあるのですが、現在のシステムキッチンと比べると、『清掃性』と『収納力』の違いが大きいのだろうなと思います。

 『清掃性』で言えば、天板が一枚板というのが大きな違いです。
写真のタイプの流し台は、シンク、ガス台、調理台とそれぞれ、独立しているユニットを並べるだけなので、隙間が出来てしまいます。
この隙間から水やよごれが床に落ちていきますが、掃除をすることは出来ません。
ユニット同士の間やユニットの後ろは空気が通らないので、乾燥がしにくく、長い間じめじめしていて、床や壁、流し台自体も腐らせますし、雑菌の発生や、ネズミやゴキブリを呼び寄せたりします。

 ガスコンロの回りも汚れやすく、掃除しづらくなっています。
テーブルコンロというやはり独立したガスコンロをコンロ台の上に置いて使いますから、周囲に空間があり油汚れがコンロ自身も、コンロ台の天板、周辺の壁を汚します。
キレイにするには、コンロをどかして掃除する事になりますが、ホースを外したり繋げたりするのは割と大変です。

 一方システムキッチンでは天板が1枚となり、ユニットの間に隙間が出来ません。
ガスコンロ、IHクッキングヒーターも埋込式で、この廻りにも隙間がありませんから、キレイを保つことが出来るのです。


 もう一つ汚れが目立つのが、換気扇廻りです。
この写真の流し台もそうですが、プロペラファンが使われいます。
その上、この流し台では換気扇フードという換気扇を囲うような箱もついていません。
換気フードは、コンロなどの調理器具の上に付けて、コンロなどから出てくる煙や水蒸気を囲い込んで部屋の中に逃げないようにして、換気扇で効率よく外に出す手助けをします。
フードがないと、室内に煙や水蒸気が散ってしまい、部屋中を汚してしまうのです。
 プロペラファンという換気扇は、扇風機のような羽根の換気扇で単純な空気の排出量は多いのですが、圧力がかけられない・・・といっても分かりづらいですよね。
掃除用具で言うと『ほうきみたいなもので、目に見えるごみを集めるのは得意で、大半のごみを短時間で集める事ができますが、とても細かいチリや軽いホコリを集めるのは苦手だったりします。

なんとなくイメージできますか?

 これとプロペラファンは同じようで、多くの空気を外へ出すことは出来るのですが、散ってしまった煙や水蒸気を集める事は苦手です。
また、外壁に面していないと使えません。
その為、大きな箱状の換気フードが必要になるのですが、このフードの内側全体が汚れてしまいます。
プロペラファン自体も汚れます。
個の掃除は、コンロ台の上に乗ったり、椅子の上に乗ったりして不安定な姿勢で行うので、とても危ないのです。

 では、現在ではどうなのかというと、弊社ではプロペラファンの採用は久しくなくて、代わりにシロッコファンというタイプを採用します。
シロッコファンは、筒状のファンで単純な空気の排出量は少ないですが、圧力がかけられる・・。
 掃除用具で言うと『掃除機で、広い範囲のごみを一気に集める事は出来ませんが、細かいチリや軽いホコリを集める事が得意です。
これと同じで、大量の空気を一気にすい込む事は出来ませんが、換気扇近くで発生した煙や水蒸気を室内に散らさずに吸い込んで外に出すことが出来ます。
また、ダクトを使いますので、部屋の真ん中に取り付ける事も出来ます。

 以前のシロッコファンは、プロペラファンと同じような箱状のフードが付いていましたが、現在は平たいフードで、空気の通り道を細くして空気の流れを速くして・・・。
ええと、掃除機の先を床用の幅広いアタッチメントから、サッシのレールのホコリを吸い取る先の細いアタッチメントに変えると、強く吸い込めるのと同じ原理です。
 そうすることで汚れた空気が触れるフードの面積が小さく、掃除をする部分も小さくなっているのです。
また、深さがないので椅子に乗る事もなく掃除が出来るのも魅力的です。

 長くなってしまいました。
すみません。
収納性については、次回に回します。
リフォーム後の写真もそちらで。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

フリーエリア