前回に続きます。
現在のキッチンの収納力の話を。
前回の流し台は、開き戸のタイプでした。
このタイプは、構造的に簡単なので安価に製造できるという面では優れていますが、収納という点で言うとなかなか難しいです。
高さの違うものを収納する事の多い流し台ですが、シンク下等は棚板を付ける事が、排水パイプや、シンクが邪魔で出来ません。
どうしても床の広さが収納量の限界になってしまいます。
出し入れは手前からなので、奥の物を取り出すのも難しく、空気も淀みがちです。
現在のシステムキッチンは、引出しのタイプが主流です。
開き戸タイプの欠点だった、奥の物を取り出しづらいという点を一気に解決!
引出しにすることで、床が増えて収納力も大幅にアップ!
本体の床に物を直接置かないので、空気の循環が期待できる!(押入に『すのこ』を入れるのと同じ)
また、本体の壁にも収納物がくっつかないので、側面の空気の循環もできる!
収納力が増えると、流し台の外にあった収納棚を減らす事が出来ますので、台所を広く使う事が出来るようになります。
つまり、片付いてスッキリするのです。
キッチンの引出し化を実現したのは、強度のある引出しレールにあります。
引出しタイプを商品化したのはクリナップですが、使用しているレールは、確かドイツ製で、当然特許が絡んでいて、当初はこのレールをクリナップ以外が採用する事が出来ず、クリナップの独走状態になりました。
その後他のメーカーでも採用できるようになったようで、現在では余程安価な流し台でない限り、同じレールが採用されています。
最初、引出しに500mlのビール24本入れてもスムーズに操作できるのを見た時には、衝撃的で一気に『クリナップ命』になりました(笑)
もう一つ、このレールを使っていても、そのレールを支える箱の強度が高くないと重い物を収納できなくなります。
この辺りにシステムキッチンの値段の差が出てきます。
さて、最後に施工後の流し台を。
今回は、クリナップのラクエラのI型2550を採用し、正面・側面・出窓周りはマーブル柄のアイカセラールを貼りました。
向かって左手に袖壁があり、間口が2550よりも広かったので、流し台部分は壁を付加してあります。
吊戸部分は出窓の天井と吊戸の底を合わせ、上下もセラールを貼り込みました。
天井フィラーという扉と同じ柄の板を使う事も多いですが、そこはあえてセラールにしました。
間口が規格よりも少し広い場合、オーダーメイドで天板を間口に合わせて伸ばすことが出来ますが、弊社では将来の交換等の事も考えて、規格で対応する事をお薦めしています。
流し台の規格は15cm刻みが一般的です。
たまに、これから外れた寸法のものもあるのですが、2250、2400、2550、2700のサイズで対応しています。