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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

高断熱住宅の断熱以外の所。③

高断熱住宅を考える時に、よく言われるように『熱が逃げにくい』ので、不要な熱を室内に取り入れないように気をつけます。

 窓から日差しが入ってくれば、熱も一緒に入ってきます。
夏の日差しは高く、冬の日差しは低い。

 窓の上の軒の出の工夫で、南の日差しのコントロールは比較的簡単に行えます。
南面にはベランダが取り付く事が多いので、これを日除けとする事も多くあります。
また、屋根の軒の出は80cmくらいになると、室内に日差しが全く入らない日が出てきます。
 一方、東西面はお日様の高さがありませんから、軒の出や、庇では日差しを遮る事は出来ません。

 冬の日差しはウエルカム。一方夏の日差しはノーサンキュー。

この二つを実現するには、それぞれの季節に応じて対策をとる必要があります。
窓の外にブラインドやロールスクリーン、すだれ、グリーンカーテンなどを活用するという方法があります。
もしも、そういったものを付けずに外観をスッキリ見せたいというのであれば、遮熱ガラスを採用してしまうという方法もありますが、冬の採暖は少なくなり、夏の遮熱も外に取り付けるものに比べると劣りますが、ここは何をとるかという事が重要かと思います。
また、ガラスフィルムを施工するというのも遮熱の効果は高く、屋外側に施工するものであれば90%以上の遮熱効果がある製品もあります。

 他に、庭木を積極的に採用するという事も手段としてあります。
植栽は、手入れが大変という声もありますが、緑があるお客様のお宅へ伺うと、緑の良さを感じます。
この分野は私、苦手なので大したことは語れませんが、基本的には落葉樹と常緑樹の使い分けです。
落葉樹は夏に緑が生い茂り日差しを遮り、冬には葉が落ちて枝だけになり日差しを通します。
常緑樹を北側に植えると、北風を防ぐ事ができますし、夏の東西からの日差しも遮ってくれます。
 また、地面をコンクリートなどで舗装せずに、土のまま、芝生などを植えたり、ウッドチップを敷き詰めたり、池を造ったりすることで、室内に入って来る風がここで冷やされて、室内が涼しくなり、夏の時期に効果が出ます。
 お庭が大きく取れ、建物の周囲に余裕があるのであれば、採用したい方法です。
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高断熱住宅の断熱以外の所②。

最近の住宅を見たお客様の多くが
『最近の家は、窓が小さい』
とおっしゃいます。

 私は、この時に
『小さい窓は開けておいても人間の出入りが不可能なので、防犯上有利なうえ、換気も出来るんです』
とか、
『建物の外側(外皮)の断熱性能を上げるために、断熱性能の低い窓の面積を小さくしたり、西日を避ける為に小さくするんですよ』
と言います。

 窓の役割は、採光、採暖、通風(換気)、景観などがあり、それぞれが省エネに貢献する事が出来ます。
採光は室内を十分に明るくして、照明器具の使用時間を短く出来ます。
採暖はお日様の熱を室内に取り込み、冬の暖房時間を短く出来ます。
通風は春秋の中間期や、夏の夜に効率的に行う事で冷房時間を短く出来ます。
景観は直接省エネにはなりませんが、外の景色が良く見渡せるという事は、外からも家の中が良く見えるという事になります。
外からの視線を遮る事を考えると、省エネ性能にも関係してくることがあります。

 採光や採暖は、窓を大きくすれば効果が大きくなり、小さくすれば効果も小さくなります。
また、採暖については方位と大きさの関係が重要になり、例えば西側に大きな窓を設置すると夏の西日で、室内が非常に高温(オーバーヒート)になり過ぎて就寝時に室温が下がらなくなることもありますので、小さくしたりいっその事無くしたりという事も考えます。
その一方で、冬の時期は西日も室内に取り込んで部屋を暖める事で暖房時間を短くする事が出来ますから、冬を考えるとある程度大きく取りたいなと考えます。
 南面は夏のお日様は高いので、庇を少し出すことで遮る事ができ、冬はお日様が低くなるので部屋の奥まで取り入れる事が出来ますので、南にはお日様の熱を取り込みやすいガラスを採用します。
冬場の縁側はポカポカして、おばあちゃんと猫が日向ぼっこ。
そんなイメージでしょうか。

 通風は、室内の熱を外に排出するのに大きく役に立ちます。
窓の大きさは採光や採暖程に大きなものは必要なく、大きさよりも取り付ける位置が重要になってきます。
換気扇に熱の排出をさせるよりも、効果が大きくエネルギーも必要ありません。
通風は部屋の異なる方位の壁、2ヵ所以上に付ける方法のほかに、高さを変えて取り付ける方法があります。
 前者は風による通風で、風がない場合には通風が出来ませんが、風があるときには効果が大きく、涼しさを得やすいです。
また、地域や周辺環境によって風の方向が変わりますので、効率的に風を取り込むにはそういった事も、考慮して窓を設置します。
 後者は空気の温度差による通風(重力換気)で、暖かい空気は高いところにある窓から外に出ていき、低い窓から冷たい空気が流れ込んできます。
風速は速くないので、風のような涼しさはこれでは感じませんが、室温を一定に保ちやすい方法です。
1階の窓から取り込み、2階の窓から排出するように家全体で通風できるように計画します。
夏の夜に十分な通気ができると、エアコンの使用を抑えられ、翌朝も涼しく目覚められます。
重力換気は、高低差が必要なので平屋では効果が少なくなります。

 一般的にはこんな感じなのですが、土地の条件やお客様のご希望や、住まい方で変化してきます。

網付換気扇フード。

キッチンの換気扇フードの話です。
以前はプロペラファンという扇風機の羽根の換気扇が一般的でしたが、現在、弊社では清掃性の高さからシロッコファンの換気扇を採用される方が多いです。

 このシロッコファン等のダクト式の換気扇の屋外に付けるフードに、防虫網付のものを使用すると、目詰まりを起こして換気量が落ちてしまいます。
 

 こういったフードが付いている場合は、ダクト式の換気扇ですので確認すると良いでしょう。

 この画像のものは、約18年経過のものです。
分かり易い症状としては、換気扇を使った時の音が大きくなります。
当然、換気量も少なくなっています。

 この18年経過のフードを交換しましたので、その際の風速を合わせてご紹介いたします。

外観はこんな感じのタイプで、清掃性を向上させた初期のタイプです。
因みにクリナップのクリンレディです。

 現状の換気状況を知る為に、風速を測定します。

弱で、風速0.30m/s

強でも風速0.42m/s

 屋内環境に最適と言われる風速が、0.3m/s位ですから24時間換気が上手く機能している程度の状況で、局所換気としては不十分な状況です。

 既存のフードを撤去して、網なしのフードを取り付けて再度測定します。

弱で、風速0.62m/s、強で風速1.36m/sになりました。

 換気扇の音もとても静かになり、換気していることも感じられる位になりました。

 交換した網なしのフードの内観です。
 作業時間は、測定なども含んで20~30分程度ですが、取付状況によって多少前後します。

 ご心配の場合、ご自分で判断できない場合はご連絡頂ければ、調査にお伺いいたします。

高断熱住宅の断熱以外の所。

家の断熱性能を上げて『快適』に住めるのかというと、そうではないのです。
また、際限なく断熱材を厚く施工出来れば、省エネになるかというと、これもまたそうではないのです。
 高い断熱性能は、快適に住まう為のとても重要な性能ですが、あくまでも快適に住まう為の土台となる性能であって、これが全てではないのです。
断熱性能をしっかりした上で、他の事が考えらる様になります。

 例えば、換気の事。

 気密がしっかりと取れている住宅は、計画した入口から新鮮な空気が入って来て、出口から汚れた空気が出ていくので、効率的に空気を入れ替える事が出来ます。
気密が低い住宅の場合は、様々なところにある隙間から勝手に空気が入ってきたり、出ていったりしてしまい、計画通りには換気が出来す、特に(あとに出てきますが)第1種換気は十分な換気が出来ない場合もあります。

 換気の方法は住宅の場合2つあります。
一つが、外の空気を取り入れるのも、中の空気を外に出すのも換気扇を使う方法で、第一種換気と呼ばれるます。
 もう一つが、外の空気を取り入れるのは、単なる穴(給気口)で、中の空気を外に出す方に換気扇を使う方法で、第3種換気と呼ばれます。

 高断熱住宅でも従来通りどちらの換気方法も使われますが、省エネ性能や快適性を考えると第1種換気にして、熱交換という、汚れた家の中の暖かい空気の熱を、綺麗な冷たい外の空気に受け渡して暖めて取り込む方法にすると、換気で捨ててしまう熱を少なくする事が出来ます。
また、全熱交換という水蒸気もやり取りするタイプになると、より一層の熱の交換と室内の過乾燥を抑制する効果もあります。
 その一方で、熱交換素子というフィルターを定期的に交換する必要があり、一般的に天井に点検口があるので、脚立にのって交換する場合には転倒など、安全に気をつけてください。

 第3種換気の場合、熱交換は行わないので室内の暖かい空気をそのまま外に捨てて、外の冷たい空気をそのまま室内に取り込みます。
メンテナンスは給気口にあるフィルターの清掃で、給気口の数だけ行い、フィルターは必要に応じて交換します。

 第1種換気の場合にもフィルターの清掃は必要ですが、換気扇の台数分(大凡1棟に1台、又は各階に1台)の清掃が必要です。

 より省エネ性能を、乾燥対策を求めるのであれば、第1種換気。
定期的なメンテナンスを楽にしたいというのであれば、第3種換気。

 そういうイメージで良いと思います。

キソパッキン。

JOTOから発売され、一気に浸透したネコ土台の『キソパッキン』シリーズ
現在は他メーカーからも同様のものが販売されています。

 さて、このキソパッキン。
現在では施工性の良い『キソパッキン ロング』という長さ910mmで全体的に換気できるようにスリットが開いているものが採用されています。
この利点は、基礎の上全部に並べればよいので置き忘れが起こりにくく、防鼠材【ぼうそざい】という文字通りネズミの侵入を防ぐ網のような部材を付けなくて良いので、省施工になります。

 弊社でも、キソパッキン ロング発売時、すぐに採用して現在に至りますが、プランによっては採用に注意が必要になります。

 床下の換気の為には、必要有効換気開口面積という換気する穴の面積が、床面積によって決められています。
床面積が大きくなると、有効換気開口面積も大きく必要になってきますが、玄関脇に外壁に面して土間床のシュークローク等があると床下部分が減り、床下の換気が出来る部分が減ります。
 また、脱衣室と浴室の床下を一体にしている場合は、この部分で基礎断熱となり、同様に換気できる部分が減る事もあり、キソパッキンロングだと必要な有効換気開口面積が不足するケースがあるのです。
この場合は、キソパッキン+防鼠材という組み合わせや、それでも不足する場合は他の方法を採用します。

 基礎断熱にした場合は、床下換気は必要ないので、キソパッキンは使いません。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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