弊社の基礎は、ベタ基礎を標準としています。
立上り部分(布)の巾は、150mmです。
出隅部分の内側には、ハンチという補強を施しています。
コンクリートには、かぶり厚さという規程があります。
これは、コンクリートの表面からその中にある鉄筋等までの距離の事をいいます。
土に接する部分や、地上部分等で要求される数値が違います。
立上り部分のかぶり厚さは、40mm以上。
ベース部分のかぶり厚さは60mm以上とされています。
さて、かぶり厚さを検討してみましょう。
主筋が芯として、基礎巾の半分で考えます。
主筋D13と、縦筋D10とかぶり厚さ40mm。
(13/2+10+40)x2=113mm
この段階で、105mmの基礎はかぶり厚さが不足する事が分かります。
さて、さらにアンカーボルトM12を考えてみます。
安全側を採るとD10とM12を重ねて計算しますが、通常縦筋の外側にアンカーボルトは設置しませんので、D10の部分をM12と入れ替えます。
(13/2+12+40)x2=117mm
120mmの基礎巾でかろうじて大丈夫です。
が、現在はホールダウン金物用のアンカーボルトM16も入ります。
(13/2+16+40)x2=125mm
ついに、120mm巾の基礎でもかぶり厚さが不足してしまいました。
主筋は芯じゃないよ!という方がいるかも知れません。
芯に入っていない場合を考えてみます。
計算方法は、主筋+縦筋+ホールダウン用アンカーボルト+かぶり厚x2とします。
イメージとしては、主筋を挟んで縦筋とアンカーボルトが設置されているとうい状況です。
13+10+16+40x2=119mm
確かに、120mmの中に納まりました。
しかし、1mmの余裕と言うのはどうでしょう。
縦筋がずれているとか、アンカーボルト側にあるとなればもっと余裕がありますが、この計算方法の前提は、主筋は芯にないとしています。
つまりは、アンカーボルトと反対側に主筋がずれているという条件での譲歩した計算式です。
現実には、アンカーボルト側にずれているかもしれません。
そう考えれば、120mmの基礎巾ではかぶり厚さが不足していると考えるのが自然です。
満足しているとしたら、それはたまたま配筋がズレておりそうなったと考えましょう。
弊社では、そのことから135mm巾を長年標準としてきましたが、ここ数年はワンサイズ大きくして150mmの基礎巾としています。
これだけの余裕があれば、施工精度に注意すればかぶり厚さはほぼ心配ありません。
片側で12.5mmの余裕がありますから。
また、ベース部分のかぶり厚さは捨てコンクリートを除いて60mmとされています。
べた基礎でよく見かけるのは、外周部分のみ捨てコンクリートを打設し、スラブ部分は砕石の上に防湿シートで済ませてしまっています。
これでは、スラブの厚さが一定でなくなってしまう上に、かぶり厚さの確保が難しくなります。
表面を凸凹と加工してある型ガラスと、透明なガラスに似ています。
4mmの透明なガラスを使用する場所を、型ガラスとする場合5mmの厚みになります。
厚みは最大厚さなので、最小厚さで4mmなければならないという考え方です。
全面捨てコンクリートを打たないスラブは、型ガラスと同じで全面捨てコンクリートを打つ場合の厚みよりも厚く設定しなければ、最小厚さが確保できないでしょう。
150mmの厚さが必要で捨てコンクリートを打設しないのなら、余裕をもって200mm位の厚さとした方が賢明かもしれません。
しかし、その場合鉄筋のかぶり厚さに注意を払わなければなりません。
弊社では、捨てコンクリートを全面に打設する事でかぶり厚さとスラブ厚さの確保をしています。
ひと手間と、捨てコンクリートを増やす事で十分に性能を発揮する基礎を作っています。
有限会社カトウ工務店 加藤茂貴