太陽光発電で作られた電気は、国が電気会社に一定年数固定価格での買取りを義務付けています。
10kW以上の発電能力がある場合は、発電所扱いとなり全量を買い取ってもらうことも可能です。
そうすると、条件が良ければ8年ぐらいで初期投資分を回収でき、その後は収入になるとは施工業者の謳い文句です。
その机上の計算が合っているかは8年経過してみないとわかりませんが、日本各地の電力会社でこの太陽光発電所からの買取り申請に対する回答を保留する会社が出てきました。
太陽光発電からの供給量が、春秋の日中のピーク電力を上回るからという理由でしたが、どういう事だろうと考えていました。
小難しい理由で正直あまりよくわかりませんが、供給のバランスが崩れと単純に電気が余るというだけでなく最悪、発電所が停止し停電という事態もありうるのだそうです。
夜間の電力供給が期待できず、雨天や曇天でも発電量が落ちる不安定な太陽光発電は、それだけで電力供給を賄うことは出来ず、他に安定して供給できる電源(例えば原発)と調整可能な電源(火力等)と合わせて運用するべきだと電気会社は言います。
太陽光発電の様に自然の力で発電するエネルギーを再生可能エネルギー(再エネ)といいますが、再エネには安定供給できるものはないのでしょうか?
【再エネなんて書くと、さも知ってますよなんて雰囲気が出ますねww】
昨日の朝日新聞の一面に載ったのは、国が地熱発電を見直すという内容でした。その一方で、太陽光発電の買取りは現在稼働中のものも含め抜本的に見直すとも。
先の福島原発事故直後、各マスコミでも地熱発電に注目が集まりましたが、それも一瞬のことで近頃は地熱の地の字も聞かなくなってました。
しかし、昼夜を問わず安定的に電力供給が期待できる地熱発電がおざなりになっていたのは、原発全停止によるエネルギー不足を短期間で解消(しきれないですが)できると期待される太陽光発電(稼働まで1年程度)に注目が集まったからでしょう。
ここへきて太陽光発電の(予定)量も買い取り価格の引き下げのよる駆け込み需要で急激に増えてしまったので、いよいよ安定供給の再エネをという事なのでしょう。
ちなみに地熱発電は稼働まで10年必要だそうです。
また、太陽光発電には先に挙げた弱点はあるものの他の再エネに比べ、設置から運用までの問題点が少ないという点も挙げられます。
太陽光が降り注ぐ場所であれば、山だろうと川だろうと建物の屋根だろうと、外壁だろうと設置場所は選びませんし、その規模も小さくても大きくても対応できます。
また、太陽光を直接電気に変換するので、音の発生がない。
場所を選ばず音が出ないことから、住宅街でも屋根に設置するだけでなく地上に発電所扱いの規模で設置する事も出来ます。
一方、地熱発電は設置までに時間を必要とするもののその熱源にマグマに熱せられた熱水を利用することで、稼働コストは設備のメンテナンスなどを考えなければ、ほぼゼロとなります。
熱水がなくなって(移動して)しまうという可能性はあるそうですが、昼夜ノンストップで稼働できるという原発にも似た特性をもちつつ、廃棄物の発生がないというのは魅力的な発電方式です。
火山国日本としては、熱水の埋蔵量は期待できますが、発電所の設置場所は熱水のあるところと、蒸気の音が結構大きいらしいので人里離れた場所に限られるというのが問題点ですが、今後増えていくことでしょう。
さて、今後の電気エネルギー供給はどうなるのか。
多くの建物や、農地、空き地に太陽光発電パネルなどが設置される結果、地産池消に進むのではないでしょうか。
特にこれといったもののない鴻巣では、発電の主力となるのはやはり、今後過剰供給になりそうな太陽光発電ですね。
地域で発電した電力を、その地域でシェアする。
電話の通信網のように、小さな監理施設があちこちに出来てネットワークを組み、電気を融通しあえるようになる。
送電ロスを抑えられて省エネにもつながり、電気料金も抑えることが出来るはずです。
個々の住宅で蓄電設備を行うのは、長期的に見て設備の更新や適切な稼働という点で難しいのですが、一か所に集中させて監理すれば、設備の更新もスムーズに行われるでしょうし無駄も省けるでしょう。
もしそうなれば、個々の住宅でゼロエネではなく、地域でのゼロエネが実現できます。
【ゼロエネ】・・使用するエネルギー量と、作り出すエネルギー量を相殺するとゼロ以下になること。エネルギー量は1次エネルギー(石油、天然ガス等。電気は2次エネルギー)に換算して計算。単位:J(ジュール)
今後の住宅はどうなるか。
原発の再稼働の見通しが立たない上、脱原発の方向は間違っていません。
不安定だと言われる再エネでも生活できるようにする為には、住宅そのもののエネルギー消費量を減らす工夫が必要となります。
国は2020年には新築住宅の省エネ基準適合を義務付ようと動いています。
これからの住宅は高気密高断熱が当たり前となります。
高気密高断熱という言葉から受けるイメージは、密閉された空間でしょうか。
高断熱高気密というべきだとこの技術を推進してきた方が言っていました。
その意図は高断熱化を進めていくと高気密が必要となるというものです。
高気密は室内の空気を閉じ込める為ではなく、外壁の内部に水蒸気(人体から放出されます)が侵入し発生する『内部結露』を防ぐ為に行うものなのです。
壁の中で起こる『内部結露』は、住宅の構造部分を腐らせ大きなダメージを与えます。
室内で生き物が生活(水蒸気が発生)しないのであれば、高気密にする必要はありません。
その一方で、自然の力を利用し省エネになるようなプラン、仕組みを考えて行くことが重要です。
風や、太陽の光を上手にコントロールすることで、換気や冷暖房、照明の使用量を減らすことが出来ます。
電気を消費する多くの家電製品では省エネ化が進み、先のノーベル賞で評価された青色ダイオードの発明なしには実現しなかったLED照明の値段もこなれ、エアコンも10年前のものを使い続けるより、すぐに買換えれば3年程度で電気代と製品代の差額は埋まる程高効率になっています。
この傾向は今後もどんどん進んでいくことになるでしょう。
家電は住宅に比べ寿命が短く、一生のうちに何度も買換え、その度に省エネのものに更新されていきます。
しかし、住宅本体の性能はそうはいきません。
一度建てれば性能が更新されるような大規模な工事は、なかなか行われません。
初めから、性能を重視した家を作りたいものです。
余談ですが、『いまある外壁の上に断熱材がくっついた外壁材を張ることで断熱効果が上がり、光熱費が安くなりますよ!』なんて広告を見たことや、実際に行っている現場を見たことがあるかもしれません。
大抵の場合、既設の外壁の上に胴縁を打ち付けその上に外壁を取り付けていきます。
胴縁は、通気層を形成し湿気を外に排出するとともに、熱も排出してしまいます。
また、断熱工事で重要なのは『通気止め』という部材の取付です。
外壁の工事より、この『通気止め』を取り付けた方が効果あるかもしれません。
併せて天井、床の断熱工事が出来ればいう事ありません。
さてそんな理由でこの外壁工法は、直射日光によって外壁面が温められる事に対する遮熱は期待できるのですが、期待したほどの断熱効果は得られないのでお気を付けください。