築30年を超えている建売住宅のリフォームをお受けするケースが増えています。
感じる事を、つらつらと。
当時分譲された住宅街は、入居された方々も同年代、そのお子様もやはり同年代。
お孫さんも誕生し、子供たちはそれぞれの家庭を、それぞれの住まいで築いています。
『子供達が一緒に、もしくはいずれこの場所に戻ってきて住んでくれれば、大規模なリフォーム、建替えも考えられるが、誰も入らないから傷んだところだけ直して住む』と、そう考える方が多いですね。
耐震工事や、断熱工事をお勧めしたいところですが、なかなか行う方は少ないです。
30年も経過した住宅は、多かれ少なかれ多少傾いています。
先日お世話になったお宅は、2階の和室の畳を上げてフロア貼にする工事を行いました。
6帖間の畳を上げて、レーザーレベルで高さを調べると最大で40mの差がありました。
もうひと部屋の4.5帖の方も30mm程度の差がありました。
この住宅の2階の外壁は、1階の外壁より3尺下がっている上、出隅の柱の下に柱は無い状態。
梁もかなり垂れてしまっているでしょうし、造成地ですから地面の圧密も進んだのでしょう。
今回は、壁も改修する事になっていましたから、畳寄せを外し根太の高さ調整を行いフロアを貼りました。
問題になったのは出入口で、片引きの戸襖が付いています。
通常、若干の高低差の場合は、建具には手を付けずに納めますが、今回は15mmの差が出ていた為、そのままでは建具を外すことが出来なくなってしまいます。
開戸に替えてしまうのも一つの手なのですが、プラン上、使い勝手から見れば引戸の方が良いのは一目瞭然ですし、お客さまもそれを望んでいました。
そこで、既存の建具を再利用し、外引きの片引戸(柱の外側を戸が走る。アウトセット引戸)にして納めました。
階段の踊り場、奥行き3尺ですが、ここでも10mm程度の高低差が発生していました。
フロアがふかふかしていたのは、この高低差のせいでしょう。
将来、誰かが住むと分かっていれば、基礎に手を入れ建物全体の傾きを矯正するのが良いのですが、住む人がいないと思うと、対処療法ですが床単体で傾斜を直す事になります。
床の傾斜は、健康に知らず知らずのうちに影響を及ぼしますから。