今年の冬は、降雪もあり例年よりも気温が低いようです。
給水管の凍結や破裂が、市内でも相当数発生しました。
さて今回は室内温度の感じ方の事を書いてみます。
今まではなかなか理屈の話は書いていなかったかなと思い、反省もあり、自分自身の再確認も行う事も合わせて行っていきます。
断熱性能が違う暖房されている二つの部屋があります。
外気温は、そうですねとりあえず、0度です。
暖房をしないと室温はどんどん下がりますので、暖房を入れます。
断熱性能と暖房器具の能力以外は何も変わらない部屋です。
断熱性能が低い方をA、高い方をBとします。
あと、空気は動かないという事にします。
現在、暖房されている両方の部屋の室温は、温度計によるとABの部屋共に、22℃です。
さて、両方の部屋に入ってみると、どちらの部屋が暖かいでしょうか?
同じ室温ですから、同じ暖かさ!でしょうか。
そんな答えの質問をわざわざするのでしょうか。
する訳がありません!という事で答えは、Bです。
室温は同じなのですが、天井・壁・床の表面の温度は、断熱性能が高いBの方が、Aよりも高いのでこういう事になります。
この、人が感じる温度の事を『体感温度』と言いまして、天井・壁・床の表面の度と室温を足して2で割ると得られます。
断熱性能が低いAの部屋の天井・壁・床の表面の温度を14℃とすると
(14+22)÷2=18℃
18℃が、Aの部屋での体感温度になります。
一方、Bの部屋は20℃でしたので
(20+22)÷2=21℃
と21℃と室温と1℃しか違いがありません。
そういう事なのです。
では、A,B共に表面温度を変えずに、体感温度を22℃にしようとすると室温を何度にすればよいかというと、Aの部屋は、
(14+Xa)÷2=22
という式でこれをとくと、
22×2-14=30℃ となります。
また、Bの部屋は、
(20+Xb)÷2=22
で、22×2-20=24℃となります。
室温に6℃も差が出てしまいました。
この体感温度を同じにする為に必要な暖房機の能力がAとBの部屋では違う事は、ご理解いただけると思います。
天井・壁・床の表面温度は中にいる人に何らかの影響を与えます。
まさに目に見えない何かのです。
この見えない何かというのは、輻射熱【ふくしゃねつ】というもので、物質の表面から発せられる熱です。(本当は途中に遠赤外線という電磁波が存在しますが、簡単にする為にこういう事にしておきます。)
お日様の暖かさや、たき火、セラミックヒーターなどから暖かさを感じるのはこの輻射熱です。
お日様が雲に隠れると、気温は同じはずなのに涼しく感じるのは太陽の輻射熱を受けなくなったからなのです。
また、熱は暖かい方から冷たい方へ移動するので、暖かさばかりではなく冷たさを感じる事もあります。
こちらは、冷輻射【れいふくしゃ】と言います。
冬場の窓からは何か冷たさを感じませんか?
あれです。
あなたの体から、窓が熱を奪っているのです!
輻射熱は、表面温度が高ければ暖かさを感じますし、逆に低ければ冷たさを感じるのです。
その為、二つの部屋は室温が同じですが、表面温度が違う為に、体感温度に差が出てしまいました。
断熱性の高い部屋のBは、天井・壁・床から熱が外部に漏れだす量が少ないので、Aよりもそれぞれの表面温度が高くなります。
表面温度が高くなると、体感温度が上がります。
体感温度が上がれば、寒さを感じにくくなりますから暖房はそれほど必要なくなりますよね?
小さな暖房設備で十分に暖かく暮らすことが出来るのです。
一つ勘違いしないでいただきたいのは、断熱材それ自体は発熱しません。
暖房も冷房もせず放っておくとA、Bの部屋の表面温度は同じ温度になり、室温も同じで瞬間的な体感温度はどちらも同じになります。
高断熱住宅でも、暖房機などの熱源が無ければ寒いのですが、熱源は暖房機だけではなく、冷蔵庫やTV、LEDとなった照明器具も熱源になりますし、お日様の日差しも、そこに住む人も熱源になります。
暖房はこうした生活の中で発生している熱で足らない場合に必要になるのです。
高断熱住宅は、その必要な暖房するエネルギーを少なくする事が出来て、暖房が必要となる日数も減らす事が出来ます。
快適に住みながら省エネで地球環境にの優しい家。
そして、そんな優しい家を建てたいと思う優しい人が住む家を造っていきたいのです。