近所で中堅ビルダーが新築工事を行っています。
先週末に上棟式して、今日はどうやら屋根屋さんが下葺き材を葺いているようで、タッカーの施工音が響き渡っています。
『とんとんとんとんとんとんとんとんとんとん!』と、 250bpmで小気味良く聞こえます。
下葺き材(一般的なのはアスファルトルーフィング)を野地板に施工するには、タッカー(ホチキスの大きいやつ)を使ってステープルで留め付けます。
下葺き材は、屋根の二次防水の材料です。
仕上げの屋根材(瓦、コロニアル、金属板等)を越えて侵入した雨水を屋内に入れないように、野地板の上で防ぐ役割のある材料です。
その大切な材料を留め付けるのに、小さいですがステープルで穴を開けて施工しているという事を理解しないといけません。
アスファルトは、シール性に優れています。
要するに留め付けたステープルの穴は、熱によってアスファルトが溶ける事で密着し、水を通さないというわけです。
熱は、タッカーの施工時もありますし、屋根施工後の太陽熱によってもあります。
『いずれにしても塞がるから良いんだよ!』
と、言われるかもしれません。
その通りなんですが、でも、穴を開けないで済むのなら開けない方が良いに決まっています。
アスファルトルーフィングの様に、長年使用されているスタンダードな材料の施工方法ってのは結構いい加減だったりします。
というか、少なくとも私はきちんと教わらなかったですから、私もかつては250bpmで連打していた口ですし、それが当たり前でした。
『仕事は見て覚える』というスタンスなのが多くの職人でしたから、目に見える目立つ部分の技術(例えば、木部の留め部分の擦り付け方とか)の伝承は行われても、効果が今一つ実感できない事は教える方も理屈が分からないと上手く伝承されないのでしょうし、メーカーのHPにも施工方法がないところを見ると施工方法自体、言及されて来なかったのでしょう。
本来そういった部分の施工はとても大切なんですが、疎かにされやすいのです。
見えなくなってしまうし、問題が出て初めて分かる部分で、必ず問題が出る訳でもないので。
このステープルの施工方法は、とある仕様書に明記されています。
それは、『住宅金融支援機構』の仕様書です。
この仕様書に対応しないものは、『欠陥住宅』と言えるかもしれません。
それほど現在の住宅の仕様の基本となる重要な仕様書なのです。
これによると、ステープルはルーフィングの重ね合わせた部分に大凡300mm間隔で打つべしとあります。
また、あとは適宜、施工と。
要は、アスファルトルーフィングが重なっている部分以外には打つな!という事なのです。
そういう事なのです。
300mmの間隔を250bpmの連打は、かなりの速さで移動しなければなりません。
事故が起きなければ良いなと思っています。
でも、重なる下のルーフィングには、弊社では150mm程度で留め付けますから、きっと重なる下の部分の施工なのでしょう。