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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

高断熱住宅の断熱以外の所。

家の断熱性能を上げて『快適』に住めるのかというと、そうではないのです。
また、際限なく断熱材を厚く施工出来れば、省エネになるかというと、これもまたそうではないのです。
 高い断熱性能は、快適に住まう為のとても重要な性能ですが、あくまでも快適に住まう為の土台となる性能であって、これが全てではないのです。
断熱性能をしっかりした上で、他の事が考えらる様になります。

 例えば、換気の事。

 気密がしっかりと取れている住宅は、計画した入口から新鮮な空気が入って来て、出口から汚れた空気が出ていくので、効率的に空気を入れ替える事が出来ます。
気密が低い住宅の場合は、様々なところにある隙間から勝手に空気が入ってきたり、出ていったりしてしまい、計画通りには換気が出来す、特に(あとに出てきますが)第1種換気は十分な換気が出来ない場合もあります。

 換気の方法は住宅の場合2つあります。
一つが、外の空気を取り入れるのも、中の空気を外に出すのも換気扇を使う方法で、第一種換気と呼ばれるます。
 もう一つが、外の空気を取り入れるのは、単なる穴(給気口)で、中の空気を外に出す方に換気扇を使う方法で、第3種換気と呼ばれます。

 高断熱住宅でも従来通りどちらの換気方法も使われますが、省エネ性能や快適性を考えると第1種換気にして、熱交換という、汚れた家の中の暖かい空気の熱を、綺麗な冷たい外の空気に受け渡して暖めて取り込む方法にすると、換気で捨ててしまう熱を少なくする事が出来ます。
また、全熱交換という水蒸気もやり取りするタイプになると、より一層の熱の交換と室内の過乾燥を抑制する効果もあります。
 その一方で、熱交換素子というフィルターを定期的に交換する必要があり、一般的に天井に点検口があるので、脚立にのって交換する場合には転倒など、安全に気をつけてください。

 第3種換気の場合、熱交換は行わないので室内の暖かい空気をそのまま外に捨てて、外の冷たい空気をそのまま室内に取り込みます。
メンテナンスは給気口にあるフィルターの清掃で、給気口の数だけ行い、フィルターは必要に応じて交換します。

 第1種換気の場合にもフィルターの清掃は必要ですが、換気扇の台数分(大凡1棟に1台、又は各階に1台)の清掃が必要です。

 より省エネ性能を、乾燥対策を求めるのであれば、第1種換気。
定期的なメンテナンスを楽にしたいというのであれば、第3種換気。

 そういうイメージで良いと思います。
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付加断熱と外断熱。

H28省エネ基準は最低基準で、世界的にみても、全館冷暖房しようとしても、断熱性能は低レベルで、省エネ住宅とは言えないのです。
ですから、壁の中に断熱材を詰める『充填断熱』だけでも、壁の外側に断熱材を張りつける『外断熱』だけでも、H28省エネ基準を上回る、大きく上回る性能を出すことは難しくなります。
考え方としては、この二つを合わせれば断熱性能が良くなることは想像できると思います。

  充填断熱 + 外断熱。

 充填断熱の外側に更に断熱材を取り付ける事で、より高性能な断熱性能が実現できます。
 柱や間柱の断熱材よりも断熱性能が低い部分(熱橋【ねっきょう】ヒートブリッジ)を、少なくする事ができます。

 『外断熱』は、柱の外側に合板を張り、それに外断熱専用のビスで、スタイロやネオマと言ったボード状の断熱材を張っていきます。
すっぽりと外側を断熱材で覆う工法です。
断熱材よりも断熱性に劣る木材(ヒートブリッジ)が見えないので、全体的に一定の断熱性能が発揮できます。
その一方で、外断熱材に使われる材料は不燃ではない為、火災の時に壁の中が燃えてしまう危険性がありますし、断熱材の外側にある外壁材を専用のビスだけで支える事となり、長い間には外壁材の垂れ下がり、震災時の変形が心配になりますので、モルタルなどの思い外壁は採用しない方が無難で、軽い外壁材を選びます。
また、断熱材の厚さは専用ビスに依存して限界があります。

 外断熱に似た工法で、『付加断熱』という工法があります。
 『付加断熱』は、柱の外側に合板を張り、それに断熱材の受材を横又は縦に一定の間隔で打ち付けて、その間に断熱材を入れていく方法です。
柱の間に断熱材を入れる充填断熱を、外側にもう一度付け足す感じになります。
ここで使う断熱材は、充填断熱で使われる断熱材の殆どを使えますが、一般的には繊維系の断熱材、とりわけグラスウールが採用されます。
 断熱材よりも断熱性に劣る木材(ヒートブリッジ)が見えますので、同じ厚さの断熱材を使った外断熱よりも全体的な断熱性能は落ちます。
しかし、グラスウールは不燃材ですから、火災の時にそれ自体は燃える事がありませんし、外壁材も木材で支える事が出来るので、ビスで支える外断熱よりも垂れ下がる心配が僅かです。
また、断熱材の厚さは受材に依存します。

 『充填断熱 + 外断熱」と『充填断熱 + 付加断熱』を、図にしてみました。

 それぞれの左側が、壁を横に切った時の断面で、右側が、壁を縦に切った時の断面になります。
 断熱材①と③が充填断熱です。
 この図ではどちらも大差ないように見えますが、断熱材②の所にある断熱材受の存在がその違いになります。
断熱材④の所には木材は入らず、外壁を受ける通気胴縁を専用のビスが貫通します。
断熱材は空洞と同じと考えますから、外壁はこのビスで支えます。

 *『付加断熱は、充填断熱に追加して行う断熱だから、今までの外断熱でも桟木を使った繊維系の断熱でも同じ付加断熱だ』という考え方もありますが、ヒートブリッジの存在や納まりの違いを考えると分けておいた方が良いと思いますので、『付加断熱』は受材を用いたものとします。

表面温度と室内環境。

今年の冬は、降雪もあり例年よりも気温が低いようです。
給水管の凍結や破裂が、市内でも相当数発生しました。

 さて今回は室内温度の感じ方の事を書いてみます。
今まではなかなか理屈の話は書いていなかったかなと思い、反省もあり、自分自身の再確認も行う事も合わせて行っていきます。

 断熱性能が違う暖房されている二つの部屋があります。
外気温は、そうですねとりあえず、0度です。
暖房をしないと室温はどんどん下がりますので、暖房を入れます。
断熱性能と暖房器具の能力以外は何も変わらない部屋です。
断熱性能が低い方をA、高い方をBとします。
あと、空気は動かないという事にします。

 現在、暖房されている両方の部屋の室温は、温度計によるとABの部屋共に、22℃です。

さて、両方の部屋に入ってみると、どちらの部屋が暖かいでしょうか?

 同じ室温ですから、同じ暖かさ!でしょうか。
そんな答えの質問をわざわざするのでしょうか。

 する訳がありません!という事で答えは、Bです。

 
 室温は同じなのですが、天井・壁・床の表面の温度は、断熱性能が高いBの方が、Aよりも高いのでこういう事になります。
この、人が感じる温度の事を『体感温度』と言いまして、天井・壁・床の表面の度と室温を足して2で割ると得られます。
断熱性能が低いAの部屋の天井・壁・床の表面の温度を14℃とすると
(14+22)÷2=18℃
18℃が、Aの部屋での体感温度になります。
一方、Bの部屋は20℃でしたので
(20+22)÷2=21℃
と21℃と室温と1℃しか違いがありません。

 そういう事なのです。

 では、A,B共に表面温度を変えずに、体感温度を22℃にしようとすると室温を何度にすればよいかというと、Aの部屋は、
(14+Xa)÷2=22
という式でこれをとくと、
22×2-14=30℃ となります。
また、Bの部屋は、
(20+Xb)÷2=22
で、22×2-20=24℃となります。

 室温に6℃も差が出てしまいました。
この体感温度を同じにする為に必要な暖房機の能力がAとBの部屋では違う事は、ご理解いただけると思います。

 天井・壁・床の表面温度は中にいる人に何らかの影響を与えます。
まさに目に見えない何かのです。

 この見えない何かというのは、輻射熱【ふくしゃねつ】というもので、物質の表面から発せられる熱です。(本当は途中に遠赤外線という電磁波が存在しますが、簡単にする為にこういう事にしておきます。)
 お日様の暖かさや、たき火、セラミックヒーターなどから暖かさを感じるのはこの輻射熱です。
お日様が雲に隠れると、気温は同じはずなのに涼しく感じるのは太陽の輻射熱を受けなくなったからなのです。

 また、熱は暖かい方から冷たい方へ移動するので、暖かさばかりではなく冷たさを感じる事もあります。
こちらは、冷輻射【れいふくしゃ】と言います。
冬場の窓からは何か冷たさを感じませんか?
あれです。
あなたの体から、窓が熱を奪っているのです!

 輻射熱は、表面温度が高ければ暖かさを感じますし、逆に低ければ冷たさを感じるのです。
その為、二つの部屋は室温が同じですが、表面温度が違う為に、体感温度に差が出てしまいました。

 断熱性の高い部屋のBは、天井・壁・床から熱が外部に漏れだす量が少ないので、Aよりもそれぞれの表面温度が高くなります。
表面温度が高くなると、体感温度が上がります。
体感温度が上がれば、寒さを感じにくくなりますから暖房はそれほど必要なくなりますよね?
 小さな暖房設備で十分に暖かく暮らすことが出来るのです。

 一つ勘違いしないでいただきたいのは、断熱材それ自体は発熱しません。
暖房も冷房もせず放っておくとA、Bの部屋の表面温度は同じ温度になり、室温も同じで瞬間的な体感温度はどちらも同じになります。
 高断熱住宅でも、暖房機などの熱源が無ければ寒いのですが、熱源は暖房機だけではなく、冷蔵庫やTV、LEDとなった照明器具も熱源になりますし、お日様の日差しも、そこに住む人も熱源になります。
暖房はこうした生活の中で発生している熱で足らない場合に必要になるのです。
高断熱住宅は、その必要な暖房するエネルギーを少なくする事が出来て、暖房が必要となる日数も減らす事が出来ます。
快適に住みながら省エネで地球環境にの優しい家。
そして、そんな優しい家を建てたいと思う優しい人が住む家を造っていきたいのです。

外付ロールスクリーン。

新築現場で建具を吊り込んでいた日。
良く晴れた日で暑かったのです。
2階の部屋で作業しており、日射を防ぐ為にシャッターを半分下して作業していましたが、明らかに窓の方から熱気が感じられます。
そこで取り付けてあった外付けのロールスクリーンを下げてみると、なんという事でしょう。
今までの熱気が嘘のようになくなり、更に室内は明るくなり、更にさわやかに風が入ってきました。
スチール製のシャッターが直射日光で熱せられて、室内に輻射熱を放射していたという事です。

 つまりは、金属製のシャッターや雨戸は夏場の日除けには効果がなく、むしろ暑いという事なのです。

 ゴーヤやホップなどのグリーンカーテンや、ヨシズで積極的に日除けするのは、やっぱり効果的なのですね。
でも毎年手間がかかるな~とお悩みの場合は、外付けのロールスクリーンや、ブラインドを試して見てください。
 それ程高くなく、取付も簡単でヨシズよりも全然長持ちしますし、収納も簡単。
一年中そこにありますから、春秋の中間期で急に日差しが強い日でもすぐに対応できて便利です。

過去の住宅。

現在、築23年の住宅のリフォーム工事を行っています。
あちらこちらを解体していくと当時の断熱工事の状況が見えてきます。
その状況に愕然としながら工事を進めています。

 高断熱住宅を手掛けるようになって得た知識を動員してこの時代の建物を見ると、ずさんさが良くわかります。
確かに、当時の現場では袋入りグラスウールの耳は柱の見付(正面)ではなく見込み(側面)に留め付けていましたし、壁の断熱工事は床の後でしたから土台や梁の上端から床の上端までの間は無断熱の状況です。
また、床と天井では間仕切りの中にまで施工する事は無ありません。
まさに、新住協にお世話になって初めて断熱材が効かない(効かせる)理由を知った時の状況が目の前にあります。
そしてそれは、紙面の断面図で見るよりもはるかに衝撃的な事です。

 『効く断熱施工をしたい』

 そうんな衝動に駆られながら、今回は断熱リフォームを断念した経緯がありますので手を出せませんが、もっともっとアピールしていかねばなと感じています。

 現存する住宅の断熱リフォームをする場合、基本的に構造体の内部で空気を動かさないような施工が必要になります。
床や天井がある状態でこれを行うのは簡単ではなく、あちこちを解体しながらの作業になりますので、見た目の問題やコストの問題が出てきます。
断熱材がついた外壁材をはって省エネ!なんてのはまず効果が期待できません。
躯体内の空気が動いていますから。
遮熱塗料を塗ったら、夏の室温が変わった!
確かにあるでしょうが、年間の光熱費は左程変わらないのじゃないでしょうか。
冷房よりも暖房の方がコストがかさみます。
夏場の室温が下がったなら、冬場の室温も下がるでしょう。
断熱効果はありませんから、室内で冷暖房しても今まで通り外部に熱は逃げて行ってしまいます。

 新築の時点できちんと断熱施工を施しておけば、一番コストを掛けずに高性能な断熱性能が手に入るのに。
長期的なコストで考えれば、それが一番ローコストになるのに。
そんな事を考えています。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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