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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

見えないものを見る。

奮発をして、サーモグラフィカメラを購入しました。
ハンディタイプのもので、以前使っていたiphone用に比べると格段の性能の良さです。
サーモグラフィカメラは、目には見えない物質の表面温度を見えるようにするカメラで、TVでその画像を見たこともあると思います。

 このカメラを使う事で、寒い家のどこが一番熱が逃げている(断熱補強をして効果が大きい)部分を確認したり、断熱補強の前後でどれだけ改善したかの確認を行ったり。
断熱材が途切れることなく施工されているかを、断熱材が見えなくなってからでも確認出来たり。
雨漏りの経路を探るなんて事も出来てしまいます。

 とりあえず、気になる事を試して見ようと思い、夜の住宅街に繰り出して住宅をカメラを通して見に行きました。

 まずは弊社を見てみましょう。


 明るいところが表面温度が高くて、熱が多く逃げている部分。
暗くなる程、表面温度が低く熱が逃げづらい部分です。

 壁全体が紫がかっていて、断熱性能が低いことが伺えます。
またよく見ると、柱や間柱が見て取れますが、外壁部分よりも明るい色になっています。
木材は、コンクリートや鉄骨に比べて断熱性能が高いと言われますが、それでも断熱材(土壁の為、断熱材ははいっていません)よりは性能が低くヒートブリッジ(熱橋・・他の部分よりも熱を多く通す部分。熱的な弱点。)となっている事が分かります。
因みに、外壁はモルタルです。
 軒天廻りも多くの熱が逃げているようです。
総2階の建物ですが、飾りで1階と2階の間に飾りの屋根がついていますが、これが熱的にはマイナス要素である事がわかります。
画面右の方は浴室なので、より明るくなっています。
 窓の部分、1階は明るく、2階の窓は黒くなっています。
この場合、1階の窓は単板ガラス(1枚ガラス)でこの場合は内部が見えているので、室内の熱が透過して室内の壁の温度が反映されています。
2階は階段室なので、室内側は無暖房です。
ガラスは真空ガラスに交換済みですが、枠は古いままなので真空ガラスの恩恵には余りあやかれていません。

さて、次の建物。

 

 これも古い建物ですが、弊社よりも少し新しいものです。
無断熱か、50mm程度のグラスウールが壁に入っている位でしょう。
弊社よりも全体に明るくなっています。
柱や間柱がヒートブリッジになっているのが分かりますし、2階の右側のコーナーで窓の下端からも熱が多く逃げている事が分かります。
こういった



 今年建てられた建売住宅です。
柱、間柱、筋かいも良く分かります。
何故ここまで見えるのでしょうか。
 柱や間柱には縦に胴縁と言う板が打ち付けられて、外壁の裏側に湿気を排出する為の空気層が設けられる【外壁通気工法】というものが、現在は一般的で、恐らくこの住宅もそうなっている筈です。
柱→胴縁→外壁と、接しているので熱が伝わりますので見えるのは分かるのですが、梁については胴縁を横に打つことはありませんし、筋かいも同様です。
そう考えると、外壁材を通気層なしで直貼りしているか、若しくは通気層が上手く機能していないのか。
若しくは、在宅時間(暖房時間)が長くて、梁からの輻射熱で外壁材が十分に温められているか。
色々と想像します。
 1階の右の方の窓はシャッターが下りていて、真っ黒です。
サッシとシャッターの間に空気層が出来るので、ここから熱が逃げる量は減るようですが、サッシの枠が明るくなっているのが分かります。
外壁部分は、弊社とあまり差が無いように思えます。
2階右奥と、1階左にひときわ明るい部分がありますが、2階はベランダ、1階は玄関です。
弊社や、一つ前の建物に比べると外壁面の温度が一様になっている事が分かります。
断熱材はきれいに施工されているようです。


 昨年、一昨年位に建てられた注文住宅です。
建売住宅を手掛ける中堅ビルダーの物件ですが、全体に黒くなっています。
帰宅して間もないのかもしれませんし、断熱性能が高いのかもしれません。
2階に赤紫の帯状の部分がありますが、これはベランダ部分の軒天です。
1階の明るい部分は、玄関です。
 今回の調査では一番の性能に見えます。



 最後に、今年の9月頃でしたが、引き渡された注文住宅です。
ちょっと、衝撃でした。
明るい部分が多いのが分かります。
明るい部分は、建物の入隅部分で、ことごとく白くなってしまっています。
また、ベランダの下端の軒天、玄関庇の軒天も同じように白くなってしまっています。
2階の軒天廻りも、結構なものです。
これは、各部分の断熱材の納め方に問題があるのではないかと疑ってしまいます。
また、1階のシャッターも赤くなっている事から、ガラスの断熱性能が低いという事も考えられます。

 他にも何軒も調査しましたが、共通して玄関、入隅(外壁部、軒天と外壁の取り合い部、霧除けの下端)が熱的な欠点になっている事が分かります。
 軒天については、外壁の通気層を伝って上昇してきた暖かい空気の出口という事から他よりも明るく映るのでしょうが、外壁の断熱性能が高ければ空気層内の気温も下がり、結果軒天の温度も下がるはずです。
軒天が明るい建物は、外壁の断熱材の性能が低いものと考えられるかもしれません。

 共通して基礎の温度が高いことが面白いなと感じます。
室内の影響もあるでしょうが、主に地熱の影響が多いのでしょうか。


 今回の調査(勝手な)では、最高温度を13.2度に設定して撮影しています。
大凡性能の比較の目安位にはなると思います。
また、室内の気温、プラン、在宅状況、外壁の仕上、方位、密集状況等、条件が異なるので一概に良し悪しは決められない事はご留意ください。
あくまでも、この日この時間の外皮の表面温度を比較したものです。
 因みに、画像左上の温度は、中央のマーカー部分の温度を示しています。


 サーモグラフィカメラって面白いです。

 もしも、我が家も見て欲しいという方、いや、見てもいいよと言う方がいらっしゃいました、ご一報くだされば、お伺いしたいと思っています。

豪連絡は、弊社HPの下の方にある『プライバシーポリシー』をクリックして、表示される【個人情報保護に関するお問い合わせ先』にメールアドレスがありますので、こちらへ住所とお名前、電話番号をお送りください。
後ほど、ご連絡を差し上げます。
http://katokou.shichihuku.com/index.html
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野菜が腐る。

家の中、同じ気温になるとどこも暖かいですから、野菜を室内に置いておくと傷みやすくなります。

 床下収納ならと思うでしょうが、床下収納も基礎断熱なら当然、床断熱でも収納庫自体は断熱していますから、室温に近い温度なのです。

 専用の冷蔵庫などを使うのも手ですが、それではエネルギーの消費量が増えてしまいます。
ですから、そこは断熱の外の部屋を作ってそこに貯蔵する事で解決出来ます。

室温18℃。

2018年11月にWHOが、冬の室温は18度以上と強く勧告したのは、ご存知でしょうか。
すこし、かなり前の話ではあるので今更なのですが、18度未満の住宅では健康に影響があるという事が研究で分かっています。

 あなたのお住いは、冬、何度ですか?

 家の中で特に注意したい部屋は、トイレと脱衣所です。
これらの部屋は、1年を通して素肌を晒す場所ですから、特に健康に影響を与える場所になります。

 寝室の朝の気温は、何度ですか?

 冬の廊下、脱衣所の平均気温は12度という報告もあります。
リビングでも16度。


 暖かい家に住むことは、健康でいられるという事なのです。


では、健康でいられる暖かい家にするにはどうすれば良いか。

それは、家中の至る所に暖房器具を置いて、24時間動かせば良いのです。
そうすることで、暖かい家が手に入ります。
とても簡単です。


 しかし、この方法は、地球環境にも影響を与えてしまいます。
ここのところ毎年のように、西日本を襲う降雨による水害は海水温の上昇が原因と言われています。
エネルギーを消費すると、温室効果ガスである二酸化炭素を排出してしまう事に繋がり、地球温暖化が促進され、より大きな自然災害が発生する可能性があるのです。

 と、スケールの大きな話をしましたが、近いところでは兎に角、暖房費が数倍からもしかしたら、数十倍に跳ね上がってしまうという、懐にやさしくない方法です。


 もうひとつの方法は、住宅の断熱性能を高めてあげる事です。
室内の温度が保ちやすい住宅であれば、小さな暖房機で家全体を十分に温められます。
寝る時に暖房を止めても、冬の朝、寝室の気温が20度。
そういう住宅も出来ます。


 建築費用は高くなりますが、月々の光熱費は驚くほど安くなります。



 どんな家でも、外装のリフォーム、機器の更新等のメンテナンスも必要になってきます。
断熱性を高めた住宅は、メンテナンスの内、冷暖房機器の能力は小さくてよく、台数も少なくて済みますから、機器の更新コストが低くなるのです。
人のいるところを狙い撃ちするような高性能で20万円もするようなエアコンも必要ありません。
ベーシックな機能のエアコンで十分なのです。


安く手に入れて、高い維持費で健康でいられるかもしれない家に住むか。
高く手に入れて、安い維持費で健康でいられる家に住むか。


どちらを選びますか?

住宅のマスク。

現在新築されている住宅は、24時間換気の設置が義務付けされていますから、必ず給気口と排気口があります。
住宅にマスクをする場合には、外気を取り入れる給気口に付けます。
マスクの役割を十分に発揮させるにはどうしたらよいのでしょうか。

 新型コロナウイルスの世界的の発生で国内でも、マスクが不足しています。

 いままでは世界の国々から、マスクをするのは日本位と言われていたような気がしますが、今回の件でルイ・ヴィトンや、ニューバランスなどがマスクの生産を始める程に、世界中でマスクの果たす役割が増しているようです。

 この時期、日本では特にマスクの着用率が上がります。
花粉症対策によるものですが、その目的は呼吸器の出入口である口と鼻にマスクを装着して、花粉を取り込む事を防ぐ為です。

 薄い使い捨てのマスクには、高性能なフィルターが搭載されていて、花粉やPM2.5等の微粒子をキャッチしてくれるものもあります。


 住宅には、24時間換気が義務付けされていますと初めに言いました。
多くの方は外出時はマスクをして、帰宅するとマスクを外すという生活をしていると思いますが、住宅は給気口から外気を取り込んでいます。
外気と一緒に花粉も入ってきます。
何もしなければ、家の中でもマスクが欲しくなるかもしれません。

 多くの給気口には、フィルターを取り付ける事が出来るようになっていますので、給気口にフィルターを取り付ければ花粉の侵入を防げます。
しかし、使い捨てマスクがそうであるように、定期的にこのフィルターを交換してあげなければ、目が詰り給気量が減ってしまいます。
このフィルターの交換が簡単に行えるところに給気口があれば良いのですが、天井近くとか脚立が必要なところにあると大変ですね。
 また、大抵の場合、給気口は各部屋にありますので、量的にも手間がかかります。

 マスク代わりのフィルターを、簡単に手間なく交換する方法は無いでしょうか。


 そこで考えました。
給気口を一つにまとめて、そこにフィルターを付けてしまえば、交換手間は激減し、管理も楽になります。
また、設置高さも交換し易い高さにしてしまえば、交換も楽々。
椅子や脚立に乗らなくても、安定した床の上で交換が出来ます。

 これであれば、歳を重ねて脚立に上るのが不安になっても大丈夫です。
交換するのが億劫で、交換していないなんて言い訳も通用しなくなります。

 いかがでしょうか。

2020年省エネ義務化の件。

国の施策として進められてきていた『小規模住宅の2020年省エネ基準義務化』ですが、昨年、どうやら見送りする事が、ほぼ決まったようです。

 とても残念に思います。

 日本の省エネ基準は、世界的にみたら可愛らしい基準です。
とても『省エネ』なんていえないレベルなのですが、見送りとなりました。

 そんな嫌な予感は発表当時から感じていたのですが、世界的に省エネ化が進んでいる状況を考えると、今回こそは実現するだろうと思っていましたが、残念なことに見送りになりそうです。
日本はまた、世界から『ダメな国』と思われるのです。

 そもそも、『義務化』と言っている時点で、省エネ基準にすら達していない、正しい断熱施工がされていない住宅を建てている業者が沢山いるという事です。
そうしてそれは、建て主が希望して建てているとは到底思えませんし、省エネ基準を守らなくても、問題がない事も知らないでしょう(融資条件は別です)。


 省エネ施策は一体だれの為なのか。


 世界的な省エネの流れに逆行するような決定を、心の底から残念に思います。
とても胸を張れるような省エネ基準でもないレベルですが、義務化されることにより施工者の意識の改善につながり、全体のレベルが底上げされ、より一層の省エネに進むと思っていました。

 そしてそれは時間はかかりますが、なにより、そこに住む人たちに経済面でも、健康面でも利益をもたらすことになり、更には国全体のエネルギー消費量を抑える事に繋がりますし、医療費の削減にも期待できるかもしれません。

 業界側から建て主の意識改革を促す方向が望ましいのですが、それも難しくなりました。
消費者側からの働きかけで、業界が変わるという事に期待します。

 次世代の子供たちに、少しでもきれいな地球を渡せたらと思います。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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