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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

断熱材と空気。

室内を夏冬通して快適な環境にしようと施工する断熱材ですが、実際に断熱しているのは『空気』である事をしっていますか?
ま、真空断熱材のは空気を抜いてしまうので当てはまりませんが。

 空気の断熱性能(熱が伝わりにくい)って、とても優秀なんです。
欠点は温まると上昇し、冷えると下降して対流が発生してしまう点です。
対流が発生すると、空気と空気に接する壁との間で熱のやり取りが発生し壁の温度が下がり、断熱性能は発揮され無くなってしまいます。
つまりは、空気に断熱させる断熱材は空気を移動させないようにする事が必要になるのです。
 このことは、サッシのペアガラスを見ると分かるように、断熱性に乏しいガラスの間に空気層を作る事で、断熱性能が飛躍的にupします。
移動しない空気の断熱性能が良く分かります。

 じゃあ、空気層を厚く取っている二重サッシの方が、もっと断熱性能が高いんじゃないか?と思われるかも知れません。
空気層を厚くすればするほど断熱性能が上がるのであれば、トリプルガラスにする意味はないのですが、そうではない理由があるのです。
 密閉された空気層は厚さ2cmまでは断熱性能が良くなっていきますが、2cmを超えるとガクンと悪くなります。
空気層が厚くなることで中の空気が対流を起こしてしまうその境界線が2cmなのです。
ペアガラスの登場当時は6mmの空気層でしたが、現在は16mmです。
ペアガラスで20mmまで行ける訳ですが、それよりも10mmを2層とりトリプルガラスとした方が断熱性能は上なのでトリプルガラスがより性能の高いガラスとなります。
5枚ガラスというものもあり、断熱性能はもはや壁同等を実現しているそうです。

 グラスウールやロックウールの繊維系だけでなく、発泡系も内部に気泡をもっていてそこに空気を閉じ込めて断熱性能を確保しています。
どれだけ多くの空気を動かないように出来るかによって断熱性能が変わるのです。
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グラスウールのお化けの話の事。

先日開催した現場見学会で、断熱材について『グラスウールは垂れ下がる』と指摘されました。

 この話、グラスウールという素材のむか~しむかしの話でお化けのようなものです。
他の断熱材と比較する場合に必ず言われるグラスウールの吸湿し易いという欠点で、正直、『また出たよ』と思ってしまいます。
阪神淡路大震災の時に、在来工法はダメだ!と言っていたツーバイフォーの図式と同じだなと思います。
 グラスウールも在来工法も他の断熱材や工法に比べ歴史も長く、採用案件も圧倒的に多いのですから、断熱材、耐震性に関心の無い頃の物件と現在のものを比べて、劣っているのは当然です。
 時代と共にその素材に対する施工方法は見直されて変わってきています。
同じグラスウール、製材を使っているという理由で、50年も前の工法と新素材を採用した現在の工法を同じ土俵で比べても意味がないでしょう。
比べるのならば、現在のグラスウール、製材を使った工法で比べないといけません。

 断熱材の性能はそれぞれ一長一短(コスト、性能、性質、施工性等)があるので、すべてにおいてにすぐれているなんて断熱材は正直ありません。
重要なのはどんな材料を使ったとしても、快適な省エネ住宅が出来上がれば良いのです。
 とは言っても、すべてにおいてすぐれている断熱材がない以上、何かを理由に選ぶ事になるのですが色々考えて私が採用したのが、新住協のグラスウールによる断熱工法だったのです。
 不燃材である事、材料費が安い事、壁や床、天井と使いまわせる事、より高い性能にも対応し易い事、職人になじみのある材料で特別な道具なしに施工できる事、将来の増改築時でも対応が簡単であろう事、住宅の解体時にも分別が簡単である事、誰でも施工できるオープン工法である事というのが主な理由です。

 壁の厚さいっぱいに入れるのは、高性能グラスウール16kの中でも自立する程腰の強い商品を採用していますので、施工後に下がって隙間が出来ることがありません。
防湿シートは壁内結露を防ぐ為に、水蒸気の侵入を防ぐ為に施工します。
現在のグラスウールは繊維一本一本に撥水処理が施されているので、濡れづらく、もしも濡れたとしても乾燥も早いのです。
 また、柱などの木材に含まれていて、施工後に蒸発する水蒸気を排出する為のメカニズムもありますので、グラスウールが壁の中で水を吸って垂れ下がり、土台や柱を腐らせるなんて事はありません。

 ただし、あくまでも正しい知識と施工方法で施工した場合でのことです。
それはどんな断熱材を採用しても言える事です。
理屈ではどんな材料でも充分な性能を発揮するのですが、現場での理解がなければどんな優れた材料、工法でもその性能を発揮する事は無いのです。
そういう意味では、どの断熱材を採用するという事には余り意味がないなと思っています。

小屋裏の断熱材補強。

今年の夏は猛暑との事で、自宅の天井裏に断熱材を追加で入れる事としました。
既存は、グラスウールの10k相当の100mmが載せてあります。
なんとなく、載せてあります。

 しかし、サーモグラフィーで眺めてみると、載せていない部分と比べて天井の表面温度は1度低くなっています。
10k相当でもそれなりに効果はあるのだなと感心しましたが、なんとなく載せてあるので隙間がある部分は、高温になっています。

 今回は、高性能グラスウール16k相当150mmを施工(本当はもっと厚くしたかったのですが、暑すぎて断念)しました。

 まず初めに、天井に600角の点検口を取り付けて既存のグラスウールを外壁、間仕切壁の隙間に詰め込んで『通気止め』とします。
そうしてからいよいよグラスウールを載せていきます。
作業自体はカッターナイフ1本持っての単純なものですが、台風一過でまぁ暑いこと暑いこと。
夏にやる作業じゃありませんね。
屋根面に近い軒先はとても暑く、天井への影響も大きいだろうと思い、断熱材も厚く200mにしました。

 汗だくになりつつ、どうにかこなして確認すると、大凡3度、表面温度が下がり外壁と同じ位の表面温度になりました。
室内の上下方向での温度分布が改善されている筈です。

 普段の生活では冷房の効いた部屋から廊下に出た時に、以前より廊下の温度が低い気がします。
中廊下で日射の影響がなく、天井からの輻射熱量が減少し、部屋からの冷気の影響を受けたからなのでしょう。
 子供たちはロフトベットを使っているのですが、天井からの熱が穏やかになったと言っています。

 断熱材というと冬のイメージかもしれませんが、夏でも威力を発揮します。

 この時期作業するのであれば、早朝か夜間ですね。
昼間にやるもんじゃありません。

エアコン。

今年の梅雨はもう終わるのでしょうか。
台風3号がやってきて通り過ぎました。

 さて、今年の夏は猛暑だとあちらこちらで言われています。
高断熱高気密住宅は、エアコン1台で十分に涼しいですよというのですが、本当でしょうか。
熱量計算書を前に考えてみました。

 暖房器具の必要な能力は、熱量計算をして得た数値を掛け合わせて簡単に出てきます。

 Q値1.5の150m2の建物、暖房をエアコンでするとして設定温度20℃だと、全体で4.9kW位。
冷房能力6畳相当、8畳相当の機械2台で、14畳相当の機械なら1台で賄える計算になります。

 冷房の場合は、設定温度24℃で考えると、3.4kW。
6畳相当1.5台分、12畳相当の機械1台で間に合います。
 一番床面積の多くなるLDKでも、単純に言えば床面積120m2までは一番小さい6畳相当の機械で賄えます。

 ということで、この建物は一番広いLDKに、余裕をみて8畳相当の機械を1台設置して、あとは最小の機械を必要に応じて設置すれば足りる事になります。
弊社で手掛ける高断熱高気密住宅では、エアコンを小さく出来、台数を減らすことも出来ます。

 最近のエアコンは、多機能化しており高価なものも多いですね。
6畳用でも3万~20万円を超える機械も売られています。
8畳用で4万~26万円。
10畳用になると、5万~33万円。

 エアコンを何年使いますか?

 エアコンの寿命はどのくらいでしょうか、機械ものは大抵10年程度と言われます。
これは住宅の寿命や、ローンの期間と比べても短く、買い替えを何回することになるでしょう。

 小さなエアコンで、台数も減らせれば買い替えコストもそうですが、日々の光熱費をも少なくする事が出来ます。

 高価なエアコンを購入するよりも、廉価版のエアコンにして余った費用を高断熱の費用に当ててあげれば、長い目で見れば住宅にかかる総コストは少なくなりそうですね。
 また、こういった設備は今後も高効率化が進無でしょうから、次に買い替える時には嫌でも省エネ性能が上がり高熱費も下がる事になり、ますます総コストは低下していきます。

 H25年基準の断熱性能から、弊社が手掛ける高断熱住宅のコスト差額は坪あたり2~3万円です。
 エアコンのほかに、給湯設備、創電設備、蓄電設備も設備更新の度に効率が上がるはずです。
創電、蓄電設備は最初は設置せずに建物本体に予算を回し、将来、今よりも効率の良い設備を設置する事を検討しても良いかと思います。

注意:エアコンの能力計算では、一般的だろうと思われる設定温度で計算していますので、暖房期の高温設定や、冷房期の低温設定を前提とはしていません。
しかし、その場合でもその条件で計算することにより最適な能力を算定できますので、ご相談下さい。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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