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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

耐震設計の件。

建物の強度を推し量るのは、年代と設計図書と現況を鑑みて評価していきますが、耐震設計の際も同様に、その辺りを念頭に行っていきます。


 接合部の補強は行えますから、接合部は現況よりも強度があがり、現在の施工方法で得られる強度同等と評価します。


 基礎については、補強方法にもよりますが、基礎には手を入れなければ耐震診断の判断なりに耐力壁の効果を減らして評価していきます。


 接合部も基礎も、かっちりと補強出来れば、補強箇所は少なく出来ます。 耐力壁の効果を十分に発揮できると判断できるからです。


 基礎の補強方法には、様々なものが提案されています。
耐震化を促進するうえで、国が提案したものは、既設の基礎にくっつけて強度のある基礎を作るという方法。
アンカーを利用して新旧の基礎を一体化するという考えですが、建物の荷重は古い基礎に乗っていますし、ケミカルアンカーでアンカーボルトを追加するのも古い基礎に行いますので、引き抜き強度は古い基礎にい依存されます。

屋外側に施工するにも、屋内側に施工するにも工事範囲が広くなってしまいます。
さらに、どれだけ新旧で一体化できるかというのが肝になるかと思います。


 他に、高速道路等の橋脚の補強でも使われているアラミド繊維を貼り付ける補強方法もあります。
既設の基礎の側面(両面もしくは片面)に施工します。
厚さが薄く、貼り付けるだけなので新しく基礎を作るのに比べて解体範囲も少なくなりますし、床下空間が十分にあれば床下での施工も可能な方法です。


 いろいろな方法はありますが、あくまでも既設の基礎の状況によって発揮される強度は左右されますので、補強後の強度が期待通りになるかどうかは、なかなか正確に判断できません。


 強度不足に陥らないようにするには、診断、設計共に、現場調査に基づいく現況に則した前提条件の設定がとても重要になりますね。
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断熱改修。

今年の夏は、本当に暑い日が続いています。
9月目前で多少秋の臭い(朝夕の空気の冷たさ)がしてきていますが、まだまだ日中は猛暑日だったりしています。
 
 断熱改修は今後、メジャーになるのでしょうか。


 S56以前をターゲットにした耐震補強は、築年数44年以上となり実在する建物はかなり少なくなっており、終息していくんでしょうね、S56以前の物件については。

 これ以降では、現行基準の壁量は最低限満たしていますから、そう簡単には倒壊しないでしょう。
しかし、バランスについては悪いものが残っていますから、H12の四分割法が施行されるまでの間の物件については、診断して確かめた方が良いと思います。
あくまでも壁量は足りています(はずです)から、NGとなってもバランスを取る為に数カ所の耐震壁追加で評点を1.0とすることは十分可能です。


 で、そんな話をとある営業さんと話していたら、耐震改修の時に断熱改修もするのですかと聞かれました。

『耐震診断自体が、行政の補助金(S56以前が条件)があるからで、その年代の耐震改修なんてコストが結構かかってしまうのに、その上断熱改修というのは難しい。』

と、返事をしたと思います。

 この位の年代の物件だと、当然のように天井に断熱材がないし、壁も桁・梁下に届いておらず天井までが当たり前です。
床はグラスウールですが、床下の湿気対策が無いので垂れ下がってしまっていたりします。


 それでも、床下と天井(小屋裏)の断熱改修は、意外と簡単だと思います。
現場発泡の断熱材を吹き付けてもらえば、気密も防湿も同時にできます。

 外壁はですね。
外側に板状の断熱材を張り付けて、その上に仕上の外壁材を施工する事が比較てき簡単に出来る方法だと思います。
若しくは、内側に薄手の断熱材を貼り付けるとか。
イメージはですね。

 現在のスタンダードと思われれる、外壁通気工法の場合、この通気層を機能させなくして挙げなければなりません。
これを止めておかないと、外壁に断熱材を補強した意味がなくなってしまうからです。
この通気層は、そのまま小屋裏へつながっていることが多いので、天井の現場発泡断熱ではほとんどの場合、止める事は出来ないでしょうか。
外壁側での処理が必要になるでしょうね、外に断熱補強をするのであれば。

 その対策に内壁の内側に断熱補強をする事も出来ると思います。
が、この場合に問題になるのは階間の部分。
1階の天井裏と2階の床下の空間。

 無断熱の部分(1階天井~胴差下)があったりすると結露の発生が危惧される部分です。

 結露が発生してしまって、腐朽してしまったら大惨事に発展するかもしれません。
建物を長持ちさせるとのなら断熱補強なんてしなければよかった!という事になるかもしれませんから、注意が必要な部分です。

 断熱改修は、単純に断熱材を追加すれば済むというほど、単純ではないのですよって話でした。

耐震補強と耐震化率と今後の話。

耐震補強は、床・天井を解体しなくとも補強できるキットが販売されていますので、それを利用します。
このキットは、販売会社が実物大の試験を何度も繰り返して、国から有効だという認定を取得していますから、施工にあたっては制限がありますが、解体範囲も狭く状況によって1日に1~2カ所の補強できるので効率が良くなっています。

 本来、耐力壁は土台・梁・桁等の横架材【おうかざい】と柱に留付ける事が大前提ですが、認定品は横架材に直接面材を留付けずに耐力を発揮できるという製品ですから、認定品の施工には、注意が必要です。
その性能が担保される範囲は、実際の試験で確認された範囲になります。
セット品に含まれる金物や部材を使って、決められた寸法範囲を守って施工しなければ、メーカーとしては性能の保障は出来ないと言われます。
根拠がないですから、仕方がありません。


 余談ですが、このキットを使用するには販売するメーカーの講習を受ける必要があります。
しかし、現在、講習自体を行う予定がないメーカーもあったりします。
 耐震補強、普及していないですね。
 いや、もう終局と言えるのでしょうか。


 財団法人 日本建築防災協会が発刊していて耐震補強のバイブル的な『木造住宅の耐震診断と補強方法』は、2007年に従来の『木造住宅の耐震精密診断と補強方法』の改訂版として発刊され、同時に『木造住宅の耐震補強の実務』も発刊されました。
当時は、2015年までに住宅の耐震化率を90%にするように目指していたこともあり、一般診断方法に対応した耐震診断プログラムも開発され、広く耐震補強がされるようなりました。


 実際の耐震化率ですが、2013年(H25)で約85% だったので、途中2年繰り上げて2015年(H27)に90%達成を目標にするも、2018年(H30)で約87%と遅々として進みません。

 現在の目標は、2020年(R2)で95%、2025年(R7)でほぼ解消という事に修正されています。


 昭和56年以前の建物の数は、2020年では900万戸(予想)で、うち耐震性の無いものは250万戸とされています。
そして、2025年にはおおむね解消という事は、旧耐震基準で建築された建物でも築年44年になり、流石に殆どは建替えられるだろうという判断でしょうか。

 2023年現在では、耐震性の無い建物はどのくらいあるのでしょうね。


 と、この目標はあくまでも、新耐震基準が適用された後は耐震性が十分にあると仮定した話(一応、新耐震基準の有効性は阪神淡路大震災で証明された)であって、昭和57年以降の建物でも震災で倒壊してしまった物はあります。

 熊本震災では、2度の震度7が発生して、多くの被害を出しました。
その際に被害が認められなかったのが、性能表示の耐震等級3の建物です。
サンプル数は少ないですが、そのすべてが無被害と言っていいレベルでした。


 4分の1法という耐力壁の配置のバランスを確かめる基準が出来た時点で、昭和57年以降だから安心という事は既に言えなくなっていますし、熊本震災が発生して、建築基準法の耐力壁の基準を満たしているから安心(そもそも、満たしているから倒壊しないという意味ではないのですが)とも言えなくなっています。


 今後も耐震診断、耐震補強はまだまだ必要ですね。

 現在の耐震補強は、現行の耐震基準を満たす評点1.0を目指して行われていますが、もっと高い数値を目指すケースも出てくるかもしれません。
評点1.0を目指すのであれば、昭和57年以降の建物は何枚も補強する必要はありません。
耐力壁の量は足りているはずなので、バランスを見直すだけで済みますから。

 ただし、新基準が施行目前でそれ以降は、目指す評点も変わるのでしょう。

 また、補強によって耐震等級3相当を目指そうとすると水平構面の補強が必須となり、大規模な工事となる可能性が高いでしょうね。

 まぁ、とりあえずは、耐震診断を受けてみましょう。
どうするかは、それからです。

小屋裏の換気。

小屋裏の換気は、こう夏が暑くなってくると、とても重要になってきます。 冬も大切なんですけど。

 小屋裏に湿気が滞留してしまうと、結露の発生が心配になります。
夏は特に外気の湿度が高いですから、換気が十分でない小屋裏の湿度も上昇しがちです。
梅雨時の高湿度で、昼夜の温度差が大きい時期は特に心配ですし、過剰に冷房をしている場合も心配になります。

 また、夏季は小屋裏内の温度が上昇し、天井を温めて室内に影響を及ぼしますから、この熱を排出して小屋裏内の温度を下げる事は、とても重要になります。

 小屋裏換気の必要量が定義されたのは、住宅金融公庫の仕様書が初めてだったと思います。
軒裏・妻・棟・換気筒の各方式により、天井面積の何%の有効換気孔面積が決められました。

 しかし、寄棟に一般的に採用されていた軒裏換気なんてものは、風が吹けば換気は行われるでしょうが、無風の場合には換気は期待できません。
空気の出入口が同じ高さにありますから。

 切妻の場合は、妻壁に換気口を付ければよさそうですが、単純な切妻屋根の場合、妻壁は2カ所で梁間が小さく、桁行が大きい場合は、十分な換気口が設置できるかどうか。


 換気筒は、まあ、採用されないでしょう。


 そこで、棟換気というものが一気に注目されるわけです。
軒裏の換気口を入り口とし、屋根のてっぺんに出口を設ける棟換気は、屋根面で温められた空気が軽くなって棟から出ていき、同時に軒裏から空気が取り込まれるという重力換気でも換気が行われるので、無風状態で換気が出来るのです。


 で、棟換気は当たり前のように施工されるようになりました。
正方形に近く棟の短い寄棟屋根でも、隅棟に取り付けられる換気部材が開発されたり、下屋や片流れ用の部材の開発も進み、小屋裏の換気状況は改善されています。


 屋根に登り梁を採用して、合板で水平構面を作った場合、そこが気密層になり屋裏の換気は必要なくなりそうですが、断熱材と屋根材の間には通気層を設ける必要があります。

 これは、屋根下地が腐朽してしまう危険が潜んでいるからです。


 この場合も棟換気が活躍しますが、合板の上に垂木を打ち野地を張り、てっぺんに棟換気用の穴を開けます。
垂木の間を空気が上昇してきて、棟から排出されますが、棟の垂木の処理はどうしましょうか。
垂木のてっぺんの取り合いは、棟換気で必要とされる上からみて巾30mm下げて打ちつけて、横方向に空気が移動できるようにして、基準の必要量の棟換気口を取り付けるのか、棟の全長に渡って棟換気口を設定するのか。

できれば、全長に渡って施工した方が、効率よく換気が出来るのは分かると思います。
基準は最低の基準なので、それを満たしていれば良いかというと、必ずしもそうではありません。


 通常の屋根でも、垂木の高さが邪魔をして棟換気口のない部分では、暖かな空気が停滞してしまう事は想像できると思います。

 屋根の一番高い部分が、一番高湿であるだろうことを考えれば、気温が下がらなくとも飽和水蒸気量に達して、それほど低い温度でなくとも結露が発生するかもしれません。
水蒸気は、外気に含まれているだけでなく、室内からも漏れ出てきますし木材からも蒸発してきますから。

 なので、棟換気は全長に渡って換気できるようにした方が、建物も長持ちすると思うのです。

上の断熱。

天井上の断熱は、断熱材を施工する部分によって3種類があります。

①天井断熱

 文字通り、天井の上に断熱材を載せる方法です。
断熱ライン内の気積が一番小さくなる方法なので、冷暖房の負荷を一番小さく出来る工法と考えられますが、マット状、ボード状の断熱材を隙間なく施工するのは難しく、吹込み工法で行うのが現実的でしょうか。
電気配線やダクト、埋込照明器具などが断熱材の中に埋もれるので後々のメンテナンスの為には配慮が必要になります。

②桁上断熱

 これは、梁・桁の上に断熱材を施工する方法です。
通常は、桁の上に合板を2階床の様に張り、その上に断熱材を施工します。
天井の上に断熱ライン内側の空間が出来る事により、電気配線やダクト配管、埋込照明などの気密処理が不要になって施工効率は良くなる面があります。
メンテナンスも気密層の内側で行えるので良いです。
断熱材は、弊社ではボード上のグラスウールか、マット状のグラスウールを採用します。
建て方の際に、小屋の足場が良くなるのも利点です。
壁と桁上の断熱材の取り合い部分が熱的に不利になるので、桁の上にもう1本桁を載せるなどの配慮が必要になります。

③屋根断熱

 文字通り屋根の直下に勾配なりに断熱材を施工します。
熱環境を検討する際の気積は一番大きくなります。

施工箇所は、野地上、垂木間、、垂木下、梁間があります。

 野地上は、荒野地板(【あらのじいた】野地板を2カ所に施工する場合の下の野地の事)の上に断熱材を載せて、通気層を確保して、上野地板(【上野地板】野地板を2カ所に施工する場合の上の野地の事。1カ所施工の野地板と同じ役割)を張って屋根を施工します。
外断熱の場合は、押出発砲ウレタンフォーム(以下XPS)を施工して通気層用の垂木を流して野地板となるのでしょうか、外断熱は興味が薄いので、分かりません。
通常は、荒野地の上に断熱材の厚さ+通気層分の垂木を流して、垂木間に断熱材を充填し上野地を張って屋根を施工します。

 垂木間は、2x10等の高さの大きな垂木を使いその間に(垂木の高さ分の断熱材)を施工します。
その際、通気層は垂木の間に作ります。
そうしないと荒野地を張って、通気層垂木を打って、上野地を施工する形になります。

 垂木下は、垂木間の様な大きな断面ではなく、通常の垂木を施工して通気層とし、その下に断熱材を施工する方法です。
垂木の下端には透湿シートを施工してあげると空気層がつぶれずに済みます。
断熱材を受けなければならないので大抵の場合、勾配天井の天井断熱とも言えます。

 梁間は、登り梁の時に使いますが、梁の間(から天井まで)です。
この場合、登り梁の上に施工する合板は厚板として、水平構面を形成する場合が殆どですので、通気層は厚合板の上になります。
厚合板は4周桁、登り梁、棟木に留付けますから、空気を抜く穴が施工できません。
軒の出、」ケラバの出が小さい場合(軒ゼロ)は、垂木の高さは通気層に必要な高さが確保できれば十分です。
軒の出やケラバがある場合は、ケラバを支える母屋がありませんから、垂木の施工に配慮が必要になります。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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