小屋裏の換気は、こう夏が暑くなってくると、とても重要になってきます。 冬も大切なんですけど。
小屋裏に湿気が滞留してしまうと、結露の発生が心配になります。
夏は特に外気の湿度が高いですから、換気が十分でない小屋裏の湿度も上昇しがちです。
梅雨時の高湿度で、昼夜の温度差が大きい時期は特に心配ですし、過剰に冷房をしている場合も心配になります。
また、夏季は小屋裏内の温度が上昇し、天井を温めて室内に影響を及ぼしますから、この熱を排出して小屋裏内の温度を下げる事は、とても重要になります。
小屋裏換気の必要量が定義されたのは、住宅金融公庫の仕様書が初めてだったと思います。
軒裏・妻・棟・換気筒の各方式により、天井面積の何%の有効換気孔面積が決められました。
しかし、寄棟に一般的に採用されていた軒裏換気なんてものは、風が吹けば換気は行われるでしょうが、無風の場合には換気は期待できません。
空気の出入口が同じ高さにありますから。
切妻の場合は、妻壁に換気口を付ければよさそうですが、単純な切妻屋根の場合、妻壁は2カ所で梁間が小さく、桁行が大きい場合は、十分な換気口が設置できるかどうか。
換気筒は、まあ、採用されないでしょう。
そこで、棟換気というものが一気に注目されるわけです。
軒裏の換気口を入り口とし、屋根のてっぺんに出口を設ける棟換気は、屋根面で温められた空気が軽くなって棟から出ていき、同時に軒裏から空気が取り込まれるという重力換気でも換気が行われるので、無風状態で換気が出来るのです。
で、棟換気は当たり前のように施工されるようになりました。
正方形に近く棟の短い寄棟屋根でも、隅棟に取り付けられる換気部材が開発されたり、下屋や片流れ用の部材の開発も進み、小屋裏の換気状況は改善されています。
屋根に登り梁を採用して、合板で水平構面を作った場合、そこが気密層になり屋裏の換気は必要なくなりそうですが、断熱材と屋根材の間には通気層を設ける必要があります。
これは、屋根下地が腐朽してしまう危険が潜んでいるからです。
この場合も棟換気が活躍しますが、合板の上に垂木を打ち野地を張り、てっぺんに棟換気用の穴を開けます。
垂木の間を空気が上昇してきて、棟から排出されますが、棟の垂木の処理はどうしましょうか。
垂木のてっぺんの取り合いは、棟換気で必要とされる上からみて巾30mm下げて打ちつけて、横方向に空気が移動できるようにして、基準の必要量の棟換気口を取り付けるのか、棟の全長に渡って棟換気口を設定するのか。
できれば、全長に渡って施工した方が、効率よく換気が出来るのは分かると思います。
基準は最低の基準なので、それを満たしていれば良いかというと、必ずしもそうではありません。
通常の屋根でも、垂木の高さが邪魔をして棟換気口のない部分では、暖かな空気が停滞してしまう事は想像できると思います。
屋根の一番高い部分が、一番高湿であるだろうことを考えれば、気温が下がらなくとも飽和水蒸気量に達して、それほど低い温度でなくとも結露が発生するかもしれません。
水蒸気は、外気に含まれているだけでなく、室内からも漏れ出てきますし木材からも蒸発してきますから。
なので、棟換気は全長に渡って換気できるようにした方が、建物も長持ちすると思うのです。