防蟻対策。
なかなか頭の痛い問題です。
床下に関してはべた基礎を採用すると、外周部を除くとシロアリがコンクリートを食害して侵入してくるにはかなり時間がかかります。
150mm厚のコンクリートをかじるのは大変ですから。
ベタ基礎で気を付ける部分は、スラブと立上り部分を別々に打設している際に発生する打ち継ぎ面ですね。
また、布基礎で土間部分を後打ちする場合もありますが、この場合布基礎部分と土間部分の取り合いが空いてしまいますので、全体で防蟻対策を考えなければなりません。
あと気になるのは、配管部分。
ベタ基礎の場合、以前は金属製の型枠を設置してスラブを打設し、型枠を外し立上り用に組み直していましたから、型枠を受ける金物が打継面で貫通していて穴が開いている状態になってしまいました。
また、金物の厚さ分だけ土間との間に隙間が出来てしまい、ジャンカが起こりやすく仕上がりが悪くなりがちでした。。
工事中に雨が降っても、金物の穴から水が抜けるので助かるのは助かるのですが、竣工後にはどうにか考えなければなりません。
ここからシロアリが侵入してくることがあるのです。
現在はスラブの型枠は立上りの型枠と兼用させるため、コンクリートは2度打ちですが外回りの打継面は以前より各段に隙間も減りましたし、仕上がりもきれいになりました。
シロアリの侵入もしづらくなっただろうと考えています。
しかし人間として隙間がないと思うだけで、シロアリ目線ではまだ隙間があるかもしれません。
今後は更なる対策を考えています。
一方で基礎を貫通する配管周辺の対策は大変です。
立上りを貫通してくる配管は、まだ処理し易いですし侵入されても蟻道が作られるので発見し易いですが、スラブ内部に配管する排水には気を使います。
外部の土と繋がっている為、シロアリの侵入経路に十分なりえますから。
床断熱の場合、床下の排水は基礎断熱に比べて侵入の恐れは少ないでしょうが、全体を基礎断熱にしたり、浴室と脱衣室だけ基礎断熱にした場合、その区画内に排水を設置するとかなり気を遣う事になります。
床断熱なら取るべく対策はシロアリだけです。
換気量が十分であれば床下が乾燥しているので、それ程神経質になる事もありません。
しかし、基礎断熱の区画内となるとシロアリに加え、気密、防湿、断熱を満足しなければなりません。
気密を確保し防湿出来て、断熱効果があり暖かな空間目指して活発に活動するシロアリの侵入も防ぐそんな事を考えなければなりません。
効果が期待できる材料を使った丁寧な施工と、やはり定期的な点検が出来るような配慮が必要になってきます。
埼玉県はヤマトシロアリが主でイエシロアリはいないとされています。
ヤマトシロアリの巣は土中にあり、イエシロアリに比べかなり小さなコロニーであり活動範囲も巣を中心に限定されています。
例えば、玄関と離れたところにある浴室の両方でシロアリの被害が出たなら、その2ヵ所は別のコロニーのシロアリなのだそうです。
イエシロアリの場合は、家単位ではなく集落単位で同じコロニーのシロアリが襲う事もあるそうで、活動範囲が全然違う事が分かります。
シロアリが活動するには温度、水、栄養、酸素の4つの要素が適当に必要なので、どれか一つを取り除くと活動できなくなります。
対策としては、水と温度を取り除く事が一般的です。
しかし、基礎断熱になると温度を取り除くことが出来なくなり、水も排水などのコンクリートを貫通する配管がありますので、湿気の侵入を防ぐ事が難しくなってきます。
基礎断熱の断熱材に用いられるボード系の断熱材で、防蟻効果があるものはダウ化工のスタイロフォームATと、シップス・ジャパンの扱っているパフォームガード。
カネカは発泡系の断熱材は防蟻剤を配合しても蟻害に合うという観点から、シロアリが通れないステンレスの金網をシロアリ対策に使うとしています。
旭化成のネオマフォームは、基礎断熱は内側に施すとし、防蟻剤配合製品はないようです。
メーカーのHPのFAQには『シロアリの餌になりませんか?』という問いに『シロアリなど昆虫および動物によって損傷を受けることはありますが、栄養源や餌にはなりません。』とあります。
昆虫や動物を追加して薄めていますが、シロアリにかじられることを認めています。
『コンクリートをかじるのは大変』と最初の方に書きましたが、冗談と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、冗談で言ったわけではありません。
シロアリは食べられるものを選んでかじるわけではなく、目の前にあるものをかじるのです。
ですから、コンクリートも当然かじります。
また木材の様に固い秋材(年輪の濃い部分)と柔らかな春材がある場合、柔らかな春材を良くかじりますので、秋材だけが残りますので、柔らかなものを良くかじる事が分かります。
ボード系の断熱材は一様に柔らかい為、木材の様に木目に沿って食い進む訳ではなく縦横無尽にところ構わず進んでしまい、入口を見つけても出口(被害部分)がどこにあるかを特定するのが難しくなります。
毒が含まれていようが、シロアリは関係ありません。
1匹が2センチ進んで死んでしまっても、次の1匹は更に2センチ進むのです。
仲間が死んでしまったからと、かじるのを止める事はありませんから、カネカが言うように防蟻剤を配合してあっても安心とは言えません。