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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

輻射。

夏が近づくと聞こえてくるのが、『遮熱』。
 絶対零度の宇宙空間で、太陽の放出する熱(輻射熱)は、遠赤外線にのって金属以外の物質に当たると物質を温めます。
 輻射熱は、空気を温めることは苦手で、地球に到達すると地面を温め、地面に接する空気を温めることで気温が上がるのです。
 太陽の光に当たると、当たった部分が暖かく感じるのは、輻射熱を受け取っているからなのです。

 この輻射熱は金属を温めにくいので、金属箔で反射する事が出来、人工衛星の外側に金色だったり、銀色の金属箔でおおわれて、本体の発熱を抑えています。
 遮熱シートを販売するメーカーのサイトの情報では、純度の高いアルミ箔の反射率は97%で、輻射熱によって発熱する事はほとんどありませんから、人工衛星本体を熱から守ることが出来るのです。


 遮熱は、この輻射熱を遮る事で建物表面の温度上昇を防ぎ、室内環境を改善しようとする技術です。


 ただし、住宅の壁の中や屋根の中に組みこまれた遮熱シートが反射する輻射熱は、太陽からの輻射熱ではなくて、太陽の輻射熱で温められた屋根材が放出する輻射熱を反射しています。

 メーカーの施工方法に従って空気層を設定しますが、通気が十分に取れなければ空気層内部も高温になり、遮熱シートも温まり、遮熱シートの裏の野地板が温まり、野地板が輻射熱を屋内へ放出していくのです。

 また、シートに接する木材(垂木、胴縁)から伝導による熱の移動もあって、遮熱シートが温められることもありますので、宇宙空間では絶大な効果を発揮する遮熱ですが、地上ではそれほど劇的な効果は上げられないと言わざるを得ません。

 そんな訳で、屋根や壁の内部に入れたら効果は少ないし、金属箔は透湿性もないし、温度変化も激しく結露も心配です。

 それであれば、遮熱シートよりも遮熱塗料の方が効果があるのかもしれませんが、遮熱材の密度によって遮熱効果は左右されますから、塗料だと単体の性能は遮熱シートよりも遥かに小さいでしょう。
 そうなると、屋根材の温度はやはり上がってしまい、屋内側へ輻射と伝導で熱を放出してしまうのです。

 と、そんなことを考えつつ、遮熱シートのメーカーサイトで見つけた、工場向け(折半屋根)の工法が革新的で、効果を期待できると直感しました。

 それは、アルミ箔を屋根材の表面に貼り付けるというものです。
ピカピカのアルミ箔を張った鏡のような屋根に仕上がるみたいですが、これならかなりの効果が期待できます。

なんと言っても直接、太陽からの輻射熱を跳ね返せるから、効果がないわけないのです。

施工費も遮熱塗料と大差ないようですし、期待耐用年数も10年程度ですから遮熱塗料の塗り替えサイクルと同等でしょうか。

張替時には、既存シートの剥がし工程が増えますから新設よりも割高にはなるでしょうが、設置期間中の省エネ効果が大きければ、遮熱塗料よりも全体的には安く済むかもしれません。

アルミ箔も純度が高いそうなので、リサイクルへ回せば剥がし工程の補填も期待できます。


 その一方で、冬季は太陽の輻射熱を利用できないので暖房費が増えそうです。

しかし、夏場の方が、熱中症などのリスクが大きいですからそこは我慢ですかね。





 輻射熱は、高い方から低い方へ移動します。


 人体も輻射熱を放出しています。


 輻射熱は高い方から低い方へ移動しますから、例えば寒い部屋にいると、だんだんと寒くなって体の芯まで冷えていきます。

 これは、室内の床・壁・天井に向かって人体から輻射熱が移動している、熱を奪われている為に起こる現象で『冷輻射』といいます。
ちなみに、裸足で床の上に立ち足の裏が冷たくなるのは、伝導による熱の移動ですので冷輻射とは違います。 

冷暖房の方式に輻射を利用するタイプのものが存在しています。

システム的には、温水式床暖房とおなじです。


 熱源で熱を作り、循環水で熱を運び、パネルで放熱・吸熱する。

床暖房の場合は、熱源に給湯器を使う事が多いですが、冷暖房の場合は、ヒートポンプを使用しています。

エアコンの室外機と同じようなものですから、エネルギー効率は高いのでしょう。


 屋内のパネルは、床ではなくて壁に設置します。
ビルなどでは天井に設置する事もあるようです。

 冷暖房に風が発生しないので、快適そうです

 性能はパネルの温度に左右されます。

より高温であれば、より温められますし、より低温であれば、より冷やすことが出来ます。
実際には、そこまで極端な温度設定は出来ませんけど。



 輻射式の冷暖房、それだけを考えれば、パネルが見える範囲にしか熱を感じないはずです。
そうすると、それこそすべての壁にパネルを設置しなければならないのか?というと、それは間違いです。

 輻射熱は人体だけでなく、天井も壁も床も温めますから、それぞれが温まってそれ自体から輻射熱、冷やされて冷輻射が起こる事で、無風の冷暖房が実現するのです。


良いかもしれません。
風がないのは快適かもしれません。



 輻射式の冷暖房でも、重要なのは建物自体の断熱性能です。



 オイルヒーターが流行ったことがありました。
今でも、小さなお子さんがいる家庭では根強い人気があるのかもしれません。

あれも輻射熱暖房器具ですが、マンションなどでは暖かさを感じますが、木造住宅では断熱性能があまりにも貧相だったために、ちっとも暖まらずに、電気代ばかりがかさんで使わなくなってしまったという家庭が続出しました。


 本体の表面は触っても火傷しない位の温度にしかなりませんから、輻射熱量も多くないのです。

部屋の室温を上げるには、壁床天井を輻射熱で温める必要があるので、裏側から熱がどんどん逃げてしまう建物では効果はないのです。
それでも暖かく感じるのは、本体からの輻射熱を感じているだけで、室温ではないのでしょう。


 オイルヒーターも、Q1.0住宅のような高性能な住宅でなら十分に暖房器具として使えるでしょう。
しかし、省エネかというと、それは別の話で、電気ストーブと同じいわゆる電気エネルギーの『生炊き』と呼ばれる暖房方式なので省エネではないと言えるのでしょう。



 熱源にヒートポンプを使う輻射熱冷暖房設備には興味があります。
実際に、北の方では部分的にですが、輻射熱パネルの採用はありますし。
配管コストや、メンテナンス、配管を含む設備の更新のし易さ等、懸念される点はありますけど。
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プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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