先日、趣味のお友達から電話がありました。
子供が結婚して自宅(建売住宅)を購入するのだけど、リビング階段は寒いよねーという内容でした。
リビング階段。
いつから出てきたでしょうか。
確か、外断熱は暖かい!という頃だったと思います。
今考えると、当時の性能で暖かいとはとても言えないと思いますが、当時はそれ以外の住宅の性能がアレだったので、それでも暖かかった事でしょう。
当時、何処かのハウスメーカーの営業さんが鼻息を荒くして『暖かいですよー』と頻りに言っていた事を思い出します。
そんなわけないんですけどね。
間仕切りの上下に気流止めもないのに。
薄い断熱材だし。
比較対象がそれ以前のもっと寒い住宅だったので、それに比べれば。ですね。
リビング階段。
暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降してきます。
冷たい空気は床面に溜まり、床表面を冷やし続けます。
天井高のある階段がリビングに接続していれば、当然寒い事でしょう。
断熱性能と気密性能が低いと、階段を冷気が下りてくるのを感じることが出来ます。
これが、Q1.0住宅レベルの高断熱高気密住宅になりますと、室内の高さ方向での温度差が小さくなり、対流も起こりづらいですから上下階の温度差はそれほど感じないのです。
そういえば、一昨年から昨年にかけてリフォーム工事をしていた中古住宅を購入したお宅もリビング階段で、頻りに寒いと言っていました。
それ以前に住んでいた住まいが、リビング階段ではなかったのでしょうね。
築10数年ですから、そんなに古くはないのですけど実際のところ、そんなレベルの住宅が最近も建てられているのです。
リビング階段。
廊下を減らす手段としても有効です。
しかし、廊下という明確な部屋がなくなっただけで、移動経路を意識してプランを考えないと広いリビングだけども家具を置けないエリアが結構あるなんて事も起こります。
その友人が住んでいる住まいの事は良く知っているので、それに比べたら断熱性能は大きく向上しています。
無断熱住宅なんです、外壁の中は空っぽ。
物色している住宅は、おそらく厚床合板で外回りも面材、断熱材はもしかすると現場発泡。
断熱材の厚さが省エネ法最低でも、気密は高そうです。
なので、今の住まいよりも全然暖かいと言いました。
床暖房が入っていると言っていました。
結局、床面まで快適な温度にできないという事を暗に示唆しているとも言えます。
性能を売りにしているハウスメーカーは、床暖房は必要では無いけども保険の為に全棟に付けているという事を聴いた事があります。
感覚は人によって大きく異なるので、暖かいと謳っているのに万が一『床が冷たくて寒い』という事を言われたらたまらないという事のようです。
とにかく、比較対象の基準がどのようなレベルの住宅なのかによってその辺りは変わりますよね。
無断熱住宅が基準であれば、現在のどんな新築も暖かいはずです!多分。
久しぶりに受講した新住恊の講習で、鎌田先生がおっしゃっていた『北海道の住宅は、断熱性能が低くても灯油をガンガン燃やして、上下の温度差が大きくても室内を暖かくして生活するから、高断熱住宅の暖房方法だと不安を感じたり、住はじめは寒いというが、関東辺りではもともと住んでいる住宅が寒いから、高断熱住宅に住み替えると暖かいというのか』というような発言を思い出します。
この辺りの方々は皆、我慢して冬を過ごしているんですよね。
それでも凍死する程に外が寒くなく、冬の間は家に閉じこもるという事もないから。