コロナとウクライナの件で、材料が軒並み値上がりしてしまいました。
建売住宅の仕様を見ていると、思い切ったコストダウンの参考になったりします。
建物の周囲がコンクリートからアスファルトになってもう2年くらいでしょうか。
境界のCBも地面すれすれになりましたし。
2階のトイレもなくなって、シャッターもなくなったりしています。
屋根材については、建売住宅というと平板スレート(コロニアル等)が定番だったのですが、どうやらアスファルトシングル葺きを採用しているビルダーが出てきたという話を聞きました。
アスファルトシングルは、ほかの屋根材よりも柔らかいのが特徴です。
曲面の屋根なんかにもそのまま対応できるのは、ほかの屋根材にはない魅力です。
軽いので地震にも有利というか、瓦屋根等重い屋根材の建物よりも耐力壁量(筋交の本数)を少なくすることが出来ます。
平板スレートよりも軽く、金属屋根よりも重いのです。
【参考】各種屋根材の単位重量。
・陶器瓦:45kg/m2
・平板スレート:20kg/m2
・シングル:9kg/m2
・金属:5kg/m2
軽くてお求め易くて、今後は平板スレートの座を奪ってしまうかもしれませんね。
平板スレートはアスベストが使えなくなってから耐久性は落ちていますから、昔ほど魅力的な屋根材ではないと言えます。
耐久性は、軽く柔らかいので施工に左右される点ですが、はがれた場合に風に弱いと言えます。
メンテナンスの頻度は、おおむね平板スレートと同様と考えてよいようです。
コケも生えるようなので、再塗装やカバー工法を行っていくことになるでしょう。
葺き替えは施工的には軽量で柔らかいことから比較的楽そうですが、処分費はどうなのでしょう。
気を付けたいのは(防火地域、準防火地域以外の都市計画区域内の22条地域内のお話です)他の屋根材が不燃材なので問題なく葺けるのに対し、シングルは防火認定を取得して屋根材として使えるようになっています。
この防火認定は飛び火認定と言われるもので、ベランダに多く採用されるようになったFRP防水を屋根材として正式に使えるようにする為に作られた認定・・と思っています。
『屋根は不燃材で造るか、葺かなければならない』という規定がある為、この認定が制定される前のFRP防水の扱いはグレー微妙なものでした。
FRPというとガラス繊維を樹脂で固めたものです。
ガラスは不燃材なのですが、樹脂は?
それでも、採用数はぐんぐんと伸びており、ベランダの防水はFRPが当たり前な状況でした。
行政は苦肉の策として、下地材に不燃材を使うこととしていましたが、屋根材はあくまでもFRP防水層なのでどうなのでしょうか~という時期でした。
ちょうど、民間で建築確認を下せるようになった時でそれまで行政でまちまちだった法解釈を、一本化するということで問題になってたと思います。
同様にカーポートの屋根材とか、アルミの防火性能とかも言われていた頃ですかね、記憶があいまいですけど。
で、結論として、不燃材でなくても隣家の火事で、火の粉が飛んできてFRP防水の上に落ちても、一定時間以上燃え落ちなければ屋根材として採用できますよということになったのが、この防火(飛び火)認定なのです。
つまりこの防火認定の屋根材は、他の屋根材に比べたら火には弱いのです。
直接火で焙られたら燃えるという材料といえます。
FRP防水の場合、そのほぼ全てが陸屋根で、軒の出も無いでしょうから、隣家の火災で直接火で焙られるというシチュエーションは考えづらいですが、軒の出があってこう配屋根のシングル葺きの場合はどうなのだろうなぁって考えてしまいます。
火事を起こす、隣家で火事が起きる可能性は少ないでしょうけれども。
意匠的には柔らかい感じに仕上がります。
柔らかい材料で、エッジが立っていないので線が柔らかいのですね。
これはシングルならではと思います。
印象としては、やっぱり平板スレートと同じポジションです。