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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

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耐震補強で行政から補助金をもらえる場合。

2025年でしたか、4号特例が撤廃されて平屋住宅以外は建築確認申請において構造の見当根拠を提出しなければならなくなりました。
それに合わせて、要求されれる最低基準も高くなる・・あれ、長期優良住宅でしたかね。

 それは置いておいて、いずれにしても法律で要求される保有耐力(筋交いの量)というのは過去に何度も上方に変更されてきたわけです。
その中でも、一番重要なものが、昭和56年の改正(新耐震基準)です。
これ以前に建てられた住宅は阪神淡路大震災で、倒壊し、これ以降に建てられた住宅は被害が少なかった事から、不動産売買においても重要な指標の一つになっています。

ん、表現が違いますね。
阪神淡路大震災で倒壊した多くの住宅が昭和56年以前に建てられたものでした。
の方がよいでしょう。
それでも、極端に筋交いが偏って配置されていたりして、バランスの悪い建物に倒壊が見られたので四分の一法という、建物の平面計画の上下左右のエリアで、筋交等の配置バランスを検討方法が導入されました。


 鴻巣市の耐震診断・補強にもらえる補助金の条件は、まずこの昭和56年以前に建てられた住宅と制限がされています。
恐らく補助金を出す行政のほとんどがそうだと思います。

 これに当てはまる方は、補助金をもらって耐震診断を受けるという事はあるのです。
『うちは古いけど、地震に耐えられるのだろうか』と心配になって。

 耐震診断を受けるのですから、その先にある耐震補強までも視野に入っているはずなのですが、耐震補強で補助が貰えるかどうかというとかなり難しいことになってきます。
補強工事を行えば貰えるのですが、行うかどうかという判断が難しいのです。

 耐震診断の結果は、筋交(耐力壁)のバランスと量、軸組の緊結状況で判断されます。
もちろん基礎、水平構面等でも補正がかかっているのですけど、それよりも分かりやすく影響してきます。
昭和56年以前の建物の耐震診断をすると評点0.3とか。
筋交いの端部や軸組の留付けは釘打ちだったりするので、評点は低めです。
南側に大きな掃き出しの窓が並んで壁がなく、反対に北側に壁が多く集まっているのでバランスが悪くいことで、評点は低めです。
基礎も無筋(鉄筋が入っていない純粋なコンクリート製)なので床下換気口周辺でひび割れていることが多くここでも評点は低く補正されます。
築10年を超えると10%下方補正され、劣化部分があるとさらに減らされてしまいます。

 で、行政の補助金をもらえる耐震補強というと、この評点0.3くらいの建物の評点を1.0とする耐震補強設計を行い、耐震補強工事を行わなければならないのです。
このハードルが高いのです。

 インターネットで耐震診断とか補強と検索をかけると、耐震補強の予算平均が100万円とか書かれています。
これだけを見れば、100万円の工事をして、行政から20万円の補助が貰えるならやってみてもよいかなと思うでしょう。
しかしこの金額は昭和56年以降の建物も含んでいるからこういうことになるのですが、それ以前にしぼるとそんな金額では到底収まらないのです。
300万円~と考えなければならないかもしれません。

 昭和56年以降であれば耐力壁量は足りているはずなので、あとはバランスをとってあげたり、経年劣化や下方調整されて足らなくなった分を足してあげればよいので、数か所、屋内の補強で評点1.0は達成できるでしょう。
この場合は、100万円という金額になるのはうなずける話なのです。

 評点0.3から1.0に上げるのにどれだけの量の壁を追加しなければならないのか。
大きな家であれば、開口部をふさいで壁にしたりとできるのですが、コンパクトな2階建ての住宅となると追加できる壁量には限界があります。
そうすると評点を低く補正している部分を改善することを考えて、既存の軸組の継手・仕口に補強金物を追加したり、基礎を補強して現況全体を底上げするという事になってきたりします。

 補強金物の追加はあちこち穴をあけなければなりません。
そうなると雨漏りが心配になりますので結果、外装をすべてはがすような事になります。

 基礎の補強は屋内の床をはがして行う必要もあるので、生活しながらの工事というのは難しいかもしれません。

 国が示す参考例として既存の基礎に同様の基礎をくっつけて補強するというのがあります。
これは効果がどれだけ期待できるのかというのは当然ありますが、増えた重量を考えると不動沈下を起こしたりしないのかなんて事も考えなければならなくなって、地盤調査も考えたくなります。
その結果次第では地盤補強もという話になります。
重量を増やすというのは、耐震性能を考える場合は危険側ですから、できれば重量を軽くする方向で考えていきたいところです。
この場合は、繊維素材による補強を考えることになりそうですね、できれば両面。

 瓦屋根の場合は、瓦を金属屋根に葺き替える事で耐震補強になります。
コストはかかりますが、それによって屋根の寿命も長くなります。
最低でも40年は経過していることと、瓦の寿命は50年前後ですがその下にあるルーフィング材が劣化して穴が開き寿命を迎えますから、その場合は屋根の葺き替えを行う事を前提に耐震補強計画を考えることになります。
100万円からは程遠い内容なりますが。


 新耐震基準になって41年が経過し、屋根材としては一番寿命の長いと言われる瓦も、50年程度です。
それ以前の建物は、部分的な壁だけの耐震補強を行うよりも、今のまま手を付けないか、持ち主が変わってスケルトンにして仕立て直すか、取り壊されていくという判断が増えていくのでしょう。


 すっかり、補助金をもらおうという話ではなくなってしまいました。

耐震補強の補助の判断が、評点1.0から0.8とか、昭和56年以降でも耐震診断の評点が0.7を下回る場合に評点1.0にする耐震補強になれば、もう少し補助金の活用も進むのだろうと思います。
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プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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