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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

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耐震診断。

昭和56年以前に建てられた木造2階建住宅の耐震診断を依頼されて、潜ってきました。

 計算自体は、PCソフトがやってくれるので図面があれば入力できない事も無いのですが、図面自体が信用できない場合も多いですし、耐震改修まで考えていらっしゃるのであれば、潜って実態を見てしまった方が、より信頼性の高い診断が出来ます。

今回の物件は今は統廃合を繰り返して名称が残っていない会社の建てた住宅ですが、図面はしっかりしていて構造伏図も展開図もありました。
しかし、屋根伏図はなく。
平面図に方位の記載もなく。

 図面をお預かりして、図面上で耐力壁の位置を中心に確認をしていきます。

 ん?
『和室の窓の障子が全て引込になっている。』

 ん?
『引き込む壁に筋交が設定してあるし、戸袋もある。』

 ここ、筋交がどうにか入っていたとしても、効果ない筈。
いや、入らないでしょう。
全部で5カ所も、しかも南側に集中しています。

さて、一体現場はどうなっているのでしょうか。
役に立たない図面なのかもと思いつつ、現場調査当日、該当部分を部屋内部から確認すると筋交が入っているような納まりにはなっていません。
やはり筋かいが不足してしまっているのでしょうか。

 床下に潜ってあちこち確認します。
図面に指示がある場所には筋違が入っています。
件の場所には当然筋かいはありません。

 すると、図面には指示が無いところに筋かいが入っている箇所を見つけました。

どうやら、筋かいを違う場所へ移動して施工してあるようです。
図面の上で、移動先になりそうな場所の見当を付けて探して見ると、ありました。
図面で指示された筋かいの本数と方向は、未確認の2本はありますが、他の状況から判断して間違いなく施工されているだろうと判断しました。

 構造は伏図通りに施工がされてます。

 それでも、基礎は無筋コンクリートで床下点検口の角にひびが発生しています。

 床下も湿度70%位、木材の含水率は20%を下回っており、蟻道の類も腐朽の類もなさそうです。
クレオソートが塗布されている様に見えます。

壁には袋入りGWがなんとなく入っていて、1階の床下には洋室のみGWが垂れ下がっていますが、なんとなく入っています。
天井は無断熱。
・・。

 床の断熱材はあっても無くても影響ないな。

 調査の結果を持ち帰り、計算してみると0.31という評点がはじき出されました。
耐震改修で市の助成金を受ける為には、この評点を1.0にする必要があります。

そちらも検討してみます(耐震設計の範疇になりますが)。

 バランスをとって低減係数を1.0にしてから不足分をどんどん足していきますと、1階の外壁の3/4を剥がして筋かいを45x90の断面に変更し、金物を取付、構造用合板を施工するという内容になりました。
件の和室のサッシは、柱を立てて耐力壁にしなければならないので、7カ所入れ替えになります。
屋内は7カ所の壁の改修が必要です。
2階は、屋内の壁3カ所で外部は不要でした。

 とりあえずはここまでで、お客様に報告をします。
この先は改修工事と言う事になりますので。

 バランスをとって低減係数を1.0にするくらいの改修で、評点が0.6近くになります。
そこで納得するか、あくまでも1.0を目指すか。
それとも、0.8位でとどめるか。
お客様の判断にゆだねる事にします。

 耐震改修は保険と同じなので、どれだけの改修を行えばよいかの判断は難しいところです。
大きな地震が発生する事は間違いないでしょうが、自分の住む土地で震度7が発生するかは分かりません。
また、震度7に見舞われても、現状のままで倒壊に至るかと言う事もまた分からないのです。
また、評点1.0になる耐震改修を行ったとしても、震度7に必ず耐えられるかと言うと、それもまた分からないのです。

 評点1.0と言うのは、現行法規基準相当であるという事を表していますが、現行法規基準で建てられた住宅と同じ耐力があるかと言うと、違います。
現行法規で建てられる住宅の耐力は、構造だけで計算されています。
在来工法であれば、柱と梁、構造体だけのスケルトンの状態で計算します。
耐震改修の場合は、柱と梁、構造体にプラスして、床や内壁、外壁などが仕上げられた状態で計算しています。
なので、現行法規ギリギリの耐力となる両方の住宅でも、床や壁を含まないで計算されている今の建物の方が耐力がある、地震に強いという事になります。

 少なくとも、現行法規、昭和56年以降に建てられた住宅の耐震改修は、バランスを調整してあげるだけでも1.0を達成出来ますから、数カ所の改修で終える事が出来るでしょう。
潜在している耐力は現行法規を満たしている筈だからです。
量は足りているがバランスが悪いのです。
バランスの規定がはっきりと定められる前までの建物は、南側に大きな窓が並べられて、北側に壁が集中していたりして、偏っている事が多いのです。

 気になる方は、一度ご相談ください。
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プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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