竿縁天井の和室の天井を直す事となりました。
竿縁天井の場合、使っている天井板はイナゴ天井という薄い杉板を、3cmくらい重ねながら竿縁の上から留め付けていきます。
ところで、和室の天井は施工上、天井裏から留め付けていきます。
敷き目天井は、天井板に梯子上に作られた桟木と野縁を専用の釘で留め付けます。
竿縁天井や格天井は、竿縁や格子に天井裏から釘で留め付けます。
本実のある羽目板や縁甲板を張る場合、野縁には部屋側から釘で留め付けられますが、真壁であれば張り始めや張り仕舞い、両端部はやはり天井裏から廻り縁に留め付けます。
張り仕舞いを天井裏から施工すると、職人は天井裏に取り残されてその後、一生天井裏で過ごす事に・・はなりません。
どこからか生還しますが、2階建の1階の和室の天井裏は狭いことが多く、天井裏に上がって施工する事は出来ません。
そこで、張り仕舞いは廊下や押入側になるようにします。
和室の隣の押入や廊下から天井の最後を留め付けるのです。
つまり、和室の天井を張り替えるというのは、張り仕舞いをどうやって納めるのかが問題となって来るのです。
張り仕舞いとなる側に押入があれば、何とかなるでしょうが、廊下となると天井裏を這いつくばって、和天井でなければいけますが、和天井の場合は強度的に難しくなります。
今回は、仕上げを杉の網代風のクロス貼りとすることにして、竿縁の下端に合板5.5mm厚を張上げてクロス下地にする事としました。
竿縁と廻り縁とのチリは10mm程度なので、仕上がるとチリは2~3mmと言った所です。
そうして、職人がビニルクロスを貼り終え、床の養生をあわただしく剥がしていくと、お客さんが部屋の一角の畳が柔らかい事に気づかれました。
傍から見ても沈み込むことが確認出来、乗ってみると、荒床が明らかにダメージを受けている感じが伝わってきます。
根太は無事のようです。
早速、畳を上げてみると、巾50cm、長さ1m20cm程度の範囲にシロアリがいて荒床が大きく食い荒らされています。
唖然。
同じには、部屋に家具を運びこぶ前に気付けたのは良かったのですけど。
天井の作業中は、畳の上に養生シートを敷き、その上に養生用の薄い合板を置いていましたし、位置的に脚立の作業なので、床に直接立つ事も少ない事から、気づかなかった様です。
シロアリの蟻道は、荒床の継ぎ目の中を進んで隣の畳の下へも続いています。
2間続きの隣の部屋にも少し被害が見られます。
全ての畳をどけてはいませんが、かなり広範囲に被害がありそうです。
今後はシロアリの駆除会社へ調査を依頼、見積、施工となります。
弊社は、床束、大引、根太、荒床の交換と、断熱材の追加の工事を行う事になります。
駆除会社が施工できるように、あらかじめ点検口を作っておくことになります。
築50年位の建物で、過去シロアリの被害は無かったようですが、今回、玄関先でもシロアリの痕跡が見られましたが、大事には至っていません。
今回は、運悪く和室に達し、畳の下と言う事で広く広がったようです。
因みに、『シロアリは、蟻ではなくてゴキブリの仲間なんですよ』と言ってきました。
先日、ラジオのラジオショッピングで、シロアリ駆除を紹介しており『ゴキブリは、シロアリの仲間なのです。なのでシロアリは害虫なんです』と言っているのをラジオで聞きました。
言い回しで印象が変わるなぁと、ハッとしました。
私は、一般の方よりもシロアリに出会う事が多く、見知った仲と言えなくもないですので、『シロアリ』を主語としてもイメージし易いのですが、シロアリを良く知らない方にしてみれば、『シロアリ』よりも何度も遭遇しているであろう『ゴキブリ』を主語とした方が、シロアリの事が想像しやすいと思いました。
ゴキブリは、印象最悪ですからね。
ただ、必要以上に危機感を煽る可能性があるとも思いますけど。
ハッとしたのはそういう事です。