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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

北側の外壁。

この頃の外壁と言えば、窯業系サイディングで色は白や黒。

 そんな白い窯業系サイディングの住宅で気になるのは、北面。
なにか嫌に汚れているのをよく目にします。

 昔は軽量鉄骨系の住宅で良く見られた、柱や梁のあるところが綺麗でその他が黒く汚れる現象。
それが木造住宅でも発生する様になっています。
なんでかなって思います。

 こういった柱や梁、下地の木材が浮き出てくる現象は外壁ばかりで起こる訳ではないのです。
小屋裏の換気が上手くいっていない軒天や、無断熱の突板またはラミネートの和室の天井とか。

いずれにしても関係しているのは、温度の訳です。

 軽量鉄骨住宅の柱や梁は当然、鉄でできています。
鉄の熱の伝わり易さ【熱伝導】は、木材よりもはるかに伝わりやすいので、接する外壁も温められます。
軒天も野縁【のぶち】と言われる木下地や、和室の天井に現れる桟木とかもそれ以外の場所よりも熱が伝わりづらいので、温かいのです。
温かいと表面で結露してもすぐに乾燥してくれます。

 古い木造住宅の外壁で、そういった現象が起きるとしたらかなり古い建物で、外壁の塗替えなどのメンテナンスをしていないもの。
それもすべてではなくて、僅か。

 なんでそんな事になっていたのか。

>>>以下の内容は、特に実験をしたわけでもなく、あくまでも私の憶測です。ひとりごとです。<<<

 一つの理由は、かつて袋入りのグラスウールが住宅の断熱材の主流でした。
施工方法は、防湿面を室内側の柱や間柱の正面に留め付けるというのが本当でしたが、柱や間柱との間に余計なものを挟み込んでしまうと、その上に留める石膏ボードや、化粧合板が凸凹になってしまうという事を危惧したのでしょう。
また、下地が見にくいという理由もあったようです。
柱や間柱の側面に留め付けるのが、一般的だったと思います。
そうすると、本当は内壁にくっつけて施工しなければならない断熱材が、外壁側にくっついて施工されます。
そうする事で、外壁の表面温度が一様になって汚れも全体的に一様になったと思っています。

 それが、外壁通気工法の普及と高気密化によって覆されました。
外壁通気工法は、その名の通り外壁の裏側を空気が通り抜けるようにしたものです。
これは壁の中の湿気を効率的に排出して、壁体内結露を防ぐ為に採用されます。
ボード系の等の吸湿しない断熱材では問題にはならないでしょうが、グラスウールやロックウール等の繊維系の断熱材では避けなければならないことなのです。
キチンと気密工事が出来て、壁内に水蒸気が侵入しなければ必要もないのですが、高気密に自信がないのか、そもそも意識もしていないのか、万が一の保険の為か採用され続けています。
 将来、気密層に穴をあけられてしまって壁内に水分が侵入してしまわないとも言い切れませんし。

 外壁の裏側を空気が流れると、当然の様に外壁は冷やされます。
それはもう効率的に。
現在の木造住宅の外壁に入れられる断熱材は、85mm以上になっています。
かつては50mmでしたから断熱性能は高まっており、既に木材よりも性能は良いのです。
そうすると、かつての軽量鉄骨系住宅と同じことが起こります。
木である柱や梁の部分が、外から見て暖かいので外壁面もこの部分が温められます。
そうすると、柱や梁部分は白くその他が汚れてしまうという現象が起こるのです。

 冷えた外壁面は結露が起こり、その水分にホコリがたかり、コケやカビが付き黒ずみます。

 さて、問題は何かをここで定めておきます。
断熱性能が上がってしまっている現在で、北側面の汚れを防ぐことは難しいのかもしれません。
表面温度が低く結露が防げないとしたら。
また、植栽に囲まれた環境では、どうしても外気は多湿になり通風も滞りがちです。
ですので、汚れる事は許容します。
ただし、柱や梁が透けて見えるように汚れる事が問題だとします。

 そう考えると、要は、壁全体の表面温度を一様に近づければ解決するはずです。
温度差があるから汚れも一様でないのですから。

 どんな方法があるのか。

 恐らく、外断熱は効果が高いと思います。
ボード状の断熱材で建物を覆ってしまいますから、木部が外壁に接する事はありません。
外壁通気工法も採用出来ますし。
ただし外断熱は新住協では推奨していません。
断熱材を貫通する部分はビスだけですから、外装を支持するのは将来的に不安があるからです。
あくまでも木桟を入れる付加断熱を行います。

 確かドイツの製品だったと思いすが、スライスしたレンガを断熱材と一体化させたものがあったはずです。
これも良いかもしれません。

 後は、内壁の仕上げ材の裏から外壁材の裏側まで断熱材で施工するような工法があったはずです。
外壁の仕上げは左官。
通気はさせない方法です。

 もしかしたら、窯業系サイディングの資材に通気金物による施工方法があります。
これは胴縁を施工せず、嵩上げした金物で外壁を取り付けていきますから、外壁材は建物本体と点で接続され、壁の中で空気の淀みが少ない方法です。
外断熱のビスと同じような問題点が出そうですが、こちらは20mm程度の厚さですからどうにかなりそうです。
それでも開口部廻り、継ぎ目の部分は胴縁が必要・・なんだと思います。
コーキングを打ちますからね。

 窯業系サイディングの色やデザインでも違いがありそうです。
櫛引のような凸凹の多いデザインと、ホワイトが圧倒的に汚れています(目立ちます)。
今は不人気でほとんど無くなってしまったタイル調は茶色いし、割と平滑なので良いと思います。
石調でも同様なものがありますので、その辺りを選ぶのも良いのかもしれません。

 21mmや24mmの厚いサイディングというのも良いのかも。

 ALCも良いかも。
メーカーは断熱材だと言っているとかいないとか。
確かに発泡コンクリートのALCは、他のセメント製品よりも熱は伝わり辛いです。
素材が柔らかく薄く出来ない為、厚さがあるからっていうのもそうですけど。

 木材の外装材というのも。
シルバーになったり黒くなったりと、変化するのが当たり前ですからその変化を受け入れられる人ならば、お薦め。
ただし、採用できるかは地域・地区によります。

 金属系の外壁材も良いかも。
熱伝導が良く温度が一様になりやすいので。


 兎に角、壁内通気工法で窯業系サイディングのホワイトは、気を付けましょう。


12/8追記

 読み返してみると、多少ぶれている感じがします。
壁体内通気工法は、柱外面と外壁との間に通気に必要な20mm程度の空間を設けて、湿気の排出を期待しますが、正しい施工をしないと空気の滞留が発生したり、そもそも期待するほどの通気を得られないとか、方角で効率が大きく異なったりと言われています。

 確か、高断熱高気密が北海道で作られるようになった頃に、壁内結露が問題となり大建工業がオープン工法として発表したもののはずです。
有り難い事です。
胴縁を使うという、職人にも受け入れやすい方法の工法で広く普及しましたが、見よう見まねで行われる事も多く通気が上手くいかないと言ったケースも散見されます。
軒天との取り合いや、開口部との取り合い、下屋との取り合いなど。
空気の流れを想像しながら施工しないと、空気の滞留を招いて結露が発生します。
例えば、開口部はその4周を胴縁で囲いますが、その上下に施す横の胴縁に直交する縦の胴縁を突き付けて施工してしまったりすると、その3方胴縁で囲まれた部分は通気が上手く出来ません。

軒天廻り。
現在は、縦胴縁を先に施工してそこに軒天材を受ける野縁【のぶち】を取付、壁から小屋裏または屋根裏に通気層を繋げますが、最初の頃は小屋裏換気と壁体内通気は別として施工されていた事があります。
壁の通気を小屋裏へ入れると、小屋裏換気孔の必要面積が足らなくなるという事だったのか、単に名称が違うから別にしたかったのか。
いずれにしても、軒天を先に施工してから通気胴縁を施工、通気用の見切を取付けるという事をしていました。
この時、そもそも通気用の見切を採用しないという事もあったと思います。
胴縁を施工したからそれで満足して、出入口まで気が回らなかったのでしょう。

 現在、注意したいのはベランダの手すり壁の扱いです。
ベランダ手摺の上部は笠木が施されますから、外的に閉鎖されがちです。
どうやって通気を処理するかは、一考が必要になります。
また、ベランダの床は屋根扱いになりますが、屋根は通気が必要です。
FRP防水の場合は野地に直接施工しますから、野地の裏側に通気層を考えなければなりません。
万が一、水の侵入を許した場合の対策も考えなければならない部分です。

 通気胴縁は、縦張りのサイディングの場合、通気が上手くいかない事が懸念されます。
縦胴縁に比べれば当然、その効果は低くなるでしょう。
大凡1間間隔で、30mmの隙間を作りそれを互い違いに配置していくのですが・・。
そこで登場したのが、エアホール胴縁と言う胴縁を大きく抉った製品でした。
これを使えば、縦張りでも通気が行えますが、価格が高い事と端材が多く出てしまうのがネックです。
また胴縁の強度も個人的には心配です。
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プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
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