和室の畳をどけて、床を張るという工事の依頼は多いです。
落ち着ける、寝転がれると精神的に癒しを得やすいという利点は多いですが、生活様式が西洋化して久しく、高年齢化により床に座る形式よりも椅子、ベッドの生活を意識し始め、将来の介護の事まで視野にいれると畳よりも、何かと使い勝手の良い床にしたいという事も多いものです。
和室があるという時点で、かなりの築年数が経過した住宅だと思ってください。
現在のべた基礎が標準となっている住宅の場合、今回の話は当てはまらないかもしれません。
床(畳、フロア)のリフォームは、
①床束、大引、根太まで丸ごと作り替える方法
②既存の床板に重ねる方法、
③畳を外すと出てくる荒床【あらゆか・・仕上げてない床という意味でしょうかね】の上にで根太を置いて床を張る方法
があります。
②は既存が床の場合で、③は畳の場合。
①はどちらの場合でも対応できる方法です。
古い住宅の床は、ほとんどが平らではないです。
布基礎が標準で、床下は土のままの建物で、床がまず平らである事は稀です。
凸凹した床の上に新しい床をそのまま作ると、凸凹なままです。
凸凹なので、無理に床板を張りこむと床鳴りの原因になったりします。
それでも、出来るだけ水平に近づけたい。
水平でなくても平らであれば良い。
そう考えた時に、どうすれば良いのかを想像してみてください。
コンクリートのような流動的な材料を既存の床の上に、凸凹の最大値を超える位の厚みで流し込んでみますか。
そうすれば、概ね水平になるはずです。
しかし、コンクリートは重量がありますし、穴があれば流れ出してしまいます。
なによりとても冷たく、とても硬い床が出来上がります。
面の凸凹を面で処理しようとすると大変です。
なので、面の凸凹は線や、点で処理をします。
新しい床を水平にしたいと言えば、①か③が可能で、②はあくまでも既存に準じて凸凹になります。
床が凹んでいるのは壁際で、部屋の中で大きな荷重を支えている柱近くが大きく下がっており、部屋の中央が一番高くなっていることが多いです。
今回の工事は、物置なのでコスト優先、畳をどけて合板を張るという工事になりました。
畳をどけてレーザーレベルで高さを計測すると、部屋の周囲で約20mm程度の高低差があり、部屋の中央を含めると最大で40mm近い高低差となりました。
今までは畳があったので、多少の凸凹は畳が吸収してくれていましたが、このまま板を張ってしまうのは、この高低差が気になりますというか、部屋としてどうなのか。
と言う事で、今回は③の方法を採用し、根太の高さを調整する事で水平にしていきました。
採用した根太の高さは45mmとしました。
既存の根太は455mmピッチで施工されていて、荒床も15mmあるので根太の最小の高さは20mm位でも十分でしょうか。
一番低いところでは、パッキン(飼い物)を入れて【点で処理 】、45mm以下の所は根太を削り調整【線で処理】します。
正直、この調整が一番大変な作業です。
原則的には、パッキンで点で処理するのか作業も楽なのですが、凸凹が酷い時は根太を削る方が強度を保てますし、途中で継ぐことも減らせるのでそうします。
たとえば今回の場合、一番高いところは20mm位になりますが、15mmの根太材で5mmのパッキンとするのは強度的に問題が出てきます。
薄くなってしまう所は出来るだけ線で支えるようにします。
根太の厚みの調整は殆んどは今回の様に凸凹の差が大きいので、実際は丸鋸で割きます。
カンナで削って済む位であれば、根太の太さを変えてパッキン施工にします。
新しい根太を、既存の床にビスで留め付け根太の両端(若しくは削り始める所)にレーザーレベルを使って高さを出し、墨壺で墨を打ちます。
ビスを抜いて根太を外して、墨に合わせて丸鋸で根太を割いて、今度は裏返しにして根太を固定
し、既存の根太の上で高さを確認して出来上がりです。
床が凸凹になっていると言っても、線で見ると大凡、弓なりになっていますから、この方法で概ね平らにする事が出来ます。