今まで手掛けた住宅は、Q-1.0を含めて天井→床→壁、若しくは天井→壁→床という施工順番でした。
床の合板を捨て張りする以前は、床→天井→壁の順番でした。
施工効率的にはこの順番か、天井→床→壁が良いのですが、近年は耐火性能も求められますし、Q-1.0住宅の最新の標準施工方法は、壁先行となっています。
もともと、気密を意識した施工を行うQ-1.0住宅は、省令準耐火と相性が良く、少しの工夫で適合できました。
省令準耐火で求められるのは、外壁の裏側(室内側)は、梁や桁(横架材【おうかざい】)まで石膏ボードを張上げる事です。
Q-1.0住宅では、梁・桁に留め付ける気密防湿シートは気密テープで貼りつけるか、巾3cm以上の乾燥木材などで押えるかのどちらかです。
気密テープは初期強度は強いのですが、耐久性が低く経年劣化で剥がれてしまう事が懸念されますので、乾燥木材等で押える方法が取られると思います。
この場合、壁は必ずしも先行でなくても良いのですが、木材で押えるのは結構手間がかかります。
そこで、石膏ボード(壁)を先に梁・桁まで張上げてシートを抑える事でシートの端部処理も行って、気密性能も挙げてしまうのです。
と同時に、省令準耐火の外壁仕様に適合します。
屋内の壁については、耐力壁に筋交を採用せずに、石膏ボードや合板を耐力壁に採用した場合は、梁まで張上げる事が必要です。
筋かいでも良いのですが、ファイヤーストップやらなんやらを求められる省令準耐火では筋違よりも石膏ボードで作ってしまう方が施工的に効率的で、性能も優れますからQ-1.0住宅では筋違は採用しない方向になりました。
断熱材を充填する時も、断熱材よりも熱が伝わりやすい木材(筋違)が入るという事は断熱性能が低くなるという事を意味しますし、壁の中に余計な部材が無い方が施工効率も良いのです。
施工的には、やりづらい部分もありますが、性能の為には壁先行という事になります。