省エネの住宅を求めるように政策がなっているのは、地球温暖化の進行スピードを鈍らせる為。
2050年までに排出する温室効果ガスを、実質0にするゾと、世界に約束したので、より一層省エネ住宅を求めていく事になります。
それで、省エネ法がどんどん強化されて、今年の4月以降は小規模な住宅でも、建てる住宅が省エネであるかないか、そうでない場合はどうすれば省エネになるかという事を説明する事になりました。
これにより、省エネ住宅が増えていく事が期待されています。
弊社も高断熱高気密住宅に取り組み、省エネ法の基準を大きく上回るQ-1.0住宅の建築をしています。
しかし、省エネ住宅とは、生活をするの際に消費するエネルギーを減らす、ランニングコストを抑えられる高気密高断熱であれば良いのか?
そんなことも考えていかないといけないなと、つくづく思っています。
地球環境の事にそれ程興味が無くても、ランニングコスト(光熱費、修繕費等)を抑えるという事であれば、しっくりくると思います。
住宅はいろいろな部品によって作られています。
この部品は、それぞれの原料を加工して作られますが、その加工する時にもエネルギーを消費します。
その部品が出来るまでに消費されるエネルギーや、解体して処分する際のエネルギー、更新サイクルなど、いろいろな事を考えると、天然素材を使うと言うのは省エネなのだなと改めて思います。
木と言う素材は、英語で言うと"made of"なんですよね。
樹木とか製材とか角材とか板材とか、多少形が変わったところで、みんな”木”であることは変わらないのです。
コンクリート(セメント)や、鉄は、原材料に熱を加えて溶かしたり、化学変化をさせたりする素材で、英語で言うと"made from"なんです。
石灰石とセメントは、全く違うものですよね。
鉄鉱石と鉄骨材も、違います。
途中の過程があって変化をしている材料なのです。
made fromの材料は、その過程でmade ofの材料よりも多くのエネルギーを使います。
極端な話、木は、切り出したままでも柱にも梁にも使えますが、石灰石や鉄鉱石はそのままでは何にも使えません。
そういう事も考えると、木造と言うものは、そもそも省エネな建物なんです。
もっと、省エネな住宅にしたい。
木造住宅一筋ですから、今更他の構造の住宅を作る気はないですが、木造でもっと省エネには出来ないかと。
例えば、外壁材。
現在は窯業系サイディングが、花盛りで多くの住宅で採用されています。
窯業系サイディングはセメント製品です。
オートクレープという高圧、高温、高湿の釜で養生する事で強固に結晶化させて薄くても丈夫な板にしています。
それでも、再塗装やシール部分のサイクルは10年程度です。
最近は、メーカーでももっと商品寿命の長いものを作っていますが、シール部分が問題になる事が多いですね。
こちらも長寿命のものがあるのですが、従来の物で施工されてしまったら折角外壁材は長寿命のものなのに、シールの寿命でメンテナンスのサイクルが決まってしまいます。
もし、木の板で外壁を作ったらより省エネになるに決まっています。
耐久年数も(外壁としての性能を保持しているという意味で)十分にありますし、材料がないなんて事はありませんし、交換するコストも抑えられるでしょう。
あ、外壁としての性能をうんたらって、コロニアルの再塗装をKMEWが推奨しない理由と一緒ですね。
メーカーとしては永らく再塗装は必要ないという立場なのですよ、塗装が剥がれても屋根材としての性能は劣化しないという理由で。
現在はどういう考えか分かりませんが、数年前は『再塗装はしなくても大丈夫です。それでも再塗装したいというご要望が多い為、弊社でも再塗装用の塗料を用意しました』というスタンスになったんだと思われる記述がありました。
それ以前は塗料の用意も、推奨する塗料メーカーの塗料も無かったんです。
私は、コロニアルの塗装が剥げると、コケが生えて、味があるとかそういうレベルではない、ただただ『みすぼらしい』と思うので、メーカーの考えを伝えた上で、やはり再塗装をお薦めしていました。
『見た目も性能の内だ』という事で。
それなのに、似たようなケースで味があると言って、表面の変化を肯定するという立場になった事は少し居心地の悪い思いですが、木材は、削れば綺麗ですが変化していくのが当たり前の材料です。
最初の状態が、その材料の本来の姿であるわけではないのです。
木は、変化・変色して初めて本来の姿になるという材料なのだと考えています。
それが、工業製品が台頭して表面の変化がない事が当たり前になってしまって、変化する事が許せなくなってしまった、そう感じています。
これも、made ofの材料と、made fromの材料の違いなのでしょう。
はい、戻ります。
例えば、内装材。
床も壁も天井も、全部無垢の板にしてしまえば。
それも国産材を積極利用したい。
無垢の木材は、再加工していろいろなところに使いまわす事ができて、捨てる部分を減らす事が出来ます。
この辺は、made ofな材料の強みです。
例えば、床に使った材料が余ったので、収納の棚とか背板とか、壁のアクセントに使うとか。
また、加工の際、出てくるおがくずや木っ端も単純に燃やして処分するだけだは無く、弊社では地域の方に無料で提供しています。
木っ端はDIYや燃料として、おがくずは畑と土と混ぜたり、肥料と混ぜたりして使うそうです。
そういえば、先日、竹に浸食された耕作放棄の山で、白子タケノコ(現代農業のHPに記事があります)というおいしいタケノコを栽培している方の話がTVで紹介されていた。
不要な竹を伐採してチップにし、その場に敷均しすことで、地上に出る前のタケノコを大きく育てる事が出来るという話。
1年目は竹チップと共に窒素を添加していたものが、3年目ともなると竹チップの中にカブトムシの幼虫がいて耕し、糞を出して窒素を供給するようになり、自然に循環するような環境になってきているといいます。
それとこれとは違うかもしれませんが、土と混ぜ合わせれば、良い土壌になるのでしょうね。
昨年度は神社の加工で、本当に大量のおがくずが出ましたが全て焼却処分場に持ち込むことなく、地域の方々に引き取っていただきました。
因みに、弊社では注入材を使う事はとても稀ですし、使っても小さな増築等の土台暗いですので、おがくずも多く出ませんし、混入しないようにしています。
添加物不使用(という事になると思います)のおがくずですので安心して畑に入れる事が出来ると思います。
さて、続きです。
シート貼りの造作材では、そういう訳にはいきません。
シート材の枠とか、床(突板も含む)とか。
築年数が進むと、浴室の出入口とか、窓枠の下の方とか端の方で浮いて剥がれてしまったり、床材も直射日光が良く当たる南側で表面があれて、剥がれてしまったり。
見掛ると残念な気持ちになってしまうのです。
これを直すとなると、枠ごて交換するか、カバー工法に頼る事になります。
床に至っては、上に重ねるか、リペア職人にお願いする事も出来ますが費用がややかかります。
一方木材であれば、腐れが出ていなければ表面を研磨して再塗装で処置する事が出来ます。
木材は耐火、防火性能の兼ね合いで採用できない場合もありますが、採用できる部分には積極的に採用したいものです。