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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

小松原神社。

近所の神社の改修工事を行っています。

天井を落とすとホコリにまみれ、瓦を降ろすと土埃にまみれ。

思っていた程、野地【のじ・・屋根下地】も痛みが少ないですが、鼻先の鼻貫【はなぬき】は傷みが進んでいまして、交換を考える部分も多く見受けられます。

取敢えずは基礎を作り直して、現状よりも、30cm持ち上げる作業へ向けての下準備です。
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造作浴室の。

先日から、浴室のリフォーム工事を行っています。
もともとは、床と床から天井までの壁をタイル貼で仕上げ、天井は塩ビのバスリブでした。

 2畳(1坪)の脱衣室に入ると、正面は窓。
窓の下の左側に洗面台、右に洗濯機、左側は壁で右側の手前に浴室への入り口のドアがあります。
2畳(1坪)浴室に入ると、正面と右側が壁で、左側の奥にステンレスの浴槽があり、左側の壁に窓があります。
正面の壁の向こう側が勝手口の土間で、右側の壁の向こう側が廊下です。

 浴室内は、多少のヒビはあるものの気になるような感じは無いのですが、浴室に隣接する廊下と脱衣室ではシロアリが発生している痕跡が見られました。
脱衣室の床にはシロアリの被害が見られました。
脱衣室と浴室に隣接する廊下では、床全体が沈むような状況で、根太(【ねだ】床板を受ける角材で断面が36x42~45x45位。床板に直交方向に取付ます。)の被害、また根太掛(【ねだがけ】根太を受ける部材で、特に部屋の外周の柱や間柱、土台に取り付ける。断面が30x105位。床板と同じ方向に取付ます。)までの被害を疑いました。

 調査の段階で、腰の高さまではコンクリートブロックあるいはRC造の高基礎になっている事は分かりました。
それなのに、コンクリートブロックの反対側にシロアリの被害が発生しているというのは、一体どういうことなのだろうかと。

 通常、浴室廻りの高基礎は出入口を除き連続させる為、シロアリの被害を受けるとしたら出入口の周りに集中するのですが、それ以外の部分で被害が出るという事は何かしらの問題があるはずです。

 廊下には勝手口があり、屋内に玄関の様に土間があります。
土間は浴室に隣接しています。
勝手口の上り框廻り?

 そんな事を考えながら浴室の解体を進めていくと、浴室正面と右側の壁の角の部分の高基礎が切れていて柱が、基礎まで下がっていました。


これだ。

廊下の被害は、これのせいだ。

どういった意図でこの柱を基礎まで伸ばしたのかは分かりませんが、恐らく廊下側では出隅の柱になり、壁下地になる胴縁を受ける為に、そうしたのだろうと考えられます。
しかし、腰上のタイル部分は防水紙を施工する事で壁の内部への湿気の侵入を防ぐことは出来ますが、コンクリートブロックには特に何もしませんから、タイル目地周辺から水は染み込みますので、こういった部分に木材を置くのは腐ってしまっても仕方がないと思います。

 また、コンクリートブロックの間に目地を取っていない部分がありました。
これもまた駄目な施工です。
通常は1cmの目地を設けモルタルを詰めますが、目地を取らない事で浴室内の湿気が反対側へそのまま抜けてしまう危険性があります。
そして、この現場ではその通りとなりました。

 基礎のすぐ上の段コンクリートブロックは、浴室内では床タイルの下になり、廊下側では根太掛の高さとなっていますので、湿気により根太掛けは腐り、シロアリが浴室側から直接根太掛けにアクセスしていました。

 作り直す際には、ユニットバスにしたのでその心配は少ないのですが、念のため根太掛ではなく大引(【おおびき】根太を受ける材料。断面は90x90が多い。)にしてコンクリートブロックより3cm程度離して施工しました。
ホウ酸塩による防蟻処理も行いました。

 また、脱衣室の床については浴室出入口の両側の柱が、高基礎の上で止まらず、基礎の上まで下がっていましたのでここから侵入したようです。
それでもここの柱についてはステンレスで保護されていたので、柱の被害は大したものではありませんでしたが、それは樹種の問題だったようで柱を伝い脱衣室の根太の被害は甚大でした。

 脱衣室も高基礎が採用されていたので、コンクリートブロックに根太掛は取り付けずに大引として施工しました。
大引の端部と、際根太(【きわねだ】根太の中でも部屋の端っこに施工するものを特にこう呼ぶ)もコンクリートブロックから離しておきました。


 高基礎にするようになって(といっても私が大工を始める以前に高基礎になっていましたが)、造作浴室の土台や柱の腐朽被害は少なくなりました。
しかしながら、土に接したり、近づけて木材を配置するような安易な施工によって、シロアリの被害というのは少なくありません。
少しの工夫で被害を小さく出来ると思うのですが、当時はそんな事は考えなかったのでしょう。


 現在はすっかりユニットバスの採用が当たり前になっていますが、お陰でシロアリ被害や躯体の腐朽被害は激減しています。
昔ながらのタイルの造作浴室が良いとお客様もいらっしゃいます。
タイルの良さは経年変化の少ないことが上げられますが、室内の寒さや、一方でメンテナンスの難しさがあります。
ユニットバスの良さは、デザイン性と最新の快適機能と躯体への影響の少なさですが、一方で経年変化による艶が退けたり、退色したりといった表面の劣化が問題になってきます。
水栓などもデザインが良い反面、交換する際に対応する器具が限定されて元のイメージとは大きく異なってしまうという事もあるかもしれません。

 ユニットバスの内装は、タイルの様にゴシゴシとこする事は傷つける事になりますので、できません。
濃い色の内装の場合、鴻巣市周辺の上水はカルキが多く含まれるようで、白くこびりついて取れなくなってしまう事が良くあります。
明るい色にしておくことが良いかと思います。

コロナウイルス。

現在、コロナウイルスの影響で機械ものがメーカーから出荷されていません。
先日の食洗機も、交換する予定ですが本体が手に入らずに待機しています。
早く、収束してもらいたいところですが、この混乱は終息後もしばらく続くのでしょう。

経年劣化による設備の不具合。

住宅設備は時間と共に故障してしまう事は、ほぼ避けられません。

 先日、2006年にリフォーム工事を行わせていただいたお客さまから連絡をいただきました。

『ビルトイン食器洗い乾燥機(以下、『食洗機』)の表示が点滅して動かなくなった』

という内容でした。

 クリナップのクリンレディを採用したお宅です。

急いでお伺いすると、確かに表示が点滅しています。
取扱説明書によると『機内で漏水』という事で『排水ポンプが作動する。止水栓を閉めて電源を抜く』という指示がありましたのでその通りにしました。

 クリナップはシステムの端っこに食洗機があり、食洗機の下は引出しと跳ね上げ扉が付いています。
引出しを外すと、木製のキャビネットの表面がふやけています。
しかし、表面に水があるような感じではありません。
食洗機本体の周辺や、後方の開口部分を触ってみますが水があるようには感じません。

 おかしいなと思いつつ、隣のシンクキャビネットの引き出しも外してみると、こちらもキャビネットがふやけています。
どうやらこちらから漏水を起こしているようだと、良く調べてみるとシャワー水栓のホースの一番下の所に水滴が付いていました。

 水滴をふき取り様子を見ますが、水滴は出てきません。
そこで水を出して見ると・・、ポタポタと水が垂れてきました。
シャワー水栓のホースに穴が開いたのでしょう。

 食洗機の故障のお陰でもっと深刻な不具合を発見できました。
その後、食洗機はメーカーに点検してもらいましたが、大切な部品が損傷し漏水している為、交換する事となりました。


 シャワー水栓のホースは、一見メタルの蛇腹ホースで丈夫そうに見えますが、実はあのメタルの中に薄い肉厚の樹脂製のホースが入っています。
このホースが使っているうちに、ねじれたりして端部の金属部品との接続部分で破断したりするのです。

 たまにシンクキャビネットの中をのぞいてみてください。
ホースの下には、ホースの外側に付いた水滴を受ける受け皿がありますが、最近の商品には無い物もあります。
不具合が発生した場合には、直にキャビネット内に落ちますので気を付けましょう。


 また、こういったケースを考えると、キャビネットの材質は木質ではなくてステンレスかなと思うのです。
大抵の木質系のキャビネットは、パーティクルボードの様な心材を使っており、ふやけてしまった場合、膨れてしまって元に戻りませんので。

 現在、クリナップのクリンレディは無くなっていて、後継モデルはSTEDIAですが、これは後期のクリンレディが採用したステンレスキャビネットで出来ていますので、お薦めしています。

空中に続く道。

2004年に弊社で新築工事をさせていただいたお客様のお宅での外装塗替え工事を行っています。

その打合せで今年の1月にお伺いすると、建物周辺に気になるものが埋まっていました。
塩ビ製の直径22cm程度の物が、建物に周りに1.2~2m間隔に設置してあります。

これは、害虫駆除業者が設置をしていくベイトシステムというものです。

お話をお伺いすると、それ以前に他に導入したお客様と契約内容が違う事が気になり調べてみました。

それ以前、お話をお伺いしたお客様は建物周囲に塩ビの円筒系のボックスを設置し、駆除会社の人間が定期的に点検に訪れシロアリの存在を確認したら必要な対応を行い、費用は毎月発生しリース契約だったと記憶しています。

今回のお客様のケースは、設置工事費用のみでその後の定期的な点検については無いそうです。
お客様自身が定期的にボックス内部を点検して、被害に遭っていたら他の場所の駆除薬と入れ替えるというような事をおっしゃっていました。

私は、前者の方法のベイトシステムしか知らなかったのですが、調べてみると『アメリカ式ベイトシステム』という(そもそもベイトシステムはアメリカ発祥だったとおもっていました)表現の物が今回のお客様が採用された方法でした。
この方法は設置したボックス周辺の駆除を無差別に行うもので、建物に向かっていようがなかろうが関係なしという内容の物のようです。

シロアリは樹木や生物の死骸など、他の生物では分解できないものを分解する役割を担う存在で、簡単に駆除をしてはいけない存在だと思っていますので、今回のより凶暴な駆除方式はお薦めしません。

今回、このシステムを導入したのは、屋外にある衝立や地面に刺した木杭がシロアリの被害にあったからだそうです。

 お客様が持っていた業者が提出した調査資料にある写真を見ると、とても興味深い物が映っていました。
それはコンクリート土間の上にある巨大な蟻道でした。


 これは行き先のないシロアリが空中に作る蟻道です。
この写真について業者から説明がありましたか?と確認すると、その写真自体初めて見たようで説明は聞いていないとおっしゃいました。

こんな立派なものは見たことが無かったので、今回お願いして床下に潜ってみました。
このお宅はベタ基礎を採用していますので、土間の真ん中に突然シロアリが湧き出すという事は考えられません。
考えられるとしたらコンクリートに、地面へ続く穴が開いている事ですが、同時に蟻道の材料となるものが(木材)が無ければ、このような立派な蟻道を作る事はありえません。

昔よく聞いた駆除業者の噂、『シロアリを持ち込む』という手口か?実際にその現場を見たことはないあくまでも噂ですが、今回その噂が本当になるのかもと少し興奮したかもしれません。

 いざ潜った直観的な感想は、シロアリが発生するような湿気などは感じられない良く乾いた床下でした。
トイレやユニットバスの下も同様に良く乾燥しています。
予め写真からアタリを付けていた場所には何もありませんでしたので、もう一度写真を確認すると、写真の場所は特定できて何かが存在していたらしい痕跡は見られましたが、巨大な蟻道は撤去されてしまっていました。

痕跡は、土間コンクリートにあいた扇子の紙の部分のような扇形の穴でした。

『!』

この形は見たことがあり、当時の基礎工事業者の施工方法が思い出されました。
確かにここから侵入はするかもしれません。
という事は、他に蟻道が存在している事は十分に考えられます。

このお宅は基礎の強度を確保する関係から、全体を3つのブロックに分けてそれぞれに点検口を設置してあります。
他のブロックに潜ってみると、2ヵ所目には何もなく、3カ所目の一番広いブロックにありました。



少し小ぶりですが、空中に延びる蟻道が。
芸術作品だなと思いながら、崩していきますと、



中央に周りのコンクリートとは質感が異なる場所があるのが分かります。
これを突いてみると、



穴が開きました。



コンクリートの穴の左側面に何か食べ残されたものがあります。
この残されたものから、この穴に何があったのかが分かります。

これ、『竹』です。

土間コンクリートの厚みとレベルを確保する為の目印に使ったものです。
竹は腐りづらいので採用していたのです。
まさかシロアリの被害に遭うとは思ってもいませんでした。

 この竹は防湿シートを貫き、砕石に打ち込まれていますので、土の中にいたシロアリが、この竹が腐朽する臭いに誘われて、この竹を伝って土間コンクリートを超えて侵入してきたのでしょう。
しかし、その先に餌となるものが無く、空気は乾燥し腐朽していそうな木材は無く、コンクリートは冷たく、空中に蟻道を伸ばしてみるもそれ以上の進行を断念したという所です。

同様な蟻道は複数個所で発見されましたが、いずれも基礎の立ち上がりから離れている事と、床下は十分に乾燥していましたから基礎内部からの建物への被害は認められませんでした。
また、存在した蟻道は、建物の中央付近に集中していました。

 この土地は比較的シロアリが多かったのかもしれません。
もし、建物にくっつけて材木を置いてしまったり、花壇を作ったりしていたら建物に被害が及ぶ可能性は大きいので、そういった事はありませんでしたがくれぐれも今後も行わないように伝えておきました。

 今回は施工上の問題でシロアリの侵入を許しましたが、実被害は発生しなかったことは幸いでした。
これが床断熱ではなく基礎断熱としたら、大変な事になっていたでしょう。
(*現在の基礎工事では、こういった竹串などは使用せずレーザーレベルにより高さを測定していますので、土間コンクリートを貫く部材は配管材を除けばありません。)

 防蟻処理と予防(恐らくホウ酸塩の散布)行われているようですので、今回はこのままという事になりました。

 シロアリは生き物ですから、その生態を知れば安全かそうでないかを判断できます。
シロアリにも大切な役割がありますから、過剰に駆除する事には反対です。
兎に角、侵入させない事がお互いの為なのだと思っています。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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