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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

軒天の換気口。

軒天【のきてん】。
下から見上げて見える、屋根の軒先の裏の部分に張られた天井材。

 鴻巣市やその周辺の行政区の市街化区域内は、防火地域に指定されていない地域でも、法23条区域という延焼の恐れがある範囲について防火構造の外壁や、不燃材で葺いた屋根を要求される区域です。
軒天は、対象外なので木板を張上げても問題はありません。

 今回、支給された材料は赤松の羽目板【はめいた】。

 軒裏の換気口はどうするか。

 軒天は、ケイカル板と呼ばれる不燃材の5~6mm厚さの材料を使う場合、換気口としてケイカル板の有孔板を張る事が多いのですが、まぁ、この有孔板も有効開口率は6%とか言いますが、実際の所、換気は期待するほど出来ないとかいう方もいらっしゃいます。
また、10年位経過した後に訪れる、外装の再塗装の際、軒天も塗るのですが、この時に穴に塗料が入り込むので穴が小さくなったり、塞がったりしてしまったりする事があります。
そう考えると、有孔板はよろしくないなとは考えています。

 今回は羽目板ですが、羽目板にケイカル板同様に小さい穴を沢山あけるという事も、一瞬考えましたが、そういえば、以前合板にそんな事をしてひどい目に遭った事を思い出し、踏みとどまりました。
小さい穴は面倒だし、きれいに上がらないだろう。
かと言って、穴を大きくすると今度は防虫網を取り付ける事を考えないといけません。
面倒だなと思ったなら、市販されている軒天換気口を採用するしかありません。

 昔の換気口というと、150mmx300mm位の和風な感じの物しか選択肢がありませんでしたが、最近は軒の出が小さい物件も多い事もあってか、細長いものが良く採用されているようです。

 今回は、70mmx900mmというサイズの後付の物が支給されました。

 正直、このタイプの換気口を有孔板がよろしく無さそうだと分かっていても、なかなか採用してこなかったのは、屋外の樹脂製品は劣化しても脆くなってしまうからです。
外装の塗替えの時や、リフォームで外そうとして壊してしまい、更に同じ物、近い大きさのものが見つからないという苦い経験がトラウマになっているとも言えます。
まぁ、その頃のものは硬い物だったので余計に割れやすくなっていたのだと思います。
外さなければ壊す事も無いのですけども。


 さて、軒裏換気口は、小屋裏内部の換気を行う為に必要な部材です。
屋根形状によっては別に無くても良いのですが、軒天が張ってあるタイプであればほぼ付いているでしょう。
小屋裏換気にも規定があって、給気口と排気口の必要面積が決められています。
建築確認申請や、瑕疵保険の手続きで計算式を求められることは無いですが、瑕疵保険の仕様書には記述されていますので、計算して配置を決定します。
この規定が出来たのはそれ程昔ではないのです。
それまでは、『換気口を付ける』という規定があっただけで、必要量までは言及されていなかったのですが、・・いつだったでしょうか。
 そんな事は建築業界には結構あって、例えば、建築基準法では、筋かいなどの耐力壁の配置も以前は『バランスよく』と書かれていただけで、具体的な方法は示されていなかったので、現場で邪魔になると別の所へ移動したりしていましたが、現在は1/4法という方法で規定されています。
 前述の23条区域に関しては、延焼の恐れのある部分は防火構造が求められていましたが、確認申請書に23条区域と記述する様になったのは、確認申請を民間で行うようになってからです。

 小屋裏換気がなぜ必要かと言うと、上手く小屋裏換気が行われない為に、野地が腐ってしまうなんて事が起きている・・筈です。
そんな案件を実際に扱った事がなく、記事で得た知識と、想像の域を出ないのですが。

 昔の隙間だらけの住宅は軒裏換気口なんてなくてもどうにか小屋裏の換気が行われましたが、中途半端に古い建物。
例えば、野地に合板が採用されて(杉の野地板よりも隙間が少ない。透湿抵抗も高い)、外壁は直貼りの窯業系サイディング(外観的な時期的な特徴)で、破風板や鼻隠し板が窯業系で、平板スレート葺きで、更に軒の出が殆んどないというものだと、隙間がかなり減っている(軒天と外壁、破風板・鼻隠し板との取り合いでコーキングが打たれている等)のに換気口を付ける軒天が無く、この頃の建物はまだ棟換気は一般的ではなかったですから、まず、小屋裏換気が十分に行われているなんて事は考えづらいのです。

 小屋裏換気が必要なのは、小屋裏の乾燥状態を保つためですが、水蒸気(湿気)はどこから来るのでしょうか。

 気密層が形成されていない住宅では、室内から天井を通り抜けて暖かな空気と共に水蒸気(人の呼気、料理、ファンヒーター、お風呂等々)が小屋裏に入り込み、冷たい野地裏に触れて野地裏の表面で結露し、野地合板が腐っていくのです。
野地の腐りは、雨漏りも疑われますが、こういうケースも十分に考えられます。

 太陽光温水パネルや、今ですと太陽光発電パネルが上がっていると、その下の屋根は他の何も乗っていない屋根よりも冷えていますから、より結露が起こりやすい環境になっていますので、太陽光発電パネルの採用が義務付けされそうな事を考えると、適正に設計を行い、施工を行わないといけません。

 高断熱高気密住宅ですと、気密処理をきっちり行いますので、室内から小屋裏へ水蒸気が侵入する量は微々たるものなので、小屋裏換気は必要ない!・・という訳ではありません。
あくまでも、気密処理が行われていなかったり、適正でない場合よりもはるかに安心ですが、現在の住宅は、外壁に通気工法が採用される事が多く、壁の通気層と小屋裏が繋がっている場合がほとんどです。
こういう場合、規定されている小屋裏換気口の計算を満たせば安心とはいいがたく(壁の中の換気もする訳ですから)、余裕のある設計が必要となります。
具体的な規定はありませんが、必要換気量が増えていて、給気口が増えているので、排気口である棟換気を増やす設計で良いと考えています。
理想は、棟全部、棟換気かなと思います。
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袋入りGWの施工。


現在、材料支給の平家の新築現場で作業をしています。
まだ、軒天の施工が終わっていないのですが、今日は雪が降っているので屋内の作業をしていました。

壁のGWの施工です。

支給された断熱材はAGCのアクリアネクスト。
袋入りです。
国が行っている断熱施工の講習会で説明される袋入りGWは、短辺側にステープルで留めつける為の耳を作る為に、フィルムを30mm残してGWを切り取るものですから、ゴミがとても出ます。
また、室内側のフィルムは今回防湿フィルムだけでなく、気密シートも兼ねるので、途中、下地のないところで繋ぐ事は出来ません。

裸のGWを熱望したのですが、予算の都合でコレが届きました。

最初は講習会の説明通りの施工をしましたが、入隅では受け木を施工してあるのでGWに切り込みを入れたり、コンセントボックスの所でも欠き取ったりする為、フィルムを剥がさなきゃならない箇所が殆ど。

思い通りに施工ができずとてもイライラします。
イライラしてもきちんと充填出来れば良いのですが、ほぼ出来ません。
そこで、

この袋入りGWを

こんなゴムコーティングされた手袋を使って、フィルムを剥がします。

フィルムとGWは接着剤でくっついているので、フィルムにくっついてきます。
このフィルムにくっついてきたGWを

手袋でこそぎ落とします。
これを繰り返すと

2枚におろせます。
フィルムを剥がしたGWの表面は荒れてしまっているので、裏返して綺麗な方を屋内側にします。
入隅など受け材がある所は、カッターで切り込みを入れて受け木の分だけ取り除いて壁に充填します。

 GWは、途中で継いでも問題がないとされていますので、途中で継いでいます。

最後に剥がしたフィルムを張り付けた完了です。
とても手間がかかりますが、イライラはしません。

 しかし、この方法だと剥がす手間はもちろん、防湿フィルムの幅が455ピッチで留めたからステープルも増えて、フィルムの穴も多くなってしまいます。

 やっぱり、裸のGWと別施工の防湿フィルムが効率的です。


スチール物置の床。

イナバとかタクボとかヨドとか。
スチール物置の組み立て設置も行います。
本体価格はホームセンター同様の定価の70%だったりします。
小さい工務店の割には頑張った価格設定だと思います。

 スチール物置には、2種類の床タイプがありまして、一つは床なしで現場でコンクリート土間を打設するタイプ。
出入りに段差がなく、汚れたものを直接収納するのに向いています。
もう一つが床があるタイプ。
スチールの床材を敷き詰めるものです。

 今回はこの床があるタイプのお話。

 スチール物置の床ありのタイプでも奥行きが小さく、中に入らないタイプのものは良いのですが、大なもので中に入るものだと、床が何となく心配です、へこむのじゃないかと。
そこで今回は床の上に合板12mm厚を敷き詰め、ピアスビスという先が鉄鋼錐になっているもので留めつけました。

これで重いものを乗せるのにも、気を使わなくて済みます。

キッチンのレンジフード。

システムキッチンのレンジフード。
すっかりシロッコファンタイプが主流になりました。
お手入れが楽なものが選ばれ続けている結果です。

 台所の換気扇の主流派というと、かつてはプロペラファンでした。
換気風量は圧倒的に大きいですが、排気圧力が小さいので強い風が換気扇が取り付いている外壁に吹きつけると、上手く排気できなかったりします。
そもそも、お手入れが大変です。
プロペラファンはフードの中についていて、お掃除するには椅子に乗ったりしてプロペラを外します。
フードの中も油だらけなのでそちらも掃除・・多分していたのでしょう。

 シロッコファンは換気量はプロペラファンに劣るものの排気圧が高いので、必ずしも外壁面に取付けなくても排気が出来ます。
マンションなどは外壁面が少ないので、殆んどがこれになります。
かつては、そのファンのお手入れが大変だという事が問題でした。
円筒状のファンは、無数にある羽を掃除するのに手を切ったりする事もあったと思います。
そういったお手入れのし難さが戸建て住宅で普及する為の懸念の一つでしたが、排気圧が高く設置場所がある程度自由になるという事から、ファン自体の設置場所を高いところから目の高さに下してきたのが、恐らく現在シロッコファンが主流になるきっかけになったのでしょう。
椅子に乗らずにファンを取り外せるというタイプです。
また、同時にファンが直接見えない整流版を採用したのもこの事からです。
整流版を採用する事でフード内部の汚れを減らす事が出来ましたし、換気量が少ないシロッコファンでも効果的に排気が出来るようになりました。

 しかし、ファンが低い位置にあると見た目的にイマイチと思われたのかもしれません。
再びファンの設置高さは、上昇しましたが、横を向いていたファンを今度は下を向きました。
これによってフード内部の掃除をする部分が劇的に減ったと言えます。
整流版を外して、小さなフィルターを外すとそこにファンがあり、下方向に外す事が出来ました。
現在のレンジフードはほぼこの形でしょう。

 その後、フィルターは網状からリーフ状や、板状になっていきました。
更にフィルターやファンを、温水をセットする手間はありますが自動で洗ってくれるモデルが出てきました。
整流版のお手入れはその都度必要ですが、フィルターとファンのお掃除は2カ月おきに、お湯をセットする手間だけで10年いけます。
クリナップの売りの一つである『洗エール』というレンジフードです。

そして現在は、ファンの掃除すら必要のないモデルが販売されています。
ファンの手前に回転する網目状のディスクを置き、ここで油の90%を取り除く仕組みです。
ファン自体は汚れない訳ではないのですが、10年間のお手入れは整流版をその都度、ディスクと、ディスクによって取り除かれた油を受けるオイルトガードを3カ月毎で3点。
リンナイが販売している『OGR』というレンジフードです。

 システムキッチンを販売する多くのメーカーが取り扱うレンジフードの多くは、富士工業という会社が製作しています。
少し前までは富士工業製の製品も手に入れられましたが、現在はクリナップとかリンナイとかのブランドにOEMでの供給しかしていないようです。

 さて、洗エールやOGRの様に、お掃除の手間を減らしてくれるレンジフードは共通して『10年』という期限が設定されています。
これは、レンジフードの設計耐久年数が10年だからなんですね。
設計上は10年間が寿命なのだから、注釈は必要だけども言い切って良いだろうってことです。

 しかし、洗エールとOGR、カタログから読み取れる10年と言う期限は差があります。
洗エールはその洗浄機能で、フード内部の汚れを80%を洗浄する事が出来るようです。
残りの20%はファンフィルターやその周辺に残るという事になります。
月2回の洗浄という条件も中運転で1日5時間と言うもので、少なすぎる訳でもなく、むしろ多すぎるんじゃないかなって個人的には感じます。
しかし、常時換気モードで24時間365日稼働させると洗浄は月2回となり、ファンフィルターは約半分(5年)の寿命となります。
製品寿命は10年ですが、ファンフィルターを交換(メーカー対応で有償)すれば洗浄機能はその後も利用出来ます。
交換したい時に部品が残されていれば良いですが。

 一方、OGRは90%の除去率と洗エールよりも高効率です。
こちらの10年は、同社の毎年お掃除をするとした普及製品の1年間の汚れとOGRの10年間の汚れがほぼ同じという理由で10年間ファンのお手入れ不要としています。
普及品でもお掃除しないで5年はつかっているという方は、50年間お手入れ不要と言えない事も無いかもしれませんw(お手入れは必要です。火災の原因になる恐れがあります。)。

 いずれにしてもファンやフィルターの汚れを完全に防ぐというのは無理ですが、かつて椅子にのってプロベラファンを外していた頃に比べたら、レンジフードのお掃除は格段にラクチンになっています。

 年末の大掃除の時期は過ぎましたが、今年の年末は憂鬱なレンジフードのお掃除から解放されてみませんか?
と、普段ではなかなか言わないセールストークを入れて、今回の記事は終わります。

大谷石。

宇都宮特産の石材に、大谷石【おおやいし】と言うものがあります。
かつては、旧帝国ホテルの内装にかのフランク・ロイド・ライトが惚れこんで採用したことで有名です。

 今から50年くらい前でしょうか。
鴻巣市内でその頃造成された分譲地の擁壁に大谷石が多く採用されていたようです。
軽くて加工性が良い⇒大きい材料で省力化と言う事でしょうか。
また、塀や門柱の材料として採用されていたりします。

 知人のお宅には大谷石つくりの蔵もあります。

 大谷石は、耐火性能が高く、独特の風合いがあって、柔らかく加工性が高い石材ですが、屋外使用では風化が進みやすいようです。

 お客様のお宅の門柱と塀が大谷石で作られていますが、その表面は剥がれ落ちてしまっています。
ビシャン仕上げが施してあることも関係しているのかもしれません。
凸凹したハンマーのような道具で表面に細かな凹凸を付けていく方法は、内部の浅い範囲にも当然影響して、ヒビは発生してもろくなっているでしょうから。

 このお宅のある分譲地内には、当時の流行なのか同様に大谷石で塀のお宅が多く見られますが、そのどれもが多かれ少なかれ同様の様相を呈しています。

 柔らかく加工性がいいという事は、密度が低いという事で、更に耐火性能が高いというのも同様の事が言えると言えます。
風雨に晒されると、深部まで水が浸透して凍結や、何かしらの分解作用が働くのか、酸性雨の影響だったのか、兎に角内部での破壊が進むのだろうと思います。

 この剥がれ落ちた表面を直せないかとお問い合わせをいただく事があります。
思い浮かぶのはモルタルを塗り付けるという事ですが、それが正解とも思えないので出来ないという事をお伝えしています。

どこかで薄く挽いた大谷石を貼りつける方法があると聞いたことがありますが、積み替えるという方法もあるでしょう。

ネットで検索をかけると、なんと県内のさいたま市内に大谷石専門の施工会社があるようです。
サイトの更新は2011年で止まっていますが、検索結果に同社の広告が出てくることから営業はしているようです。
うちのサイトも同じようなものですが。

 御影石のように固くて磨くとツルツルとなる石材も魅力的ですが、表面が荒い大谷石の柔らかな印象もまた魅力的です。
屋内に採用すると、その存在感から空間的な魅力がUP!ですね。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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