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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

省エネキャンペーン2023の事。

大型の新築・既存住宅の省エネキャンペーンが、始まっています。

 今回の内容は、

 ①子育て世代・若年世代の新築住宅取得に100万円。

 ②窓等の断熱リフォーム工事と合わせてバリアフリー等のリフォーム工事に対して200万円。

 ③エネファームや、エコキュート等の高効率給湯器の導入に15万円。


の3本立て。



 今までは、同様の補助金を各省庁がそれぞれバラバラに行っていましたが、今回は窓口が1つに統合されたの手続きが簡単になりました。


 あるリフォーム工事はこっちでは対象じゃないけど、こっちは対象になるよって事が分かりやすくなりました。



 例えば、給湯器。

③の補助金では、潜熱回収型のエコジョーズやエコフィールは対象になっていませんが、実は①の補助金の対象にはなっているのです。


 ①は子育て世代・若年世代の新築取得に目が行きがちですが、リフォーム工事となるとそれ以外の所有者の住宅も対象になります。


 また、①は特定の省エネ工事を行う事が要件になりますが、省エネ設備の導入はその要件に当てはまりますので、他に工事をおこなくても給湯器の交換だけで一つ目の条件は満たすのですが、もう一つ、補助金の額が5万円以上にならなければならないという条件がありますので、他の工事も合わせて行う必要があります。
内窓の設置で言えば、おトイレの高さ30cm程度の引違いの窓(省エネ基準)2カ所で条件を満たします。
 他には、手すりを取り付け(¥5,000-)、廊下と居室の間に段差がある場合に段差解消スロープを取り付け(¥6,000-)と上記の窓1か所で条件を満たすことが出来ます。
そこまで考えていると、必要な工事なのか、補助金をもらうための工事なのか分からなくなってきますね。


 今回は、②の補助金を受けてすべての窓の内窓設置、①の補助金の受けて玄関ドアと床壁天井のZEHレベルの断熱改修でしょうか。


これで最大230万円(一般世帯)の補助金が受けられます。


 床壁天井の断熱改修にもっと補助金が出れば良いですけどね。


しかし、高断熱化には高気密化も必要になってきますし、気密止めの施工も必須です。


 その辺りを知らない業者が単純に断熱材を入れただけ(今は流石にないでしょうが、昔は天井の上に梱包を解かない断熱材を載せてあるだけというのを、大手ハウスメーカー製の住宅で見たことがあります)の施工をしてしまったら、断熱効果は少ないし、躯体内部で結露して腐朽、シロアリ被害にまでつながるかもしれませんから怖いですね。
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住宅のレンジフードの件②。

消防法上での換気フードの取り扱いの事を書くきっかけとなった現場、無事に終わりました。
 なんだかんだと、時間がかかってしまってお客様にはご不便をおかけしてしまいました。
 換気フードは『平型レンジフード』という最近では、新規採用される機会はないだろうタイプの換気扇を採用しました。
というか、プロペラタイプを除くとこれしか設置する事は出来ません。



こんなタイプです。

 さて、設置する条件を確認しますと、
①天井吊下げ
②排気孔は側面の内寸300mm角。
③側面とのクリアランスは出来るだけ0。

 標準で排気は丸ダクトで上方から行われます。
が、大抵の平型レンジフードは、後方及び側方からの排気にも対応していますので、今回は向かって右方向に排気します。

 かつて平型レンジフードでは、丸ダクトではなくの横長の長方形ダクトの製品があるので、これに対応するためのアダプタがオプションで用意されています。
このアダプタは、位置調整が出来るのと、機器外へのはみ出しが少ないのでこれを採用する事としました。

 平型レンジフードの交換は、2回目ですが1回目は後方排気の角ダクトでしたので、棚下取付でしたがスムーズでした。

 今回は、棚下取付の側方排気。
 アダプタを取り付けると側方に出っ張りが発生しますが、棚下の場合、棚に取り付けたレールに本体側のレールを引っ掛けます。
 手前から奥へスライドさせて取り付けますから、側方に出っ張りがあると取り付けられないのです。

 しかし、どうにかしなければなりません。

図面を見ながら、何度もシュミレーションをしましたが、本体側のレールがどこにつくのかは施工説明書も図面にも特に明記されていないため、実物を見ないと分かりません。


 そんな訳でドキドキしながら、当日を迎えるわけです。


 そして、やはりアダプタを取り付けたままでは設置できないことが確認できた訳です。

 レールも片側だけ後から付けられるかという事も考えましたが、それも出来そうにありません。

 結果、アダプタを先に壁に取り付けて換気扇を設置して接続するという方法をとり、無事に設置できました。


 最近の製品の施工説明書は、比較的分かりやすく出来てますが、この平型レンジフード、特にオプションパーツの説明書は優しくないですし、本体側の説明書はオプションパーツの連携の部分は不親切です。


いくつか開いているレールの穴のどこで固定するのかの表記もなく、間違えて下穴をあけてしまいましたし。

 それでも、角型ダクトのアダプターはイレギュラーにも対応できる出来になっていて良い製品だと思いました。


 平型レンジフードも交換も、余裕で対応できますよ!という事で。

省エネキャンペーンへ登録完了。

令和5年度は、補助金を出す各省庁が連携して『住宅省エネキャンペーン2023』を展開します。
この度、補助金の交付申請業者に登録が完了しましたので、お知らせします。

 新築では、引き続き子育て世帯または若者夫婦世帯に100万円の補助。
再エネ(再生可能エネルギー・・太陽光発電など)分を除き、基準一次エネルギー消費量の20%を削減できる性能の住宅ですから、Q1.0住宅なら問題ありません。

 リフォームでは、先進的窓リノベ事業で、窓リフォームに最大200万円の補助が出ます。
内容は、今まで通りにガラス交換、内窓設置、外窓交換(カバー工法、はつり工法)がラインナップされ、すでに設置されている内窓の交換も補助対象になっています。
ドアは対象外とされています。
ドアというのは屋外からカギがかけられる建具、大半が不透明材料で作られた製品の事を言いますので、玄関ドア、玄関引戸、勝手口の交換などは対象外です。

 こどもエコすまい支援事業もリフォーム工事に補助が出ます。
従来の省エネ設備(トイレ、浴槽、給湯器、水栓、太陽熱、蓄電池)、開口部、断熱改修を行う事が求められます。
 こちらはドアも対象になっていますので、先進的窓リノベ事業で受けられないドアの改修の補助はこちらを申請する事になります。

 給湯器の設置では、エコキュート、ハイブリッド給湯器、エネファームへの新設、または既存機種以上の性能の機種への交換で最高15万円の補助が出ます。
この事業では潜熱回収タイプ(エコジョーズ、エコフィール)は補助対象になりませんが、こどもエコすまいる支援事業では対象となります。

S造の断熱化工事の事。

2月の週末は、工場の断熱化工事を行っていました。
建物はS造ラーメン構造で、外壁面の胴縁は100x50のチャンネル。
外壁はALC37mmでした。

 断熱化工事で考えるのは、熱橋【ねっきょう】(ヒートブリッジ)を減らす事が重要だったりします。
特に、鉄骨は木材に比べて熱伝導率は非常に優れていますから、本当は、胴縁の内側にボード系の断熱材を張り付けたかったのですが、部屋が狭くなるのはNGという事で胴縁内に充填工法で行う事にしました。

 基礎の部分にはフェノールフォーム保温版30mmを貼り付けて、塗装型枠を保護層にしてさらに張り付けました。
また、何度か現場調査させていただいて気付いたのですが、乾燥を緩和させるためにコンクリート土間に水を撒くこともあるそうなので、塗装型枠の下端を土間床から25m離してそこへアルミ形材を入り巾木の様に取り付けました。

使用した断熱材は、高性能グラスウール16k相当の105mmのロールのもの。
現場で切断して、チャンネルの内部にも入るように加工して充填していきます。
そのあと、防湿フィルムを張り付けて石膏ボードで抑えるという内容で行いました。
 その他に窓に内窓を、Low-Eのペアガラスと合わせて設置し、ロンカラードア(ハニカム心材)レベルの出入口の1か所もK4相当のドアにカバー工法で交換しました。

 施工後にサーモグラフィーで見てみますが、やっぱり鉄骨の熱伝導率の高さを実感します。
日が当たっている南面の胴縁は赤く見え、その他の方角の面では青く見えます。
その他の壁の部分は基礎部分も含めてどこも大きくは変化がありませんから、南面では胴縁の方が温かく、その他の面では胴縁の方が冷えている事が分かります。

 冬場に結露しなければ良いな。

 そんなことを考えましたが、工場のような建物なので道路側にはシャッターがありますし、気密性能は今回施工した壁と開口部を除くと期待できませんし、壁際に置かれる棚もオープンなものばかりなので心配はないのかもしれません。

 夏はオーバーヒートが懸念されます。

 気密性の期待できない(外気の流入が多い)建物なので、外部の熱気は侵入してくるでしょうし、湿気も然り。
除湿できれば良いのですが、こういった建物ではどうしてもシャッターを開放する機会も多いので難しいですね。


 4週に渡って断熱化工事を行いましたが、2週目を終わったころから、『前日の熱気が残っている感じがする』(社員談)という感想をいただきました。
4週目は内窓工事がありましたから、翌日からは窓廻りで発生するコールドドラフトが改善して、存分に温かさを感じられるように…なったはずです。


 S造の断熱化工事は充填断熱を施した上に、胴縁の内側に薄くてもボード系の断熱材を張り付ける形で行いたいものです。
ALCの外壁材は、多少の断熱性はありますが胴縁の熱伝導率の高さから、熱橋になることは防ぎづらいので、高性能なボード材で覆ってしまいたいのです。

柱に関しては胴縁が外側を回っているので、室内に露出しても、胴縁との接点だけですし、断熱層の内側に位置するので、それほど熱損失の心配はしなくてもよさそうでした。


住宅のレンジフードの件。

台所の換気扇というと、現在はシロッコファンのタイプが主に清掃性の面で主流になっていると思います。
デザイン的にも有利ですし、排気に圧力がかかるのでプロペラファンの様に外壁に面する場所に限定されずにダクトを使って設置できることで集合住宅では重宝されます。

 戸建て住宅に見てみると、プロペラファンタイプもまだまだ多く採用されています。
新築に限ればやはりシロッコファンがもはや主流なのではないかと思いますが、建売住宅など低コストとなるとプロペラファンの採用も(気密性能はダダ下がりですが)散見されますし、築年数の深い住戸ではプロペラファンが以前使い続けられています。

 プロペラファンもフード(天蓋)の中に納まっているものはまだ新しい方で、それより前になると天蓋がなくてコンロの上の方の壁にプロペラファンが付いているだけだったりします。
換気効率はかなり悪い事でしょうし、室内全体が油などに汚染されてしまう事でしょう。
リフォームに入ると部屋のいたる所が油まみれだったりします。

 かつての流し台というと、シンク台、調理台、ガス台と別々のユニットを並べて、テーブルコンロを使っていました。
このころのユニットは奥行きが55cm。
大抵の場合、流し台の正面につく窓は出窓になっていてそこに鍋釜などを並べて収納の一部としいました。
中にはキッチン自体を45cm程度外にはね出して、更に出窓を付けるという形式のものが存在します。
なぜこんな形式が普及したのかは分かりませんが、一つは排水の施工性なのかもしれません。
また、大抵6帖の台所スペースを確保しその中に流し台を入れると部屋が狭くなるので、45cm程度外にはね出せば、凡そ6帖のスペースになると考えたのかもしれません。
若しくは、45cm部屋を広げると構造材の歩留まりが悪くなったり、屋根の軒先が凸凹になるので付加する感じにしたのかもしれません。

 とにかくそんな台所がよくあるのです。
このはね出すタイプの流し台の場合、換気扇の設置場所がコンロの側面の壁についている場合があります。
上はすぐ屋根で、正面は窓なので換気扇を付ける壁は正面に確保できませんから、側面になるのです。
この部分の天井は180cmの高さですからメンテナンスは楽な高さですが、ちょっとうるさいかもしれません。

 そんな台所の改修の相談をいただいてプランを練っていたのですが、換気扇をどうするかという事に行きつきます。
現在はプロペラファンで直接外気に接するので問題ないのですが、レンジフードとなると消防法で何か規制があったような・・。

 ネットで『レンジフード 消防法 距離』という風に調べるとわんさか出てくるのですが、火とグリスフィルターの距離は80cm以上離すと消防法で規定されていると出てきます。
また、100cm以内と建築基準法て規定されていると出てくるのです。

 システムキッチンの標準の高さが85cmで、今回のお宅ではフードの設置上端が180cmですので、その差95cm。
80cmを引くと15cmしか残りません。

 薄いタイプの換気扇の厚さは20cm程度で、火源からの距離が最大でも75cmとなって消防法違反!
レンジフードは設置不可能、プロペラファンが続投と判断する事に・・・。

 しかしですよ、ネットではそう書いてあるのですけども、消防法を読み解くと分かりますが戸建て住宅にかかる条文は、火災報知機の設置くらいしかないのです。
住宅が制限にかかる部分はありますが、その住宅は『集合住宅』であって、戸建て住宅は規制の対象外とされています。

総務省消防庁のサイトにこんな文章があります。

戸建住宅については、個人の責任において火災予防が図られるべきとの趣旨から、消防法施行令別表第1に計上されておらず、基本的に消防法令の適用対象外との位置づけとなっていましたが、住宅火災による死者低減の観点から、新たに消防法第9条の2の規定が整備され、住宅用火災警報器などの設置義務化が図られております。』

 法律的には今回のように戸建て住宅であれば、火源とグリスフィルターの間を80cm以上確保しなくとも、別に法令違反ににはなりませんと判断できます。
それでも、防災の観点から見たらレンジフードを設置する場合で、今回のような制限がある案件でなければ、消防法に倣って80cm以上の距離を確保した方が無難と思います。

 地域によっては戸建て住宅も消防法令の基準に適合することを要求する場合がありますので、お住いの消防本部等に確認してください。

 あと、よく見かけるレンジフードの金属製のフィルター(これがグリスフィルターですが)にサードパーティから販売されている不織布のフィルターを付けているお宅が多くあり、今回のお宅でもプロペラファンに付けてありました。
戸建て住宅なので法令的に問題はないのですけど、特に火源に近い場合はおすすめは出来ないですね。
燃えそうで怖いです。

 原則的には消防法の基準に則るのが良いですが、どうにもならなくても戸建て住宅は法令適用外と覚えておくと良心の呵責に苛まれなくて済むと思います。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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