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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

住宅のレンジフードの件②。

消防法上での換気フードの取り扱いの事を書くきっかけとなった現場、無事に終わりました。
 なんだかんだと、時間がかかってしまってお客様にはご不便をおかけしてしまいました。
 換気フードは『平型レンジフード』という最近では、新規採用される機会はないだろうタイプの換気扇を採用しました。
というか、プロペラタイプを除くとこれしか設置する事は出来ません。



こんなタイプです。

 さて、設置する条件を確認しますと、
①天井吊下げ
②排気孔は側面の内寸300mm角。
③側面とのクリアランスは出来るだけ0。

 標準で排気は丸ダクトで上方から行われます。
が、大抵の平型レンジフードは、後方及び側方からの排気にも対応していますので、今回は向かって右方向に排気します。

 かつて平型レンジフードでは、丸ダクトではなくの横長の長方形ダクトの製品があるので、これに対応するためのアダプタがオプションで用意されています。
このアダプタは、位置調整が出来るのと、機器外へのはみ出しが少ないのでこれを採用する事としました。

 平型レンジフードの交換は、2回目ですが1回目は後方排気の角ダクトでしたので、棚下取付でしたがスムーズでした。

 今回は、棚下取付の側方排気。
 アダプタを取り付けると側方に出っ張りが発生しますが、棚下の場合、棚に取り付けたレールに本体側のレールを引っ掛けます。
 手前から奥へスライドさせて取り付けますから、側方に出っ張りがあると取り付けられないのです。

 しかし、どうにかしなければなりません。

図面を見ながら、何度もシュミレーションをしましたが、本体側のレールがどこにつくのかは施工説明書も図面にも特に明記されていないため、実物を見ないと分かりません。


 そんな訳でドキドキしながら、当日を迎えるわけです。


 そして、やはりアダプタを取り付けたままでは設置できないことが確認できた訳です。

 レールも片側だけ後から付けられるかという事も考えましたが、それも出来そうにありません。

 結果、アダプタを先に壁に取り付けて換気扇を設置して接続するという方法をとり、無事に設置できました。


 最近の製品の施工説明書は、比較的分かりやすく出来てますが、この平型レンジフード、特にオプションパーツの説明書は優しくないですし、本体側の説明書はオプションパーツの連携の部分は不親切です。


いくつか開いているレールの穴のどこで固定するのかの表記もなく、間違えて下穴をあけてしまいましたし。

 それでも、角型ダクトのアダプターはイレギュラーにも対応できる出来になっていて良い製品だと思いました。


 平型レンジフードも交換も、余裕で対応できますよ!という事で。
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省エネキャンペーンへ登録完了。

令和5年度は、補助金を出す各省庁が連携して『住宅省エネキャンペーン2023』を展開します。
この度、補助金の交付申請業者に登録が完了しましたので、お知らせします。

 新築では、引き続き子育て世帯または若者夫婦世帯に100万円の補助。
再エネ(再生可能エネルギー・・太陽光発電など)分を除き、基準一次エネルギー消費量の20%を削減できる性能の住宅ですから、Q1.0住宅なら問題ありません。

 リフォームでは、先進的窓リノベ事業で、窓リフォームに最大200万円の補助が出ます。
内容は、今まで通りにガラス交換、内窓設置、外窓交換(カバー工法、はつり工法)がラインナップされ、すでに設置されている内窓の交換も補助対象になっています。
ドアは対象外とされています。
ドアというのは屋外からカギがかけられる建具、大半が不透明材料で作られた製品の事を言いますので、玄関ドア、玄関引戸、勝手口の交換などは対象外です。

 こどもエコすまい支援事業もリフォーム工事に補助が出ます。
従来の省エネ設備(トイレ、浴槽、給湯器、水栓、太陽熱、蓄電池)、開口部、断熱改修を行う事が求められます。
 こちらはドアも対象になっていますので、先進的窓リノベ事業で受けられないドアの改修の補助はこちらを申請する事になります。

 給湯器の設置では、エコキュート、ハイブリッド給湯器、エネファームへの新設、または既存機種以上の性能の機種への交換で最高15万円の補助が出ます。
この事業では潜熱回収タイプ(エコジョーズ、エコフィール)は補助対象になりませんが、こどもエコすまいる支援事業では対象となります。

S造の断熱化工事の事。

2月の週末は、工場の断熱化工事を行っていました。
建物はS造ラーメン構造で、外壁面の胴縁は100x50のチャンネル。
外壁はALC37mmでした。

 断熱化工事で考えるのは、熱橋【ねっきょう】(ヒートブリッジ)を減らす事が重要だったりします。
特に、鉄骨は木材に比べて熱伝導率は非常に優れていますから、本当は、胴縁の内側にボード系の断熱材を張り付けたかったのですが、部屋が狭くなるのはNGという事で胴縁内に充填工法で行う事にしました。

 基礎の部分にはフェノールフォーム保温版30mmを貼り付けて、塗装型枠を保護層にしてさらに張り付けました。
また、何度か現場調査させていただいて気付いたのですが、乾燥を緩和させるためにコンクリート土間に水を撒くこともあるそうなので、塗装型枠の下端を土間床から25m離してそこへアルミ形材を入り巾木の様に取り付けました。

使用した断熱材は、高性能グラスウール16k相当の105mmのロールのもの。
現場で切断して、チャンネルの内部にも入るように加工して充填していきます。
そのあと、防湿フィルムを張り付けて石膏ボードで抑えるという内容で行いました。
 その他に窓に内窓を、Low-Eのペアガラスと合わせて設置し、ロンカラードア(ハニカム心材)レベルの出入口の1か所もK4相当のドアにカバー工法で交換しました。

 施工後にサーモグラフィーで見てみますが、やっぱり鉄骨の熱伝導率の高さを実感します。
日が当たっている南面の胴縁は赤く見え、その他の方角の面では青く見えます。
その他の壁の部分は基礎部分も含めてどこも大きくは変化がありませんから、南面では胴縁の方が温かく、その他の面では胴縁の方が冷えている事が分かります。

 冬場に結露しなければ良いな。

 そんなことを考えましたが、工場のような建物なので道路側にはシャッターがありますし、気密性能は今回施工した壁と開口部を除くと期待できませんし、壁際に置かれる棚もオープンなものばかりなので心配はないのかもしれません。

 夏はオーバーヒートが懸念されます。

 気密性の期待できない(外気の流入が多い)建物なので、外部の熱気は侵入してくるでしょうし、湿気も然り。
除湿できれば良いのですが、こういった建物ではどうしてもシャッターを開放する機会も多いので難しいですね。


 4週に渡って断熱化工事を行いましたが、2週目を終わったころから、『前日の熱気が残っている感じがする』(社員談)という感想をいただきました。
4週目は内窓工事がありましたから、翌日からは窓廻りで発生するコールドドラフトが改善して、存分に温かさを感じられるように…なったはずです。


 S造の断熱化工事は充填断熱を施した上に、胴縁の内側に薄くてもボード系の断熱材を張り付ける形で行いたいものです。
ALCの外壁材は、多少の断熱性はありますが胴縁の熱伝導率の高さから、熱橋になることは防ぎづらいので、高性能なボード材で覆ってしまいたいのです。

柱に関しては胴縁が外側を回っているので、室内に露出しても、胴縁との接点だけですし、断熱層の内側に位置するので、それほど熱損失の心配はしなくてもよさそうでした。


住宅のレンジフードの件。

台所の換気扇というと、現在はシロッコファンのタイプが主に清掃性の面で主流になっていると思います。
デザイン的にも有利ですし、排気に圧力がかかるのでプロペラファンの様に外壁に面する場所に限定されずにダクトを使って設置できることで集合住宅では重宝されます。

 戸建て住宅に見てみると、プロペラファンタイプもまだまだ多く採用されています。
新築に限ればやはりシロッコファンがもはや主流なのではないかと思いますが、建売住宅など低コストとなるとプロペラファンの採用も(気密性能はダダ下がりですが)散見されますし、築年数の深い住戸ではプロペラファンが以前使い続けられています。

 プロペラファンもフード(天蓋)の中に納まっているものはまだ新しい方で、それより前になると天蓋がなくてコンロの上の方の壁にプロペラファンが付いているだけだったりします。
換気効率はかなり悪い事でしょうし、室内全体が油などに汚染されてしまう事でしょう。
リフォームに入ると部屋のいたる所が油まみれだったりします。

 かつての流し台というと、シンク台、調理台、ガス台と別々のユニットを並べて、テーブルコンロを使っていました。
このころのユニットは奥行きが55cm。
大抵の場合、流し台の正面につく窓は出窓になっていてそこに鍋釜などを並べて収納の一部としいました。
中にはキッチン自体を45cm程度外にはね出して、更に出窓を付けるという形式のものが存在します。
なぜこんな形式が普及したのかは分かりませんが、一つは排水の施工性なのかもしれません。
また、大抵6帖の台所スペースを確保しその中に流し台を入れると部屋が狭くなるので、45cm程度外にはね出せば、凡そ6帖のスペースになると考えたのかもしれません。
若しくは、45cm部屋を広げると構造材の歩留まりが悪くなったり、屋根の軒先が凸凹になるので付加する感じにしたのかもしれません。

 とにかくそんな台所がよくあるのです。
このはね出すタイプの流し台の場合、換気扇の設置場所がコンロの側面の壁についている場合があります。
上はすぐ屋根で、正面は窓なので換気扇を付ける壁は正面に確保できませんから、側面になるのです。
この部分の天井は180cmの高さですからメンテナンスは楽な高さですが、ちょっとうるさいかもしれません。

 そんな台所の改修の相談をいただいてプランを練っていたのですが、換気扇をどうするかという事に行きつきます。
現在はプロペラファンで直接外気に接するので問題ないのですが、レンジフードとなると消防法で何か規制があったような・・。

 ネットで『レンジフード 消防法 距離』という風に調べるとわんさか出てくるのですが、火とグリスフィルターの距離は80cm以上離すと消防法で規定されていると出てきます。
また、100cm以内と建築基準法て規定されていると出てくるのです。

 システムキッチンの標準の高さが85cmで、今回のお宅ではフードの設置上端が180cmですので、その差95cm。
80cmを引くと15cmしか残りません。

 薄いタイプの換気扇の厚さは20cm程度で、火源からの距離が最大でも75cmとなって消防法違反!
レンジフードは設置不可能、プロペラファンが続投と判断する事に・・・。

 しかしですよ、ネットではそう書いてあるのですけども、消防法を読み解くと分かりますが戸建て住宅にかかる条文は、火災報知機の設置くらいしかないのです。
住宅が制限にかかる部分はありますが、その住宅は『集合住宅』であって、戸建て住宅は規制の対象外とされています。

総務省消防庁のサイトにこんな文章があります。

戸建住宅については、個人の責任において火災予防が図られるべきとの趣旨から、消防法施行令別表第1に計上されておらず、基本的に消防法令の適用対象外との位置づけとなっていましたが、住宅火災による死者低減の観点から、新たに消防法第9条の2の規定が整備され、住宅用火災警報器などの設置義務化が図られております。』

 法律的には今回のように戸建て住宅であれば、火源とグリスフィルターの間を80cm以上確保しなくとも、別に法令違反ににはなりませんと判断できます。
それでも、防災の観点から見たらレンジフードを設置する場合で、今回のような制限がある案件でなければ、消防法に倣って80cm以上の距離を確保した方が無難と思います。

 地域によっては戸建て住宅も消防法令の基準に適合することを要求する場合がありますので、お住いの消防本部等に確認してください。

 あと、よく見かけるレンジフードの金属製のフィルター(これがグリスフィルターですが)にサードパーティから販売されている不織布のフィルターを付けているお宅が多くあり、今回のお宅でもプロペラファンに付けてありました。
戸建て住宅なので法令的に問題はないのですけど、特に火源に近い場合はおすすめは出来ないですね。
燃えそうで怖いです。

 原則的には消防法の基準に則るのが良いですが、どうにもならなくても戸建て住宅は法令適用外と覚えておくと良心の呵責に苛まれなくて済むと思います。

指標の湿度。

湿度は、空気が含むことが出来る水蒸気の量と、実際に含んでいる水蒸気の量の比(%)で表され、正式には相対湿度と言われます。

 1㎥の空気が含むことが出来る水蒸気が10gであれば、湿度50%の時に実際に含んでいる水蒸気の量は5gとなります。

 この実際に含んでいる水蒸気の量5gの事を、(容積)絶対湿度と言い、5g/㎥と表記します。

 空気が含むことが出来る水蒸気の量は、気温によって大きく変化しますので、『相対湿度60%を超えるとカビの発生が危惧される』というのは、気温が抜け落ちているので、気温が何度でも60%以下なら安全だと思ってしまったりして、結構危険なんです。

気温10℃の時に絶対湿度は、5.6g/㎥ですが、気温が25℃の時には絶対湿度は、13.8g/㎥と、2.5倍の水蒸気を含むことが出来るのです。
相対湿度60%ではそれぞれ、2.8g/㎥と8.28g/㎥。
同じ60%でも、気温が低い方が水蒸気の量は少ない。
すなわち、空気は乾いているということが分かるはずです。
また、気温が上がり相対湿度が変わらない場合は、絶対湿度は増えて、空気はより湿っていくのです。


 北海道とか雪国では、一面雪ですから相対湿度は関東地方よりも高い60~70%超えだったりします。
『やっぱり雪があるから、湿度は高くて、空気も湿っているんだな。東京は50%位でカラカラだよ。』
と、思いがちですが、1月の札幌の平均気温は-3.2℃で、相対湿度は69%、絶対湿度は2.7g/㎥。
一方東京の同じく1月の平均気温は5.4℃で、相対湿度は51%、絶対湿度は3.6g/㎥。
相対湿度が70%近い札幌の方が、実は乾燥しているということになるのです。
絶対湿度が同じ場合、気温が高くなると相対湿度は低くなり、気温が低くなると相対湿度は高くなるのです。
 温度変化の幅が広い(1年を通してとか)のに、温度が欠けていて相対湿度だけを指標としている場合は、危険なのでご注意を。


 そんなこともあってか、医療関係ではきちんと、〇〇℃の時、湿度〇〇%と表記するようになっていますし、場合によっては絶対湿度〇〇g/㎥と表記するところもあるようです。
例えば、宮城県医師会では、インフルエンザと湿度の関係を絶対湿度で表していて、7g/㎥以下で流行しやすいとしています。


 絶対湿度で表した方が、すっきりしていてなんとなく水に換算した量がイメージできるので、分かりやすい感じはします。
しかし、絶対湿度は、直接計測することはできません。
一方で、相対湿度は乾湿球で測定することが出来ます。
当然、温度も測定することが出来ます。
このデータ(温度と湿度)の入手のしやすさが関係して、相対湿度の指標がこれまで多く採用されてきたのだと思います。


 さて、いろいろな指標の湿度があると思いますが、それを使うのは、現在の気温と相対湿度の場合に、危険かどうか知りたいという事になるのだと思います。
その時に、『気温〇〇℃の時、湿度〇〇%』という指標では、現在の気温と違う事も多く、危険なのかどうか分かりません。
その点、絶対湿度を指標とすれば、現在の気温と相対湿度からスマホを使って簡単に調べられますから、実用的と言えるかと思います。
今後の指標は、絶対湿度で表されることも多くなっていくと思います。

因みに、絶対湿度には今回説明した1㎥の空気に含んでいる水蒸気の量を表す、容積絶対湿度(g/㎥)ともう一つ、乾燥空気1kgに対する水蒸気の量を表す、重量絶対湿度(g/kg)があります。
基準が体積と重量なので、当然数値が異なりますので、指標を使う場合はどちらなのか、気にかけてみてください。
ま、大抵の場合は、容積絶対湿度です。


以下、余計な事。

 各温度での飽和水蒸気量(相対湿度100%の時の水蒸気の量)を調べて、相対湿度を掛ければ絶対湿度(の近似値)が出ますが、そもそも飽和水蒸気量ってどうやって調べたんですかね。
実務では空気線図(ネット上では計算サイトがあるので、計算式があるのでしょう)があってそこから導き出すのですど、計算式を作るにも実際を知らないと作れません。

 とある容器の内容量を調べる場合、容器を空にして秤に乗せて、水をいっぱいまで入れた時の増えた重量を調べれば容量は分かります。
それと同じようなことを空気でしようとした場合、水蒸気を取り除いた相対湿度0%の空気はどうやって作るんでしょうかね。
冷やして冷やして結露させて水蒸気を絞り出すのですかね。
温めたところで、相対湿度は0%に近づいていきますが、絶対湿度は変わりませんものね。


以下、なんとなく。

 除湿器を使って除湿を行う事もあると思います。
梅雨の時期等、洗濯物を外に干せないので室内に干すけども、乾かないので除湿機を使う。

 除湿器には2種類の方式がありまして、コンプレッサー式とデシカント方式。

 除湿機の仕組みは、室内の湿った空気を冷やして結露させて水分を絞り出します。
コンプレッサー方式は、室内の空気をそのまま冷やして除湿するため、気温が低くそもそも乾燥している冬には性能がガタ落ちになります。
一方デシカント方式は、除湿する際に空気をヒーターで温める為、除湿性能は季節で変化しづらいですが、温風が出てくるため夏には使いづらく、ヒーターの分消費電力も大きくなります。

 その両方の方式を1台の除湿器に内包したハイブリット式もあります。
気温に応じてハイブリット式とデシカント式の比率を変えつつ効率よく除湿します。
消費電力は両方の中間位でしょうか。
通年除湿能力は一番ですが、2台分の機能を内包していますから筐体が大きくなることが欠点です。
機能も2台分なのでコストもかかります。
 
 全館冷房では、除湿がポイントになってきます。
除湿できれば、冷房の設定温度が高く出来るのです。
そんなことを考えていたら、洗濯物の事を考えました。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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