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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

和室の天井を直したら、床がフワフワしている事に気づいた。

竿縁天井の和室の天井を直す事となりました。
竿縁天井の場合、使っている天井板はイナゴ天井という薄い杉板を、3cmくらい重ねながら竿縁の上から留め付けていきます。

 ところで、和室の天井は施工上、天井裏から留め付けていきます。
敷き目天井は、天井板に梯子上に作られた桟木と野縁を専用の釘で留め付けます。
竿縁天井や格天井は、竿縁や格子に天井裏から釘で留め付けます。
本実のある羽目板や縁甲板を張る場合、野縁には部屋側から釘で留め付けられますが、真壁であれば張り始めや張り仕舞い、両端部はやはり天井裏から廻り縁に留め付けます。

 張り仕舞いを天井裏から施工すると、職人は天井裏に取り残されてその後、一生天井裏で過ごす事に・・はなりません。
どこからか生還しますが、2階建の1階の和室の天井裏は狭いことが多く、天井裏に上がって施工する事は出来ません。
そこで、張り仕舞いは廊下や押入側になるようにします。
和室の隣の押入や廊下から天井の最後を留め付けるのです。

 つまり、和室の天井を張り替えるというのは、張り仕舞いをどうやって納めるのかが問題となって来るのです。
張り仕舞いとなる側に押入があれば、何とかなるでしょうが、廊下となると天井裏を這いつくばって、和天井でなければいけますが、和天井の場合は強度的に難しくなります。

 今回は、仕上げを杉の網代風のクロス貼りとすることにして、竿縁の下端に合板5.5mm厚を張上げてクロス下地にする事としました。
竿縁と廻り縁とのチリは10mm程度なので、仕上がるとチリは2~3mmと言った所です。

 そうして、職人がビニルクロスを貼り終え、床の養生をあわただしく剥がしていくと、お客さんが部屋の一角の畳が柔らかい事に気づかれました。
傍から見ても沈み込むことが確認出来、乗ってみると、荒床が明らかにダメージを受けている感じが伝わってきます。
根太は無事のようです。
早速、畳を上げてみると、巾50cm、長さ1m20cm程度の範囲にシロアリがいて荒床が大きく食い荒らされています。

唖然。

 同じには、部屋に家具を運びこぶ前に気付けたのは良かったのですけど。

 天井の作業中は、畳の上に養生シートを敷き、その上に養生用の薄い合板を置いていましたし、位置的に脚立の作業なので、床に直接立つ事も少ない事から、気づかなかった様です。

 シロアリの蟻道は、荒床の継ぎ目の中を進んで隣の畳の下へも続いています。
2間続きの隣の部屋にも少し被害が見られます。
全ての畳をどけてはいませんが、かなり広範囲に被害がありそうです。
今後はシロアリの駆除会社へ調査を依頼、見積、施工となります。

 弊社は、床束、大引、根太、荒床の交換と、断熱材の追加の工事を行う事になります。
駆除会社が施工できるように、あらかじめ点検口を作っておくことになります。
築50年位の建物で、過去シロアリの被害は無かったようですが、今回、玄関先でもシロアリの痕跡が見られましたが、大事には至っていません。
今回は、運悪く和室に達し、畳の下と言う事で広く広がったようです。


 因みに、『シロアリは、蟻ではなくてゴキブリの仲間なんですよ』と言ってきました。
先日、ラジオのラジオショッピングで、シロアリ駆除を紹介しており『ゴキブリは、シロアリの仲間なのです。なのでシロアリは害虫なんです』と言っているのをラジオで聞きました。
言い回しで印象が変わるなぁと、ハッとしました。
 私は、一般の方よりもシロアリに出会う事が多く、見知った仲と言えなくもないですので、『シロアリ』を主語としてもイメージし易いのですが、シロアリを良く知らない方にしてみれば、『シロアリ』よりも何度も遭遇しているであろう『ゴキブリ』を主語とした方が、シロアリの事が想像しやすいと思いました。
ゴキブリは、印象最悪ですからね。
ただ、必要以上に危機感を煽る可能性があるとも思いますけど。
ハッとしたのはそういう事です。
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和室の畳を床板に。

和室の畳をどけて、床を張るという工事の依頼は多いです。
落ち着ける、寝転がれると精神的に癒しを得やすいという利点は多いですが、生活様式が西洋化して久しく、高年齢化により床に座る形式よりも椅子、ベッドの生活を意識し始め、将来の介護の事まで視野にいれると畳よりも、何かと使い勝手の良い床にしたいという事も多いものです。

 和室があるという時点で、かなりの築年数が経過した住宅だと思ってください。
現在のべた基礎が標準となっている住宅の場合、今回の話は当てはまらないかもしれません。

 床(畳、フロア)のリフォームは、
①床束、大引、根太まで丸ごと作り替える方法
②既存の床板に重ねる方法、
③畳を外すと出てくる荒床【あらゆか・・仕上げてない床という意味でしょうかね】の上にで根太を置いて床を張る方法
があります。

②は既存が床の場合で、③は畳の場合。
①はどちらの場合でも対応できる方法です。

 古い住宅の床は、ほとんどが平らではないです。
布基礎が標準で、床下は土のままの建物で、床がまず平らである事は稀です。
凸凹した床の上に新しい床をそのまま作ると、凸凹なままです。
凸凹なので、無理に床板を張りこむと床鳴りの原因になったりします。

それでも、出来るだけ水平に近づけたい。
水平でなくても平らであれば良い。
そう考えた時に、どうすれば良いのかを想像してみてください。

 コンクリートのような流動的な材料を既存の床の上に、凸凹の最大値を超える位の厚みで流し込んでみますか。
そうすれば、概ね水平になるはずです。
しかし、コンクリートは重量がありますし、穴があれば流れ出してしまいます。
なによりとても冷たく、とても硬い床が出来上がります。

 面の凸凹を面で処理しようとすると大変です。
 なので、面の凸凹は線や、点で処理をします。

 新しい床を水平にしたいと言えば、①か③が可能で、②はあくまでも既存に準じて凸凹になります。
床が凹んでいるのは壁際で、部屋の中で大きな荷重を支えている柱近くが大きく下がっており、部屋の中央が一番高くなっていることが多いです。

 今回の工事は、物置なのでコスト優先、畳をどけて合板を張るという工事になりました。
畳をどけてレーザーレベルで高さを計測すると、部屋の周囲で約20mm程度の高低差があり、部屋の中央を含めると最大で40mm近い高低差となりました。
今までは畳があったので、多少の凸凹は畳が吸収してくれていましたが、このまま板を張ってしまうのは、この高低差が気になりますというか、部屋としてどうなのか。

 と言う事で、今回は③の方法を採用し、根太の高さを調整する事で水平にしていきました。
採用した根太の高さは45mmとしました。
既存の根太は455mmピッチで施工されていて、荒床も15mmあるので根太の最小の高さは20mm位でも十分でしょうか。

 一番低いところでは、パッキン(飼い物)を入れて【点で処理 】、45mm以下の所は根太を削り調整【線で処理】します。
正直、この調整が一番大変な作業です。
原則的には、パッキンで点で処理するのか作業も楽なのですが、凸凹が酷い時は根太を削る方が強度を保てますし、途中で継ぐことも減らせるのでそうします。
たとえば今回の場合、一番高いところは20mm位になりますが、15mmの根太材で5mmのパッキンとするのは強度的に問題が出てきます。
薄くなってしまう所は出来るだけ線で支えるようにします。

 根太の厚みの調整は殆んどは今回の様に凸凹の差が大きいので、実際は丸鋸で割きます。
カンナで削って済む位であれば、根太の太さを変えてパッキン施工にします。

 新しい根太を、既存の床にビスで留め付け根太の両端(若しくは削り始める所)にレーザーレベルを使って高さを出し、墨壺で墨を打ちます。
ビスを抜いて根太を外して、墨に合わせて丸鋸で根太を割いて、今度は裏返しにして根太を固定
し、既存の根太の上で高さを確認して出来上がりです。

 床が凸凹になっていると言っても、線で見ると大凡、弓なりになっていますから、この方法で概ね平らにする事が出来ます。

床下の湿気。

和室の畳を、フローリングに変える工事を行っています。

 やや、湿気の多い現場で現調時に畳の一部が沈み込むような状況でした。
合板の床材でよく柔らかくなる事がありますが、その場合は大抵、床材の劣化である事が殆んどです。
合板は薄い板を繊維が直交する様に接着剤で張り合わせて1枚の板にしています。
その接着剤が経年変化で切れてしまい、接着前の薄い板を重ねただけの板になる事で柔らかくなります。

 床に乗って大凡300mm間隔で硬い線状の部分が見つかれば、床板を支えている根太は健全であり、床材だけの問題と言えます。
この300mm間隔の根太が見つからない、若しくは、全体的に沈んでしまう場合は、根太自体や、根太より下の大引や根太掛に問題がある事になります。
そうなると根太は撤去する可能性が大きくなるので、交換を考えます。

 今回は畳の場合ですが、畳本来の厚さはおよそ60mmです。
現在作られる畳の殆どは、床【とこ】にスタイロフォームが採用されていますが、それ以前は藁床が用いられていました。
今回のお宅も藁床の畳で、かなり湿気を含んだ状態でした。
畳に載ると広い範囲で沈み込む感じです。

 藁床畳(和室)の場合、時期的に根太間隔が455mmで施工されている事が多いです。
それを念頭に入れて調査をします。
また、畳自体がヘタっている場合や、畳と根太の間にある荒床【あらゆか】が現在は14mmの杉板もしくは12mmの構造用合板、24mmの厚合板などが使われますが、古いものだと9mm程度の板が使われている事も多いのですが、この荒床も合わせてヘタっている場合もあったりします。
この辺の判断は結構難しいので、可能であれば畳をめくってしまうと間違いが少なくて済みます。
今回は家具や荷物が多く畳を剥がせませんでした。
根太も何かしらの問題があるような感触でした。
大引までは分かりませんが、根太のトラブルの種類によっては何かしらの問題が発生しているかもしれませんが、現状では完全にへたっている感じではありません。

 畳から床に変えるとなると、60mmの間に根太30mmと捨て張り合板12mm、床材12mm、根太下に高さ調整用の飼い物を納める方法を採用するケースが多いですが、今回は根太に問題がありそうなので、荒床を剥がして根太を補強する方法を想定しました。
その場合の根太は45mm角となります。

 そうして開けてみると、畳の下には細かな虫の糞の様なものが沢山ありましたが、シロアリ被害は無さそうです。
荒床も剥がしていくと、根太は杉の芯持ちの45mm角で、杉皮もついているようなものでした。
大引も杉の90mm角で調査の時に沈み込んだ付近では、腐朽菌に取付かれ痩せている状態でした。

1部屋目はそれでも大引の一部分だけでしたので、少し隙間を空けて、痩せている範囲に大引を設置します。
根太も腐っている訳ではないですが吸湿して柔らかくなっているので、根太の間に1本ずつ追加しておきます。
そうして、断熱材を根太間に入れ捨て張りの構造用合板を張って、床材を設置して完成です。

 床束は鋼製の物に交換しました。
床束もかなり湿っぽい状態で、ぽろぽろになっているものもあり、全て鋼製床束に交換しました。
 
 床下の湿気対策として、お客様支給の床下湿度調整材(ゼオライト?)を敷き詰めました。
 ゼオライトのような調湿材は、半永久的にその効果を持続すると言われ交換する手間はありませんが、効果を確認するのは難しいのかもしれません。
高湿である期間を短くする(若しくは無くす)事を期待できますが、吸湿量を超える期間が長すぎるとその間は無いのと同じになってしまいますので、本当なら湿度計を設置して通年の記録を取るのがベストですね。
 
 畳(藁床)の場合、吸湿効果があります。
昔は天気の良い日に庭に出して干したという話を聞いています。
そうすると、干す前と干した後の重量の違いに驚いたなんて感想を聞きました。
つまり、床下の湿度を床材の畳が吸湿するので、部屋の換気を行わないと部屋の中が湿ってカビが発生するという事が起こります。
束建ての古民家であればそういった事も少ないのかもしれませんが、外周を布基礎で作るようになってからはそういった事も増えたのでしょう。

 今回はその吸湿材の畳を取り除き、GWと合板、床材という構成に変えました。
以前より、室内への湿気の侵入は抑えられる筈です。
GWがある事により合板裏面での結露も抑制できるでしょう。
あとはゼオライトが十分に機能すれば、床組みが今後ダメージを受ける事も無くなると考えています。

 2部屋目は、大引2本とも全体的に腐朽菌に侵されて、やせていましたので大引まで交換となりました。
ウッドショックの時期、急な事でしたが材木店に桧の大引の在庫があったので急ぎ入れてもらって工事を止めることなく施工できました。

 この現場、床下換気口は四方に設置されていますが、数が少ないという点と、建物の周囲に緑が多く、西面には建物と境界との塀を使って物置の様に屋根が掛けられていて、風通しが悪いことが言えます。
ゼオライトが十分に効果を発揮してくれると良いなと思っています。

現場発泡ウレタン。

サッシの隙間とか、あちこちの隙間で断熱材の欠損部分に現場発泡ウレタンは重宝します。
この度、ウルトというドイツのメーカーが販売しているものを使ってみました。
このウレタンは、従来の物に比べてとても柔らかく、3倍の追従性があるというのがウリです。
また、膨張率も従来の物よりも低いので、枠を押し広げて曲げてしまう心配も少ないそうです。

 専用のガンを使って充填していきますが、このガンも出る量の調整が簡単に出来、剛性もあって使い易いものです。

 充填後、数分で触っても手に付かなくなり、20分で切り取る事も出来るようになります。
柔らかいのでやや切りづらく、充填幅が細い場合はへらなどでこそいだ方が簡単に取れるようです。

 ちょっと、いい感じです。

増築工事で思う、当時の事。

現在、増築工事を行っています。

 5畳の増築なので、建築確認は必要のない工事です。

 築20年位。

 壁を剥がし、天井を剥がし、床を剥がしていくと色々と当時の事や、施工した職人の意識もうかがえしれます。

 当時の壁の断熱材は、袋入りのGW10K相当、厚さ50mmが標準。
防湿層はフィルムです(以前はアスファルトを含ませた紙)。
天井の断熱材も同じものが1枚載せてありました。

 壁の断熱材はやはり、天井までの所が多く、天井から梁・桁下までの間は無断熱になっています。
和室の雨戸付掃き出しサッシの戸袋の上には断熱材があるものの、戸袋の裏には断熱材が無かったり、玄関に縦長のFIX窓が2つあったのですが、このサッシは後から急きょ付ける事になったのか、窓下に断熱材が折りたたんで・・詰め込んでありました。
恐らく窓がつく前に入れたあった断熱材を詰め込んだのでしょう。
ベランダの出入、跨ぎの壁には当然の様に断熱材は無く。
ビルトインガレージですが、ガレージ側に防湿フィルムが向いていました。

 筋交は45x90の米栂で、端部はZ金物が使われていました。
釘とボルトを併用しているやつですね。

 張り出しの造作ベランダは芯々で910mm跳ねだしていますが、105角が910mm~1820mmピッチ。
105角。

 プレカットで刻まれています。
出隅に通し柱(120mm角)が、外面平らで納められています。
レーザーで2方向確認してもほぼ鉛直に建っています。
ここから2間(3,640mm)、桁行方向にある管柱を見てみると通し柱とは反対方向に15mm程倒れています。
土台の芯々間隔は3,640mmであっているのですが、上が寝ています。
105mmの通し柱でデータ入力して、後から120mmの通し柱に変更した際に梁の長さの変更をしなかったのでしょうか。
そうなると、もう一方も同じでしょうか。
もっというと、反対にある通し柱でも同じことが起こっていると、そちらでは都合30mm寝ている事になります。
そちらの方は手を付けないので確認はしていませんが。

 床材は12mm厚の複合フロアが採用されていて、捨て張りもしてあります。
床材の留め付けは、接着剤にフィニッシュネイルで行われています。

 床材の施工説明書に『フィニッシュネイルは使わないでください』という文句を見かけます。
そんなもので固定が出来る訳ないと思っていて、そんな事をやる人がいるのかとずっと思っていましたが、実際にいました。
そのせいでしょうか、全体的に床鳴りが気になります。
また、解体していくと分かりますが、捨て張り合板との間に隙間が見られます。
部屋の周辺、壁際では顕著になっていました。

 和室(真壁)の化粧柱は貼物の集成柱で、貫穴を掘らなかった(掘れなかった?)為に、胴縁材が大壁側に取付けてありそれをガイドに貫が留めてあります。
様々なところに下地材の受材として30x40断面の木材が留めてありますが、50mm程度のくぎ打ち機のワイヤー連結釘でトトトトト留め付けた感じ。

 ビルトインガレージの壁、天井と軒天はフレキ板で、10mmのステープルで留めてありました。
剥がれてはいなかったですが、フレキ板は硬いので、ステープルは表面で座屈しているものが多く見られます。

 このステープルは、室内の天井の石膏ボードにも使われていました。
間仕切壁の受けを取り付ける為に天井裏に潜ると、野縁を外したステープルが散見し、留めたかった野縁付近をおすと留め付けられていない事が分かります。
同じエアツールでも釘やビスなら、野縁から外れると頭が潜らないので気づくのですが、ステープルでは気づかないのでしょう。

 野縁は梯子に組んだものを並べていく方法でしたが、その梯子通しの接続は釘打ち機の50mm程度の釘。
30mmの材を止めるには少し短いですね。

 弊社の当時のやり方と比べてもずいぶん違うものだなと、ある意味勉強になる現場です。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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