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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

銅には穴が開く。

酸性雨が問題となって久しく、それに伴って銅製の雨どいに穴が開くという事態が発生しています。
大抵、銅製の雨どいは和風建築で採用されますから、瓦屋葺きで樋に雨が落ちる部分が集約されますので、瓦の谷の位置で穴が開きます。
現在は、銅板を外側に張り付けた雨樋が採用されたり、内側をコーティングしたりします。

 今回は、そんな穴が開く銅製品の話。
でも、酸性雨は全く関係がありません。

 今年の6月頃に漏水していると連絡が入ったお客様のお宅。
給湯管からの漏水でした。
一部の配管を架橋ポリ管に替えて修理をしました。

 昨日、同じお客様からまたもや漏水の連絡が。
職人に行ってもらうと、やはり給湯管からの漏水。


 築30年を超える、弊社で建てた建物です。

 現在の給湯配管は、給水配管と共に架橋ポリで行われます。
その前は、銅管が採用されていました。
銅管は漏れないという神話的な話がまかり通っていた当時、給湯配管は銅管が当たり前だったのです。

 それが、施工から30年を超えると漏水の報告が入る様になってきました。

 銅管にもエルボやチーズ等の部材があり、これらを現場でロウ付けしていくのですが、このロウ付け部分の接着不良かと思いきや、そうではなくて直管部分の特に何もないところでピンホールの穴が開くのだそうです。

 今回も何もない直管の部分でのピンホールでした。
そこを直していると、近くの別の場所でも穴が開いて漏水が始まる。
そんな現場が良くあるのだそうです。
つまりは、外からは分かりませんが、管が薄くなってしまっている部分があちこちにあるかもしれないという事です。

 こうなると、今漏れている所を直しても直に、他でも漏れるそんな可能性が出てきます。
今回は2ヵ所で済みましたが、次回も漏れる事が予想され、短いサイクルで発生する様であれば、配管全体の交換も考えなければなりません。


 築30年を経過して、給湯管に銅管を採用している場合は、漏水に注意です。


 そういえば、昨年末から年明けに発生した雨漏りか漏水か分からなかった現場も、結局は給湯管の銅管にピンホールが出来ての漏水でした。
あの時も具体的な原因は分からなかったのですが、管を固定するサドルで圧迫されていたのと、急に曲げてあったが何らかの影響を与えたのだろうと思っていました。
恐らくそれを要因として、配管の欠点部分に作用して穴が開いてしまったのだろうと、今となっては思うのです。

 しかしこれは、当時では考えもしないですし、不良部分を見つける事も被覆があるので外から見るだけでは無理なのです。

 設備配管は、寿命がありいずれは更新しなければならない。

そう行く事なのです。
今後の住宅の寿命は今よりも長くなる筈ですから、そういった更新する事も念頭に設計を行わなければなりません。
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神社の改修。

今年は、地元の神社の改修工事を5月末から行っています。
工期は年内いっぱいですが、工事の為にご移動いただいた神様を、改修後の本殿にお戻りいただかなければいけないので、実際には12月の初旬には完成させなければなりません。

 今回の工事で主な工事は、基礎の交換がありました。
もともとは大谷石【おおやいし・・宇都宮が産地として有名】でしたので、風化して凸凹になってしまっており、また高さも低かったために土と土台が接触している部分もありました。
そういった部分は腐朽していたり、蟻害があったりしたので基礎を大谷石からRC造の布基礎に変更しました。
この工事は6月の梅雨の時期に行っていたので、今年は梅雨らしい梅雨で雨が続き工事が進まないという事もありました。

 瓦の葺き替えも行いました。
基礎の交換前に瓦を下ろし、基礎交換後に屋根下地を直して屋根を葺きました。
屋根下地は8月のお盆前に行いました。
暑くて暑くて、価格の安くなった空調服を導入してみました。
暑いのは暑いのですが、動き続けることが出来るのと、休憩時の回復が早いという事が実感でき、効果を十分に感じることが出来ました。

 外壁は、もともと真壁で、杉板を縦張りしてジョイント部分に押し縁が取り付けたありましたが、基礎工事の際にあちこちを撤去してしまいましたので、ほぼ全面を張り替えます。
しかし、もともとの軸材(土台、柱)の劣化も進んでいましたので、真壁から大壁に変更。
張り方も鎧張りで、ささら子の押し縁押さえとしました
柱を保護するという目的から、出隅【ですみ・・建物の出っぱっている角】にはL字型のコーナーを取り付けることとしました。

 神社の工事をしていると、お参りに来る方々が神様のいない本殿に向かい柏手を打ったり、お辞儀をしたりします。
作業していると恥ずかしいものです。

 現在は内装工事が終盤です。
あちこち杉材を扱い、久しぶりに鉋が大活躍の現場で楽しく作業をしています。
あと、3週間程度で完成させる予定です。

プレファブ建物の内装工事。

神社の工事を少しお休みして、いつもお世話になっているお客様のプレファブ建物、間口5間、奥行き3間の平屋建ての内装工事を行っています。
もう、短期決戦でシルバーウィークとは何ぞや?と、日曜日も返上して現場通いです。

 入口のところは、1.5間×3間の土間。
残りの部分は200㎜上がって床を張り込みます。
200mmの段差では、大引【おおびき】(90mm)+根太【根太】(45mm)+捨て貼り(12mm)+床材(12mm)となると合計159mmで、床束が41mm。
多少それぞれの断面を変更しても、大引の変形を拘束しきれるかとか、手間を考えると難しいのでマンションなどで採用されている置床、フリーフロアを採用します。
仕上げは1×6の床材、12mm厚なので捨て貼りはいらず、直接施工できますが、床を張る前に作業があるので9mmの合板を捨て貼りしておきました。

 フリーフロアは、鋼製床束(樹脂製もあります。)と、床下地材のパーチクルボード20mm厚で構成される工法です。
木材を組む床組みに比べ、短期間で施工でき、材料の反りも少ないので精度よく水平に仕上げることが出来ます。
その反面、パーチクルボードが水に弱いのと、長期の耐久性に個人的に不安を抱いているので一般住宅には床下空間が少ない今回のような場合を除いては、採用することはありません。

 プレファブの柱は軽量鉄骨のチャンネル(アルファベットのCの断面を持つ部材)を2つ溶接したものが使われていて、口が開いているところに木製のパネルを落とし込んで壁(下地)とします。
この木製の壁下地に間柱を足して、100mm厚の断熱材(高性能グラスウール)が入れられるようにしますが、壁の骨組み(間柱様)が、約600mmと広く規格サイズのグラスウールでは納めにくいのでロール状の物を採用しました。
また、3尺ピッチで横にも骨組みがあるので厚さを50mmとして2枚重ねて入れる事にしました。
 付け足した間柱の間にグラスウールを入れて防湿シート0.2mm厚を張り上げます。
その後、天井を施工していきます。

 天井は100mm+50mmとします。
天井のグラスウールの施工は結構大変で、施工不良も起こりやすいので、通常は吹き込みのグラスウールかセルロースファイバーを吹き込むことも多いですが、今回は予算の関係もありマット状のグラスウールを入れていきます。
そうして防湿シート0.2mm厚を張ります。
野縁【のぶち・・天井材を受ける木材】の高さは30mmで、この部分に入れる断熱材は50mmと20mmの差がありますが、155mmの断熱材を野縁部分で切り込み引き下ろす手間よりも、野縁部分を別とした方が施工性は上がるので、2枚としました。
野縁の上が少し空いてしまいますが、どちらが施工精度が高いかという事を目安に判断しました。

 防湿シートは0.1mmを採用する会社も多いでしょうが、0.2mmの方が防湿の性能も当然良いのですが、施工性が圧倒的によくなります。
簡単には穴は開きませんし、引っ張っても伸びません。
この辺りは施工する現場の人間では分からないところかと思いますが、予算がなくとも0.1mmを使うことは考えられないくらいです。
お客様としても施工不良を防げるので安心かと。

 天井が終わると間仕切り壁の施工になります。
工期や将来の間取り変更、そもそも内部に柱の建たない軽量鉄骨建物なので間仕切壁はあと施工とします。
木造住宅でも、構造にかかわらない部分については天井下に間仕切り壁を組むようにしています。
そこには、秘密もありますが、将来の間取り変更の際、制限が少なく簡単にできるようにという配慮もあります。

【注意】キッチンのシャワー水栓の水漏れ。

システムキッチンになって、流し台の水洗はシャワー水栓を採用する事が多くなりました。
また、浄水器を付けたいがシャワー水栓では取り付けられないといった問題解決のために、浄水カートリッジを本体に内蔵したシャワー水栓が登場しており、これによりシャワー水栓採用率は更に上がりました。

 シンクを掃除する時に、引き出せて隅々まで水を掛ける事が出来てとても便利なシャワー水栓ですが、気を付けないといけない点があります。

 ホースを引き出すと分かりますが、見た目は金属がらせん状に覆われて、強度や耐久性がありそうに見えますが、これはホース本体ではなくてカバーに過ぎません。
本体は、このメタルのなかに樹脂製のものが入っています。
その肉厚は庭で使うようなホースとは異なり、かなり薄いものです。
もっとも、薄くなければあんなにも自由に動かす事は出来ませんが。

 この肉厚の薄いホースの端部は、金属の部品が取り付けて有り、配管と繋がれているのですが、その部品との取り合い部分が切れてしまう事があります。

 水漏れは、システムキッチンのキャビネット(箱の中)で起こり、最近の引出しタイプの場合は、引出しには水が垂れずに、キャビネットに直接落ちる為、普段使用していてもなかなか気づく事はありません。

定期的に引出しの奥の方をのぞき込み、ホースから水滴が垂れたり、キャビネットの底板が濡れていたり、木製のキャビネットの場合は表面が凸凹になっていたりしないかの確認を行ってください。

 大凡、10年程度経過すると要注意です。

 もしも、水漏れが発生していたら本体ごと交換するのが良いでしょう。
ホースだけ部品として取寄せる事も出来ますが、日にちが掛かってしまうので水漏れを起こしている場合にはお薦めしませんし、交換するにしても本体を一度取り外すので良いタイミングと捉えて、最新式の水栓にするのも良いでしょう。

**【交換をご自分でされる方は、自己責任で!】**

 水栓自体はホームセンターで販売されています。
取付ける穴の大きさによって、付けられない場合がありますが、国産の10年前後の物であれば、規格は統一されていますので問題ないでしょうが、念のため穴の直径を確認してから購入してください。
 取り付ける事は、施工説明書をしっかりと読み、工具があれば問題なく取り付けられると思います。

 問題になるのは、取外しです。
まずは、引き渡しの時に受け取った説明書を確認してください。
使用説明書の他に、施工説明書や専用工具も一緒に渡されている場合があります。
もし、これらがあれば取り外すのは難しくありません。

 もし、説明書がなく、取り付け方が分からない場合は、業者に依頼する方が良いかもしれません。
各メーカーで様々な商品が発売されてきて、その時期によって取付方法が違います。
現場での省施工の為に、変わった取付方法が考案されていましたので、こんなところを緩めるの?なんてものもありますので、それでもご自身でやる場合は、良く観察してからあちこちいじくってみてください。

 弊社では、ご自身での施工を推奨している訳ではありませんが、自分の住まいですからある程度は興味を持つ意味でもご自身でメンテナンスをする方が良いと思っています。
この記事を読み触発され、ご自身で施工されて、不具合が発生しても弊社では一切の責任を負いかねますが、そういった経験を積むと他のメンテナンスにもチャレンジする気持ちになると思います。

省エネ住宅は当たり前?。

このご時世ですから、省エネ住宅は当たり前。
どこのメーカーも『エアコン1台で冷暖房可能』とか、『家中どの部屋も室温の差がありません』なんて事を言うかもしれません。
もしかするともう、そんな事も改めて言わない程に省エネ住宅は当たり前なのかもしれません。

 住宅展示場で、内部ばかりではなく外部、それも裏の方を見てみるのも面白いものです。

 省エネ住宅なのにエアコンの室外機がずらっと並んでいたら、それって省エネ住宅なんでしょうか。

 お粗末な断熱性能の住宅で、エアコンをがんがん動かしていれば、家中同じ室温にする事も可能でしょう。
本当に省エネなのは、少ない設備でそれを実現する事です。

 エアコン1台でというのも無理ではないでしょうが、エアコン2台がいいですね。
夏用と冬用。
空気は暖かいと上に溜まり、冷たいと下に溜まります。
 冬の暖房は低い位置に付けたエアコンで行い、夏の冷房は高い位置につけたエアコンで。


 自給自足の家というのも聞こえてきますが、どんな建物でも極端な話をすれば実現できます。
太陽光発電パネルを大量に載せて発電し、大容量の蓄電池を設置すれば可能でしょう。
理想は、小さな設備で自給自足が出来る事です。
それを実現できるようにするには断熱性能の向上が必須です。


 もう一つ、隙間相当面積(c値)。
住宅にどれだけの隙間が開いているかという数値です。
最低でも1.0。
出来れば0.5以下。
これも、住宅展示場の担当者に『C値はいくつ位ですか?』と聞いてみてください。
この部分は職人の意識の高さに依存し易い部分です。
適当に造れば、C値は低くはなりません。
その為、多くの職人を使うメーカーでは3年前のデータでは、2.0位と言われていました。
専用部材や施工方法の開発で良くはなっているのかもしれませんが、それでも同じプラン、デザインの住宅を建てても職人によってばらつきが出るでしょう。
メーカーとしては簡単に『1.0以下』と言うのは難しいと思います。

 実はこのC値は侮れなくて、例えば0.5を実現する仕様で設計して実測2.0だったりすると、省エネ性能は当然悪くなりますし、空気環境は悪化し易く、結露が発生してしまうなんて事も起こり得るのです。



 断熱性能は、将来に渡って低下しないとは言い切れませんが、後から断熱リフォームをするよりも新築の時点で行った方が、安く出来ますし、性能も高いのです。
もちろん、前述のC値も低くなります。
 一方で、冷暖房設備、発電蓄電設備というものはいずれ交換しなければなりません。

 更新するものは小さく安いもので、更新しなくて良いものは少々高くても性能重視が良いと思うのです。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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