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Q-1住宅 / 有限会社 カトウ工務店

地元に根差して40年。高断熱住宅Q-1.0住宅(キューワン住宅)の設計、施工。 翌朝も暖かな家づくりをしています。

【日記】トイレを高断熱化するリフォーム。1日目。

和便器と、兼用便器(洋風便器)がある4尺(1,212mm)×6尺(1,820mm)の、ちょっと広めのトイレスペースの改修工事を始めました。
 初日は、既設便器の撤去と内装の撤去です。
今回は高断熱化をする為、床・壁・天井共に撤去します。

 壁は、4mm合板下地にもともとはビニルクロス(VC)貼だったものを、化粧合板仕上げに変更してありました。
天井は、4mm合板下地にVC仕上げ。
床は、12mmのコンパネにクッションフロア(CF)シート仕上げです。

 ここのトイレは、建物の北西の位置にあります。
周辺は竹林と林に囲まれていて、西側の窓から差し込む西日で温室状態なんて心配は無さそうですので、高断熱化を実施します。

 トイレ以外は、恐らく無断熱状態ですから寝室からトイレまでの動線上は寒いでしょうが、下着を脱いで素肌を露出するトイレ内を、少ないエネルギーで暖かく保てるという事は、十分意味があります。

 解体していると気付くのですが、このトイレは増築されたようです。
母屋と使っている材料が違いますし、グラスウール(GW)10k50mmが外壁側に入っていました。
天井、床共に無断熱で、驚いたことに床束が9尺(2,730mm)の間なく(通常は910mm間隔)、更には和便器の所で大引が切断されて、床束で支えられることもありませんでした。

根太は、40mmx45mm@303mmで問題ないですが、スパンが1,212mmと根太の断面のわりに大きすぎます。
その為大引を入れますが、床束で支えていなければ意味もありません。

信じがたい程の施工不良。

 また、GW以外を採用するメーカーが、未だに良く言うような断熱材の垂下がりを起こしていましたが、よく見るとステープルで留め付けられていない、ちょっと信じがたい施工不良でした。



という事で、トイレの中だけ外壁残しのスケルトンとして作業を終えました。

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木が人に与える影響をデータ化する取り組み。

2月13日に、東京大学の農学部キャンパスないで行われた講習に参加してきました。
木が人に与える影響をデータ化して、量る様に出来る取り組みが行われているという事を、知りました。

 以前から木は、人に対して安らぎを与える癒しの効果、殺菌作用など様々な効果があると言われています。
しかしながら、何がどれだけ作用するのかっていうと、よく分からないので実験を積み重ねてデータ化して比較できるようにしようという取り組みです。

 影響の評価方法は、人体の二つの反応を利用します。
一つは、反応が速く現れる『自律神経系』で、心拍数・脳内の血流量といったものを測定します。
もう一つは、反応が遅く現れる内分泌系で、唾液を分析してストレスホルモンと呼ばれるコレチゾールの分泌量を測定します。

 まずは、『におい』の影響。
 東大では、桧や松等の針葉樹に多く含まれる『αピネン』と『リモネン』の二つを使った研究を行っています。
これらの物質をそれぞれ含んだ空気と、含まない空気を吸いながら、ストレスのかかる単純なパソコン作業を被験者に行ってもらい、その反応をみます。
すると、物質を含んだ空気を吸って作業を行った場合、福間に空気に比べて『心拍数』の上昇を抑える事が出来ました。

 しかし、木が及ぼす影響というのは、人の好みによって左右されるという側面もあります。
自然が大好きな人は森へ行くと癒されると言いますが、虫が嫌いとか、インドア派で外出が嫌いな場合、森へ行っても癒しの効果が現れない人もいるのです。

 そこで、そういった先入観や、育ってきた環境等に左右されない生まれたばかりの赤ちゃんに対しても物質を含む空気を吸わせる実験をしたところ、含む空気の方に『血流の増大』と、αピネンには『脈拍の減少』という反応が確認され、これらのにおい成分が何かしらの影響を与えるという事は、確認できました。

 次に『手触り』の影響。
 浮造りにして凸凹の影響を見ると言った内容ではなく、物質による違い、木でも塗装品と無塗装品での人体の反応の違いを調べているそうです。
これは、高断熱住宅に興味を持って勉強していると出てくる『熱伝導』という現象による影響だと言っていました。
 木製の手すりと、アルミ製の手すりと、触った時の体の反応を見るという実験です。
 室内に放置されて、表面の温度が同じ木製の手すりと、アルミ製の手すりを触った時にどう反応するか。
触った感想は、お分かりの通りアルミ製の方が冷たいと感じます。
表面温度が同じなのに、何故に感じ方が違うかというと、熱(温度)は高い方から低い方へ流れますが、この流れ方を表すのが『熱伝導』という現象です。
熱の流れが速いのがアルミ製の手すりで、人の体から熱を奪うので熱の流れが遅い木製の手すりよりも冷たく感じるのです。
冷たいものを触ると人は、よりストレスを感じます。
木材は、石・タイル・陶器・セメント製品や、金属に比べて熱伝導率の低い素材です。
直接肌に触れる部分に使う事で、ストレスを感じづらくなります。

 と具体的にはこんな内容でした。

 効果はあるものの、理由や影響量等が分からない分野の事です。
また、人によって好みや感じ方が違うので、反応の度合いも個体差が多いようです。
必ず効果があるというものでもないですが、木は確かに他の素材にはない優しさがあります。
ふんだんに使っていきたいと思っています。

 また、『臭い』についての研究は、まだ短期的な効果の検証しかできておらず、長期的にどれだけ効果が維持出来るか等という事については、正直『分からない』そうです。
 しかし、木材の持つ影響力は『臭い』だけではないですから、ふんだんに使う意味はあるのです。
その辺りのネタを仕入れましたので、ぼちぼち紹介していきます。




 その他には。


 様々な調査や実験は世界的にも行われていて、興味深いものでは、学校の先生の体に現れる影響というようなデータがありました。

 木造校舎、RC造校舎で教師の離職率や、ストレス、精神疾患等を調べると、木造校舎では、RC造の校舎に比べいずれも低いというものでした。
 具体的に木の何が作用したのかは分かりませんが、影響は確実にあると言えそうです。


 そうそう、マウスに対する実験ですが、皮膚がんを移植したマウスにαピネンを嗅がせて飼育したところ、嗅がせないマウスに比べて40%抑制したという実験結果もあるそうです。
 まぁ、そのまま人体に有効だと言えるデータではないですが、効果があるかもしれず、期待が高まります・・と、良く聞く言い回しで終わります。

断熱改修。

昨年末、LDKのリフォームを行った現場。
天井に高性能グラスウール、200mmの断熱改修を全体に行いました。

 この現場は、弊社で25年前に新築させていただいたお住いです。
断熱は、壁にグラスウール10k相当50mm、天井・床については無断熱という状況でした。
天井裏の断熱改修は通気止めを行い、袋詰めグラスウールを施工しその上に裸のグラスウールを重ねていきました。
袋詰めを施工するのは、防湿層の形成を狙ってのことです。
室内側の仕上げは、ビニルクロスでしたからこれを気密層として考えます。

 天井断熱を追加しただけでも、室内は変化を感じる事が出来ます。
施工した翌朝、奥様がやや興奮した様子で『明け方、お布団の中で肩の周りで感じる冷たさが違う』と、おっしゃっいました。

 年を明けて、床の断熱改修も行う事となりました。
床下は通気止めを行うには隙間が多く、部材も入り組んでいる為、現場発泡の吹付ウレタンで改修していきます。

 壁については、役不足感は否めないですが、一応、断熱材は入っており、窓に関しては数年前に真空ガラスに交換してありました。
もともと単板ガラスのアルミサッシですから、隙間風とアルミ部分の断熱性能は期待できませんが、ガラス部分の断熱性能が飛躍的に上がっている事は評価出来ます。

 この状態で床断熱を施工すれば、一応断熱材で建物を覆う事が出来ますので、以前とは比べ物にならないくらい改善します。

 この後、行うとすればサッシに内窓を設置する事と、玄関の引戸サッシを高断熱のサッシに交換する事で、更に改善します。

キッチンの清掃性と収納力。②

前回に続きます。

 現在のキッチンの収納力の話を。

 前回の流し台は、開き戸のタイプでした。
このタイプは、構造的に簡単なので安価に製造できるという面では優れていますが、収納という点で言うとなかなか難しいです。
 高さの違うものを収納する事の多い流し台ですが、シンク下等は棚板を付ける事が、排水パイプや、シンクが邪魔で出来ません。
どうしても床の広さが収納量の限界になってしまいます。
出し入れは手前からなので、奥の物を取り出すのも難しく、空気も淀みがちです。

 現在のシステムキッチンは、引出しのタイプが主流です。
開き戸タイプの欠点だった、奥の物を取り出しづらいという点を一気に解決!
引出しにすることで、床が増えて収納力も大幅にアップ!
本体の床に物を直接置かないので、空気の循環が期待できる!(押入に『すのこ』を入れるのと同じ)
また、本体の壁にも収納物がくっつかないので、側面の空気の循環もできる!

 収納力が増えると、流し台の外にあった収納棚を減らす事が出来ますので、台所を広く使う事が出来るようになります。
つまり、片付いてスッキリするのです。

 キッチンの引出し化を実現したのは、強度のある引出しレールにあります。
引出しタイプを商品化したのはクリナップですが、使用しているレールは、確かドイツ製で、当然特許が絡んでいて、当初はこのレールをクリナップ以外が採用する事が出来ず、クリナップの独走状態になりました。
その後他のメーカーでも採用できるようになったようで、現在では余程安価な流し台でない限り、同じレールが採用されています。
 最初、引出しに500mlのビール24本入れてもスムーズに操作できるのを見た時には、衝撃的で一気に『クリナップ命』になりました(笑)

 もう一つ、このレールを使っていても、そのレールを支える箱の強度が高くないと重い物を収納できなくなります。
この辺りにシステムキッチンの値段の差が出てきます。

 さて、最後に施工後の流し台を。

 今回は、クリナップのラクエラのI型2550を採用し、正面・側面・出窓周りはマーブル柄のアイカセラールを貼りました。
 向かって左手に袖壁があり、間口が2550よりも広かったので、流し台部分は壁を付加してあります。
吊戸部分は出窓の天井と吊戸の底を合わせ、上下もセラールを貼り込みました。
天井フィラーという扉と同じ柄の板を使う事も多いですが、そこはあえてセラールにしました。

 間口が規格よりも少し広い場合、オーダーメイドで天板を間口に合わせて伸ばすことが出来ますが、弊社では将来の交換等の事も考えて、規格で対応する事をお薦めしています。

 流し台の規格は15cm刻みが一般的です。
たまに、これから外れた寸法のものもあるのですが、2250、2400、2550、2700のサイズで対応しています。

キッチンの清掃性と収納力。①


 かなり傷んでしまった流し台。
様々な理由はあるのですが、現在のシステムキッチンと比べると、『清掃性』と『収納力』の違いが大きいのだろうなと思います。

 『清掃性』で言えば、天板が一枚板というのが大きな違いです。
写真のタイプの流し台は、シンク、ガス台、調理台とそれぞれ、独立しているユニットを並べるだけなので、隙間が出来てしまいます。
この隙間から水やよごれが床に落ちていきますが、掃除をすることは出来ません。
ユニット同士の間やユニットの後ろは空気が通らないので、乾燥がしにくく、長い間じめじめしていて、床や壁、流し台自体も腐らせますし、雑菌の発生や、ネズミやゴキブリを呼び寄せたりします。

 ガスコンロの回りも汚れやすく、掃除しづらくなっています。
テーブルコンロというやはり独立したガスコンロをコンロ台の上に置いて使いますから、周囲に空間があり油汚れがコンロ自身も、コンロ台の天板、周辺の壁を汚します。
キレイにするには、コンロをどかして掃除する事になりますが、ホースを外したり繋げたりするのは割と大変です。

 一方システムキッチンでは天板が1枚となり、ユニットの間に隙間が出来ません。
ガスコンロ、IHクッキングヒーターも埋込式で、この廻りにも隙間がありませんから、キレイを保つことが出来るのです。


 もう一つ汚れが目立つのが、換気扇廻りです。
この写真の流し台もそうですが、プロペラファンが使われいます。
その上、この流し台では換気扇フードという換気扇を囲うような箱もついていません。
換気フードは、コンロなどの調理器具の上に付けて、コンロなどから出てくる煙や水蒸気を囲い込んで部屋の中に逃げないようにして、換気扇で効率よく外に出す手助けをします。
フードがないと、室内に煙や水蒸気が散ってしまい、部屋中を汚してしまうのです。
 プロペラファンという換気扇は、扇風機のような羽根の換気扇で単純な空気の排出量は多いのですが、圧力がかけられない・・・といっても分かりづらいですよね。
掃除用具で言うと『ほうきみたいなもので、目に見えるごみを集めるのは得意で、大半のごみを短時間で集める事ができますが、とても細かいチリや軽いホコリを集めるのは苦手だったりします。

なんとなくイメージできますか?

 これとプロペラファンは同じようで、多くの空気を外へ出すことは出来るのですが、散ってしまった煙や水蒸気を集める事は苦手です。
また、外壁に面していないと使えません。
その為、大きな箱状の換気フードが必要になるのですが、このフードの内側全体が汚れてしまいます。
プロペラファン自体も汚れます。
個の掃除は、コンロ台の上に乗ったり、椅子の上に乗ったりして不安定な姿勢で行うので、とても危ないのです。

 では、現在ではどうなのかというと、弊社ではプロペラファンの採用は久しくなくて、代わりにシロッコファンというタイプを採用します。
シロッコファンは、筒状のファンで単純な空気の排出量は少ないですが、圧力がかけられる・・。
 掃除用具で言うと『掃除機で、広い範囲のごみを一気に集める事は出来ませんが、細かいチリや軽いホコリを集める事が得意です。
これと同じで、大量の空気を一気にすい込む事は出来ませんが、換気扇近くで発生した煙や水蒸気を室内に散らさずに吸い込んで外に出すことが出来ます。
また、ダクトを使いますので、部屋の真ん中に取り付ける事も出来ます。

 以前のシロッコファンは、プロペラファンと同じような箱状のフードが付いていましたが、現在は平たいフードで、空気の通り道を細くして空気の流れを速くして・・・。
ええと、掃除機の先を床用の幅広いアタッチメントから、サッシのレールのホコリを吸い取る先の細いアタッチメントに変えると、強く吸い込めるのと同じ原理です。
 そうすることで汚れた空気が触れるフードの面積が小さく、掃除をする部分も小さくなっているのです。
また、深さがないので椅子に乗る事もなく掃除が出来るのも魅力的です。

 長くなってしまいました。
すみません。
収納性については、次回に回します。
リフォーム後の写真もそちらで。

プロフィール

埼玉県鴻巣市で創業40年。 地域に根差し、お客様にとって最適な工事を提供出来るよう心掛けています。

HN:
加藤茂貴
性別:
男性
趣味:
コンガ、ジャンベ等パーカッション演奏
自己紹介:
会社名称:
 有限会社 カトウ工務店
 (1級建築士事務所併設)
所在:
 埼玉県鴻巣市松原1-20-10
tel/fax:
 048-541-1014 / 541-1017

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